ブンガワンソロ
劇場公開日:1951年10月19日
解説
製作は「桃の花咲く下で」の佐藤一郎で、金貝省三の原作から、「盜まれた恋」のコンビ和田夏十・市川崑の共同脚本で、同じく市川崑が監督に当っている。撮影は「戦後派お化け大会」の横山実。主演者は「青い真珠」の池部良、「有頂天時代」の森繁久彌、「花ある怒濤」の藤田進、「夜の未亡人」の久慈あさみ「袴だれ保輔」の若山セツ子に、東野英治郎、高橋豊子などである。
1951年製作/92分/日本
原題または英題:River Solo Flows
配給:新東宝
劇場公開日:1951年10月19日
ストーリー
一九四五年八月のことである。ジャワのある村落の熱帯樹にかこまれたスヘルマンの家へ、深見、武、野呂の三人の脱走兵がやって来た。野呂がひどいマラリアで苦しんでいるので、三人はスヘルマンの牛小屋に寝かせた。日本軍に働いていた息子が死んでから、娘のサリヤは日本人を嫌っていたが、野呂のためにはキニーネを与えたりして看病をしてやった妹娘のおちゃっぴいのカルテイニはすぐこの三人と仲良しになった深見が馬を探しに行って三日も帰らないとき、サリヤがひどく心配そうなので、人々はようやくサリヤの心が読めはじめた。いよいよ出発が近づいたとき、深見もやはりサリヤのために村に居残るといいはったが、この時小田切という軍曹が足を負傷してやって来て計画が一頓座した。小田切もスヘルマンたちの看病をうけ、深見たちの動静を知って、口ではののしったが内心は同情をしていた。やがて、ほんものの憲兵たちが、脱走兵を追ってやって来た。その時武は屋根からすべり落ちて死んだ。深見はマラリアの熱で昏睡のまま牛小屋にかくされていた。サリヤは市場へ行くと見せかけは深見を馬車にのせて逃げ出し、憲兵たちの追跡を受けた。深見はやっと気がついて、サリヤを救うため彼女を馬車からつきおとしたが、再び気を失って馬車もろとも、深い渓谷へ落ちて行って死んだ。その日、休戦になったことが村へ知らされた最早脱走兵を捕える必要もなくなった憲兵たちは野呂や小田切と共に村を去って行った。あとには黙々と働くサリヤの胸に深見を失った悲しみだけが残った。