ひとごろしのレビュー・感想・評価
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サムライらしいエンディング
主演の二人は良い役者だったな。丹波哲郎さんにこういう役ははまりすぎだし、松田さんの役作り、細かい仕草には感心。若き高橋洋子さんはふっくらしていたんだな。
臆病者とサムライ、というテーマなんだけど、一番のサムライはこのエンディングを採用したスタッフかな? 後日談を一切見せない潔さは一番のサムライだな。
卑怯者ではない臆病者の刃
山本周五郎原作の時代劇で、なかなか面白かったです。藩士を斬って逐電した凄腕の剣術師範を丹波哲郎、それを討つ追手に立候補する藩随一の腰抜け侍を松田優作と言う、キャスティングからして絶妙です。なんと言っても、アクションスターの松田優作の腰抜け振りが面白く、道中で相手に嫌がらせを徹底的にしたかと思えば、弱者なりの戦い方があると開き直るあたりのコミカルな切り返しが、後年の大ヒットTVドラマ『探偵物語』の工藤ちゃんを思わせます。ここで、彼が言い放つのは、武芸者と同じく土俵で戦うことの理不尽さ、弱者なりの戦い方への信念であり、思わず納得してしまいました。監督さんはTV出身の方ですが、ドタバタにならないよう軽妙さをキープしながら役者二人のキャラをうまく活かして手慣れた感じでした。役者では、松田優作は言うに及ばす、丹波哲郎の豪放磊落な感じがよかったです。
その人、人殺しですよー
戦略ミス?
可憐な五十嵐淳子
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自宅(CS放送)にて鑑賞。35年前の'76年公開、山本周五郎原作。タイトルとは裏腹にコメディ・タッチな一種のロード・ムービー。風景がビビッドで美しく収められており、何度か登場する明るい昼間の雨シーンもよく撮れている。主演“双子六兵衛”役でコミカルな松田優作が観れる。当時プライベートで中村雅俊と争奪戦を繰り広げた五十嵐淳子が“かね”で出演。“およう”の高橋洋子、初々しく瑞々しい演技。“仁藤昂軒”役の青年期の丹波哲郎はアグレッシブな上、堂々として存在感が有り、晩年の印象とは随分違う。50/100点。
・鑑賞日:2011年9月2日(金)
脚本が素晴らしい
松田優作のオーバーアクション。妹かねにもこばかにされるほど。臆病な侍の双子は道中、ばったり出会うが、縮み倒れてしまう・・・まともな勝負をしても勝てる見込みはまったくないので、彼なりの勝負に出た。彼を追い掛け回して「ひとごろしー!」と叫んで、周りの人間に注意を呼びかけ、彼を窮地に追い込むという手に出たのだ。
越前から富山藩に辿りつき、結局試合をするハメになった双子だが、ここではまた新たな作戦を思いつく。狂った振りをすることだ。バカらしくて勝負を諦めた昂軒は江戸へ行き切腹しようとしていたのだが、さらに双子は追いかけて「ひとごろし」呼ばわりする。
侍であっても人を斬ったことのある者はそんなにいないという事実や、弱き者が強者に勝つこと。単純な小噺のような映画なのに奥が深いとも思わせる。ちょっと得した気分にさせてくれた。
つかず離れずの距離をどう保つか
総合:65点
ストーリー: 60
キャスト: 75
演出: 60
ビジュアル: 70
音楽: 60
正面きって戦うだけが武士ではない。臆病で剣術もからっきしなら、自分に出来るやり方で相手に対峙する。こういう話もいいかなとは思う。
だが、拡声器もない時代に「ひとごろし」と叫んで聞こえる距離なのに、それでもいつも追いかけようとする相手から逃げ切れるというのが気になる。相手は鍛え抜かれた武芸者、しかも途中からは松田優作は女連れ、いつもそれで逃げることが出来るというのがどうにもおかしい。つかず離れずの距離を保ち、相手が精神的に追い詰められるほどいつも叫んでいつも逃げられるというのが話の根本になっているだけに、そのあたりが成立しないと話そのものが成立しなくなる。
お見事、松田優作は稀代のエンターテイナーだ。
期待していなかった作品だが暇つぶしになるかなと思ってみたが意外と面白かった。犬が苦手で運動音痴の侍が妹の為に一念発起して自分のやり方で仇を討つという作品ですが、そのやり方は本当に卑怯です(笑)
侍の世にゆるされんだろうさすがにって感じです。でも意外と筋が通っていて最後はハッピーエンド。なんだろうね。どっちかというコミカルな松田優作はこの時に出来上がっていたんでしょうね。だって探偵物語の演技と同じだし。懐かしい事をおもいだした作品でした。
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