ヒポクラテスたち
劇場公開日:1980年11月22日
解説
京都府立医大を卒業した大森一樹監督が自らの体験をもとに、大学病院での臨床実習を通して、医術を身につけていく若者たちの青春群像を描く。脚本・監督は「オレンジロード急行」の大森一樹、撮影は「日本の悪霊」の堀田泰寛がそれぞれ担当。
1980年製作/126分/日本
原題または英題:Disciples of Hippocrates
配給:ATG
劇場公開日:1980年11月22日
ストーリー
京都・洛北医科大学。医学生の最終学年は臨床実習(ポリ・クリ)にあてられ、六~七人に分けられたグループが、内科、外科、小児科など、十七の科を一周間ごとのローテーションで廻っていく。愛作たちのグループもその一つだ。グループには、定期試験に出た「避妊法」は完璧に答えたくせに恋人の順子を妊娠させてしまった荻野愛作(二十六歳)、医者になることに不安を抱く木村みどり(二十四歳)、プレイボーイの河本一郎(二十五歳)、野球の大好きなワンちゃんこと王龍明(二十四歳)、脱サラの加藤建ニ(三十一歳)、ガリ勉の大島修(二十三歳)などがいる。ポリ・クリは、新しい発見と失敗の連続。みどりは皮膚科でインキンの若者に逃げられ、大島はガンの診断が当って、喜びの声をあげてしまったり、河本は分娩介助で人形の赤ん坊の片腕をひっこぬいてしまったりだ。愛作の住む学生寮では、連日寮会議が開かれたいた。新入生の野口、左翼運動家の南田、寮長の渡辺らが寮運営から現代医学の問題点をディスカッションしているのだ。新入生の野口はやがて南田とともに運動の渦中に入っていく。愛作も、昔は南田とともにビラを撒いたこともあるのだが、今では関心も薄らいでいる。愛作が順子を堕胎医に連れていった。彼女の妊娠がはっきりしてから二人の仲はしっくりしていない。そして、順子に手術を受けさせた頃から、人の生死を扱う職業に就くことへの愛作の危惧は高まっていく。それ以来、愛作は順子の身を案じながらもしばらく彼女の家を訪れていない。ある日、順子から愛作に電話が入った。出血が止まらないらしい。愛作は河本のスポーツカーで、順子を河本の父親の病院ヘ入院させた。愛作の自信のない態度に河本は「近頃、こう見えても俺、自分が医者になりたいと思うことが月に4回はある」と話す。「俺はその逆が、月に4回はある」と答える愛作。入院後も容態の良くならない順子は郷里に帰っていく。迎えに来た順子の父親は、苦言どころか優しい言葉を愛作にかける。愛作は自分のふがいなさに気の滅入る思いだ。その頃、野口は活動中に警察に逮捕された。愛作は心の重さから逃れるかのように、医師国家試験の勉強に没頭するのだった。