ブルークリスマス

劇場公開日:

解説

UFO(未確認飛行物体)を目撃した人々の血が青くなり、そのような人間が増加したら、その時、アメリカ大統領が苦悩の末、決断した計画とは……その中で展開される人間の愛と苦悩を描くSF。脚本は「冬の華」の倉本聰、監督は「ダイナマイトどんどん」の岡木喜八、撮影は「姿三四郎(1977)」の木村大作がそれぞれ担当している。

1978年製作/134分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1978年11月23日

あらすじ

一九七八年二月、京都国際科学者会議において、UFO及び宇宙人の存在の有無について演説した兵藤教授は、数名の外国人に連れ去られた。国防庁参謀本部の沖と原田は沢木のひきいるUFOとその目撃者に対処するための特殊部隊に転属された。沖は理髪店に勤める西田冴子にひかれていた。日本国営放送(JBC)の南一矢は、五代報道局長の命をうけて、兵藤教授の失跡事件の調査をはじめた。新人女優、高松夕子は、JBCの大型ドラマのヒロインに抜てきされ、幸福の絶頂にあった。一方、夕子の恋人、週刊誌記者、木所は友人の南に「夕子の血が青い」と相談するが、南は一笑にふす。世界各地でUFO目撃の情報が飛びかい、同時に、UFOを見た人間の血が青くなるとの噂が広まった。その頃、ロックバンドが来日、その歓迎パーティに出席した夕子は麻薬不法所持のぬれぎぬをきせられ、逮捕される。ドラマをおろされた夕子をなぐさめに行った木所は、夕子の顔が異様な青色に変色しており、木所は恐怖に部屋をとび出した。夕子は木所の気持を知って、自ら命を断つ。ニューヨークで兵藤博士との密会に成功した南は、博士の語る秘密--世界各国の首脳は、青い血の人間はもはや人間ではなく、人類の敵であるという噂を故意に流している--に息をのむ。調査を進める南に、日本大使館から帰国命令が下り、日本に帰ると、五代の取材中止命令が待っていた。東京は国民血液総点検に反対する学生デモで揺れ動いていた。街にクリスマスソングが流れはじめた頃、世界各国からUFOの大量飛来をつげるニュースが続々と伝えられてきた。緊急に開かれた国連秘密理事会は、アメリカ大統領の決断のもと、恐るべき極秘指令が全世界に発せられた。重大任務を前にして冴子と会った沖ははじめて冴子を抱いた。そして沖は冴子の血が青いことを知る。街にジングルベルが流れている。パリの支局に働く南は、公園のベンチにすわる老人の前で足をとめた。「兵藤博士!私です!」うつろな目で南を見あげる老人の帽子のかげから、真新しいロボトミー(脳細胞摘出手術)の傷跡がのぞいた。十二月二十四日--街々は純白の雪におおわれていた。飛ぶように売れるクリスマスケーキ、はじけるクラッカー。それは一見、いつもと変わらないクリスマスの風景だった。しかし〈時〉は刻一刻と迫っていた。恐怖と戦慄をはらんで〈ブルークリスマス〉のイブが静かにふけていく。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.0“倉本聰、どうした!”

2025年6月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

事前に、
友人からこの作品の情報を得ていたところ、
偶然にも、その5ヶ月後にTV放映があり、
不思議な縁を感じつつ録画しての鑑賞に。

この作品、監督岡本喜八+脚本倉本聰
ということも興味深い一情報だったし、
キネマ旬報ベストテンでは、
第26位と決して高い評価ではなかったが、
東宝伝統のミニチュアを使った特撮や、
国会議事堂周辺環境がドロドロに溶ける
東京のラストシーンが衝撃的だった
「世界大戦争」とは異なり、
同じ人類の危機的な状況を描いていながら、
逆に特撮技術を全く使わないSF映画という
事前情報にも興味をかき立てられた。

そして、そうそうたる豪華俳優陣の登場や、
青い血の謎を巡る推理仕立て風の展開に
前半は魅入られた。

しかし、
話が進むにつれて不満が募る鑑賞に。

岡本監督の演出としては、
米国で取り調べを受ける若者の
青過ぎる舌の稚拙な演出や、
何の説明もない天本英世演じる人物、
また、長々とした国営放送報道課長の
米国での調査描写等々、
枚挙にいとまがない位、残念な描写が続き、
また、
これは倉本脚本が理由なのかも知れないが、
ビートルズをイメージしたような
ロックバンドの登場や
事件のタイミングをクリスマスにする設定に
も安易さを感じて不満が募るばかりだった。

この作品、ナチスによるホロコーストの
フィルムが挿入されたので、
青い血の人々を弾圧する側を
ナチスとオーバーラップさせていることは
間違いないだろうが、
だからこそ分からないのが、
血液が青色化した人々が人類にとって
何が脅威なのかが語られないのでは、
理不尽ながらもまだ理由があったであろう
ナチスのユダヤ人迫害と同じ行為が、しかも
世界中で同時に行なわれるという設定は
筋立てとして破綻してはいないだろうか。

実際、青い舌の米国の若者の
「神経質なところがなくなった」
との発言と共に、
UFOの光を浴びたヒロインの口からも
「嫉妬深さや憎しみの気持ちが
嘘みたいに消えた」
との台詞が飛び出すシーンがあり、
それからするとUFOは友好の使者である
ようにも感じる。
それなのに、なぜ血の変色者を敵対視する
設定としなければならないのか。
まさか、嫉妬や憎しみの心を取り払うことの
出来た人類が武装解除し、
そこにつけ込んで宇宙人が地球に侵略する
可能性を為政者が考えた、
とでもしたいのだろうか。

仮に、ラストシーンは、
好意的な宇宙人の心を理解しない為政者に
対して、市民の赤と青と血液の融合に
希望を託したのだとしても、
全体的な整合性には疑問を感じるばかりで、
“倉本聰、どうした!”
と疑問ばかりが浮かんでしまう鑑賞
となってしまった。

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KENZO一級建築士事務所

予言の書?

2025年4月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 血液が青くなってしまう人類が増え始める近未来のお話です。血の色が違うからと言ってそれ以外何の差異も実害もないのですが、赤い血の人間達は彼らを排除し始めるのでした。公開時に観た時には、血の色は人種や思想・民族の違いの暗喩なのかも知れないけどちょっと安易な設定かなと感じていました。

 しかし、脚本の倉本聰さんも監督の岡本喜八さんも当時は想像もしていなかったでしょうが、35年以上を経た現在観るとこれってコロナ禍の世界そのままじゃないかと驚きました。

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La Strada

4.5お前らの血は何色だーッ‼️

2025年2月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

悲しい

怖い

興奮

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活動写真愛好家

3.0血の色は世界を分かつのか(多様性とは?)

2024年12月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

単純

過去鑑賞したことはあるが、全然覚えていなかった。

未確認飛行物体に遭遇した者の血液が変性して青色になる、その者達を各国が意見の相違なく排除していく、というストーリー。ナチスのホロコーストが映像として挿入されていたが、異質な者を排除する人間の性を投影させているのだろうか。
本作では、異質な者は人間ではないとして、ある者は調査の対象となり、そしてまたある者は抹消されていった。翻って、我々の生きる現実世界はどうだろうか?異なる文化の者、異形の者に対して寛容といえるか?多様性を謳う世の中で、その分断が先鋭化してきている、そう感じているのは私だけではないだろう。
その具体的処方箋は何か?実のところ、人間が人間である限り、その解は得られないのかもしれない。皆が皆、善人となる世の中が今後も訪れることはないだろう。「それでもなお」より良い方へと向かう努力を続けないといけない。例えその努力が徒労に終わったとしても。

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Nori

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