冬の華

劇場公開日:

解説

殺した相手の娘を気にかけ、伯父だといつわり文通を続けながら、彼女の成長を見守るうちに再び義理によって人を殺す男の姿を描く。脚本は「君は海を見たか」の倉本聰、監督は「夜の演歌 しのび恋」の降旗康男、撮影は「犬神の悪霊」の仲沢半次郎がそれぞれ担当。

1978年製作/121分/日本
原題または英題:A Flower in the Winter/A Flower in Winter
配給:東映
劇場公開日:1978年6月17日

ストーリー

関東の東竜会幹部、加納秀次は、会長の坂田良吉を裏切り、関西の暴力団に寝返った松岡を殺害した。殺された松岡には三歳になる洋子という一人娘があり、加納は洋子を舎弟の南幸吉に託して、旭川刑務所に服役した。服役中、加納はブラジルにいる伯父といつわり、洋子と文通を続ける。十五年の刑期を終え、出所した加納は、洋子に加納の手紙を運ぶうち彼女の恋人となった竹田の案内で、洋子の姿を見ることができた。ある日、洋子の手紙によく書かれていた喫茶店で、加納は彼女と出会う。加納がブラジルにいる伯父ではないかと思った洋子は、彼にそれを尋ねようとするが、加納はすばやく彼女の前から去り、店を出て行った。組結成の話も断わり、堅気になろうと決心していた加納は、坂田から、息子の道郎の相談相手になってくれと頼まれる。加納と道郎が再会を喜び合ったのも束の間、坂田は関西の暴力団員に殺される。その仇を討つため、関西連合の三枝と東竜会を裏切った山辺を、道郎が狙っていることを耳にした加納は、坂田から道郎を頼まれたこともあって、苦悩する。山辺殺害を決意した加納は、洋子へ電話をかけ、当分日本には帰れないというのだった。翌日、南に道郎が外に出れないように見張らせた加納は、山辺のもとへ向かう。それは、再び会うことができないであろう洋子の幸福を願いつつ、十五年前の状況に戻ってしまう加納の宿命であった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
脚本
倉本聰
企画
俊藤浩滋
橋本慶一
撮影
仲沢半次郎
美術
井川徳道
音楽
クロード・チアリ
録音
溝口正義
照明
増田悦章
編集
堀池幸三
進行主任
俵坂孝宏
助監督
藤原敏之
スチール
遠藤努
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受賞歴

第2回 日本アカデミー賞(1979年)

ノミネート

助演男優賞 夏八木勲
技術賞 井川徳道
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映画レビュー

1.5健さんがひたすらかっこいいだけ

2021年5月15日
スマートフォンから投稿

の映画、裏切った小池朝雄を仲間と一緒に殺しただけで終わるのはいくら何でも尻切れトンボ。最後には健さんが全責任を負って単身乗り込んで行って関西の悪いヤクザを皆殺しにして、血まみれの姿を、あしながおじさんを夢見ていた池上季実子の前で見せる悲しいラストにしなきゃ。予算が尽きたのか、監督がよっぽど分かってないのか。

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ブロディー署長

4.0倉本聰テイストのヤクザ映画。渋かったです。 池上季実子輝いてました。

2021年5月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

倉本聰テイストのヤクザ映画。渋かったです。
池上季実子輝いてました。

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tuna

4.0冬の華とは何でしょうか?

2020年5月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

冬の華として思いあたるのは、

冒頭の15年前の回想で3歳の松岡洋子が持つ風車
成長した現在の松岡洋子
横丁の路地にあった雪に埋もれそうな鉢植えの残菊

思い当たるのはこれらでしょう
それらも指すでしょうが、本当は違うと思います

冬の華、それは主人公の加納、彼自身のことだと思います

仁義の廃れたヤクザの世界に未だに昔ながらの男のままでいるのは彼だけです
それはまるで冷たい雪に埋もれそうな残菊そのものです
だからラストシーンで振り返った加納の顔に雪が降りかかっているのです

本作は外形上、ごく普通のありがちなヤクザ映画です

ただ特徴として次の3作品を下敷にしてかき混ぜて再構成された点で印象の異なる作品になっています

1964年 乾いた花 池部良主演
1965年 顔役 鶴田浩二、高倉健主演
1973年 仁義なき戦い 菅原文太主演

乾いた花の池部良は本作につながっている同一人物にも思えてきます
舞台も横浜です
題名も似ています
衣装のおしゃれさは特筆ものです
そして凄まじい虚無感は本作に反映されているものです
音楽もモダンジャズが使われて、乾いた感覚をもたらしています

本作の音楽はクロードチアリの哀愁たっぷりなギターです
乾いた花がヤクザ映画の乾極であるなら、本作は湿極を目指していることを表現しています

顔役のストーリーは、関東ヤクザ対関西ヤクザの抗争で、本作の筋書きに近いものです
この作品もおしゃれさが際立っています

本作の衣装も地味ながら結構おしゃれです
特に主人公と南の衣装は良く吟味されています
ヤクザ風ではないダンディーさで、素材感も良いものと伺えるものです
しかも、芸術風味というかハイカラ志向があります
主人公の港が見える丘の高級マンションの室内シーンは見事でした
蒼い油絵、藍色のランプシェード、黄色いレモン、バスルームの青いタイル、キッチンの青みのある光
ハッとする美しさです
すべて狙った構図と色彩です

こういった趣向はこの2作品からの由来だと思います

仁義なき戦いは抗争シーンの手持ちカメラのブレなど撮影手法を取り入れています
しかし田舎臭さは本作には微塵も持ち込まれていません

洋子はほんとうは山口百恵で当て書きされた脚本だったそうです
そう聞けば納得です
池上季実子には何の責任もありません

山口百恵を配役出来なかったこと
それならばと代役として池上季実子を配役したこと
これは製作陣側の責任です

山口百恵ならどんなに明るく振る舞っていても、不幸な生い立ちの空気が滲み出ていたはずです

池上季実子にはそんな空気は出せません
冬の華の風情はでません

もっと他にはいなかったのでしょうか?

その配役にしくじった点で本作は大きく羽ばたくことは出来なかったのです

とはいえ高倉健の演技、取り巻く脇役陣の熱演は素晴らしいものがあります

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あき240

3.5昭和の親父向け映画。高倉健はいいぜぇ(親分風に)

2020年4月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

高倉健が渋い!
まさに高倉健さんを堪能するための映画と言って良い。
でも脇役も良かった。藤田進、峰岸徹、夏八木勲、田中邦衛、小池朝雄、北大路欣也、小林稔侍…みんな良いわ!!

あえて劇中にチャイコフスキーやシャガールを使ったり、加納の部屋での絵画や青い電気やレモンの配置とかセンスがとても良かった。

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共感した! 7件)
トラ吉