不良少年(1980)
劇場公開日:1980年6月14日
解説
約束された将来に疑問を抱き、家を飛び出し自分の生き方を求めて彷徨う少年の姿を描く。結城昌治の同名の小説の映画化で脚本は「ハワイアン・ラブ 危険なハネムーン」の中岡京平、監督は「正午なり」の後藤幸一、撮影は兼松煕太郎がそれぞれ担当。
1980年製作/90分/日本
配給:東映
劇場公開日:1980年6月14日
ストーリー
ある強姦事件に巻き込まれ、高校を中退した隆は、家に戻らず、ピンクサロン・タヒチでボーイをして暮らしていた。恵まれた家庭に育ち、将来を約束された人生に疑問を抱いたからだ。新宿の街を彷徨う隆は、栄子という少女に出会う。ある夜、タヒチの閉店後に馴染のスナック雲母へ行った隆は、そこで栄子と再会する。店を飛び出し公園へ逃げる栄子に隆は迫った。彼女は近づくと青酸カリを飲んで死ぬと、小瓶を取り出した。何と、彼女はいつでも死ねるように青酸カリを持ち歩いているのだ。もう襲わないということで、二人の関係はなごみ、再会を約して別れた。夜明けの新宿、隆は喫茶店ダッタンのマスター朝本の部屋に転がりこんだ。朝本と雲母のママ・悠子だけが、隆の気持を理解できる大人だった。ある日、タヒチの経営主である天神会の事務所に警察の手入があった。隆はそのドサクサに挙銃を盗んだ。栄子に会う毎に愛を感じる隆は、その胸の内を朝本に話す。深夜の新宿を歩いていた隆は、警官の不審尋問を受け、押し問答のはずみで射殺してしまう。悪夢から逃げるように、悠子の部屋を訪れ、彼女を狂ったように抱いた。すでにモンタージュ写真が作成されバラまかれていた。栄子に会った隆は彼女から夢の話を聞く。彼女は一年三六五日日本国中の祭事が書かれた本を持っていてその全てを見て歩きたいという。追いつめられた隆は彼女とともに、青酸カリを飲んだ。しかし、それは只の調味料だった。大笑いする二人。そして、どちらからともなく抱き合う。生きる気力を取り戻した二人は、祭りめぐりに行くことにした。二人を追う警察と天神会。栄子との待ち合せの前に、隆は旅行代理店に寄った。新婚旅行の相談をする若いカップル。無雑作に扱われる札束。そんな光景に隆は思わず挙銃を抜いてしまった。その時、パトカーのサイレンが鳴り響いた。旅行代理店を警官が包囲、朝本もきていた。発砲する隆に、銃弾が集中した。地面に放りだされ、隆は絶命するのだった。