無頼無法の徒 さぶ
劇場公開日:1964年3月25日
解説
山本周五郎の同名小説を「黒い太陽」の山田信夫が脚色「いつでも夢を」の野村孝が監督したアクションもの。撮影は「成熟する季節」の高村倉太郎。
1964年製作/102分/日本
配給:日活
劇場公開日:1964年3月25日
ストーリー
栄二とさぶは、東京下町の経師屋「芳古堂」に奉公する性格の対照的な若者だ。敏捷で腕もたつ栄二と鈍重なさぶ、自然、人気は栄二に傾いた。さぶは「すみよし」の女中のぶに好意を寄せていたが、それさえも自分では言えない男だった。ある日呉服屋「綿文」に行った二人は、十年前に知り合ったすえと再会した。彼女は再会と共に栄二にひき寄せられた、が栄二がどこでも女性の話題なのにすえは嫉妬に燃えた。その頃「綿文」の家宝が無くなった。古代箔白地金襴の切れは誰の企みか栄二の道具袋の中から出て来た。「盗っ人」と呼ばれ、芳古堂を解雇された栄二は、無実の罪に一睡もしない日が続いた。誰にも逢わないという栄二に会ったさぶは「自分を立派にみせるために、俺を利用したお前に復讐してやったんだ」と告白した。驚愕した栄二は石川島の人足寄場に送られ、狂人と思われる程暴れまわった。ある日面会に来たすえから、さぶが葛西の家に帰ったことを聞くや栄二の心に、むらむらと復讐心が湧きあがって来た。何とかして脱走しようと試みる栄二だが、脱走計画は仲間割れから失敗に終った。数日後、面会に来たさぶは、栄二と腹を割って話し合った。今は独立して自信を持ったさぶだ。三カ月後出所した栄二を待っていたのはさぶが貯金してこの日の為に建てた二人の店だった。そして花嫁姿をしたすえの姿も。しかし喜ぶ皆の前ですえは意外な話をした。「栄二を自分のものにしたいばかりに、栄二の道具袋の中に家宝を入れた」と言うのだ。新な怒りにふるえる栄二を、さぶはなだめてすえとの幸福な生活へとすすめるのだった。