フリーター

劇場公開日:

解説

OLでもサラリーマンでもないフリーター(フリーのアルバイター)たちの生活と、プロの仕事師との対決を描く。脚本は宮下隼一と三村渉が共同で執筆、監督は「卍(1983)」の横山博人、撮影は「名門! 多古西応援団」の佐々木原保志がそれぞれ担当。

1987年製作/98分/日本
配給:東宝東和
劇場公開日:1987年

ストーリー

石巻健次は大学狼人中ながらアルバイトに精を出し、友人の志水隆がつくった“フリーター・ネットワーク”というアルバイトの人材派遣サークルに参加していた。メンバーは彼のほか津村香織という女の子が一人。ある日、健次は駅前でキャッチ・セールスのアルバイトをしていたところ、逆にキャッチ・セールスの女の子に引っかかってしまった。その向日葵という名の通り健康的な美しさをもった女の子に一目ぼれして、つい信用しサインまでしてしまったのである。隆が見破って注意するまで、だまされたのもまったく気がつかない健次だった。隆らの仕事はいわばはやりの便利屋のようなもので、頼まれればファースト・フードの出張販売から草野球の代打屋まで何でもやった。代打屋の場合、ホームランでも打とうものなら余計にお金をもらえた。だが、素人につきものの失敗もあった。結婚式の巫女さんとして呼ばれたときは香織が花嫁の衣裳のすそを踏んづけて転ばせてしまった。弱小ヤクザの葬儀にサクラとして行ったときは、途中で逃げて帰ってくる始末。そのほか、新薬の臨床実験など、どちらかというとマトモでない仕事のほうが多かった。向日葵は過不足ない資産家の家に生まれたがゆえに、退屈な毎日を送っていた。趣味といえば彫刻くらいなものの。境遇は違っていたが、健次と向日葵はお互いに感じ合う部分があり、結ばれた。しかし、彼女は相沢卓也というプロの仕事師とも関係をもっていた。相沢は相当ヤバイ橋を渡ってきたとも思われる得体のしれない男だった。あるとき隆や健次らネットワークのメンバーは香織の父親の経営するディスカウント・ショップで働くことになった。だが、店は経営不振で借金のかたに権利書を相沢に取られてしまう。プロとアマの仕事ぶりの違いを見せつけられただけでなく本人から向日葵との関係を知らされた健次は悔しさでいっばいだったが、今はどうすることもできなかった。やけになってアパートの隣人、野上ジュンコと寝てしまう健次。そのとき健次はパソコン狂の友人・五十嵐トオルとの雑談をふと思い出した。「日本では型遅れになったLSIチップでも、海外では必要としてはいないだろうか?」ついに健次は隆ら“フリーター・ネットワーク”のメンバーと本格的なビジネスに乗り出した。順調にLSIを買い集めていたが、ある日全国の市場からLSIが急速に減り始めた。誰かが同じことを始めたのではと調べてみると、またしても相沢だった。健次らより購買力に勝る相沢だが、健次らも負けじと勝負に出た。しかし注文の約束にはあと三千個足りないところで苦しんだ。もう時間がない。タイムリミットぎりぎりのところで相沢が六万個のLSIを放出。健次らはことなきをえた。相沢がLSIの注文に応じた香港の会社は品物を共産圏へ売ろうとしており、COCOM違反の恐れがあった。

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