風来坊探偵 赤い谷の惨劇
劇場公開日:1961年6月9日
解説
松原佳成・神波史男の共同脇本を、新人・深作欣二が監督した千葉真一のアクション・ドラマ二部作。撮影は「あれが港の灯だ」の飯村雅彦が担当している。
1961年製作/62分/日本
配給:ニュー東映
劇場公開日:1961年6月9日
ストーリー
香山美佐子はセスナ機で墜落死した、兄の墜落現場である赤岩岳山麓の村にやって来た。兄は新日本開発会社青雲社長と一緒に遭難したのであった。土地不案内の美佐子は上田牧場の娘、ちか子に連れられて現場に来たが、何となく兄の死因に不審を待った。そこには、新日本開発会社の依頼をうけた、通称風来坊探偵の西園寺五郎も来ていた。五郎は、本格的調査をするために上田牧場に泊めてもらうことになった。美佐子もまた、ちか子の勧めで牧場に暫く滞在することになった。上田牧場は孤児達の世話をみる牧場主の上田と娘のちか子を中心に平和に明け暮れていた。その翌日、地元の北東観光のボス鬼頭と手下が牧場に現われた。鬼頭は日頃から新日本開発を押しのけて附近一帯の観光事業を独占しようとしていた男だ。牧場は新日本開発の土地であるが、鬼頭は青雲社長直筆の土地譲渡書をタテに強引に立退きを追って来たのだ。そんな彼らを五郎が追っ払った。しかし、後でスペードの鉄と名乗る鬼頭の用心棒が五郎に決闘を申込んできた。広大な雪渓上で、鉄のルガー拳銃と五郎のウィンチェスター銃との勝負がはじまった。だが、腕は互角だった。二人はこの時、ウマがあうというのかお互に奇妙な友情を感じあっていた。鉄の助言で鬼頭の情婦踏絵が、もとスチュワーデスと知った五郎は、鬼頭のロッジに忍びこんで一個のパラシュートを発見した。五郎は踏絵を墜落現場に誘い出し、踏絵が鬼頭の命をうけて青雲社長を拉致した後、離陸寸前のセスナ機に潜入、上空で香山操縦士を殴って失心させ自分はパラシュートで降下した墜落の推理を語った。全てを観念した踏絵に、鬼頭の手下の拳銃が火を吐いた。一方、鬼頭は牧場に火を放ち実力行使にでてきた。その火を見て牧場に駆けつけた五郎は、鉄の加勢で鬼頭一味を倒すのだった。 〔岬を渡る黒い風〕 風来坊探偵こと西園寺五郎は、江藤漁業江藤重吉の娘慎喜子に事件を依頼されて房総半島新岬港に向かった。江藤漁業は相次ぐ海難事故のため危機に頻していた。しかもその事故原因が決って時化の金曜日に起ることから重吉は、娘を五郎の迎えにやったのだ。五郎が江藤漁業へついた時に、重吉は水死体となっていた。五郎の活躍が始った。新岬港にはもう一つの漁業会社堀越海運がある。南房水産研究所の仕事を一手に引きうけて繁昌していた。南房水産は所長の南条博士、五味助手、所員の千代子を中心に、プランクトン放流による漁法の研究を課題としていた。その後援者は町の実力者の多々良大造であった。採算がとれそうにもない研究に多々良は絶大な援助を送っていた。水産研究と堀越海運との結びつきに疑問を抱いた五郎に、堀越海運にいるジョーカーの鉄という渡り者が戦いを挑んできた。断崖の岩場に、鉄の拳銃と五郎のウィンチェスターが対決した。だが腕は互角だった。二人の胸にはいつか友情が湧いていた。五郎は時化の日の金曜日、あけぼの丸で水産研究所の実験海域へ密かに潜入した。そこで五郎が見たのは、堀越海運からのチャーター船が、此処で貨物船と麻薬の取引をしている現場だった。江藤海運の沈没船はいずれもこの現場をみたためだった。この海域から離脱しようとしたあけぼの丸は、貨物船に発見され、ダイナマイトを投げつけられた。あけぼの丸は怒濤の中に沈んでいった。この事件で、麻薬団の首領、五味こと蒋石海は、身の危険を知った。南条博士が傀儡のボスとなって堀越一味が沖から運んでくる麻薬を多々良とその情婦紫都子に輸送させていたのだが、麻薬ルートの全ぼうのばれるのを恐れて多々良と紫都子を射殺した。そして堀越剛之助とその幹部も部下に命じて射殺させた。逃げるための楯に慎喜子を捕まえた。その騒ぎの最中に、あけぼの丸と一緒に沈んだはずの五郎が鉄と現われた。二人の拳銃とウィンチェスターに、蒋一味は次々と倒れていった。最後には蒋も断崖まで追いつめられ、やがて消えていったのだった。