美徳のよろめき

劇場公開日:

解説

三島由紀夫の同名ベストセラー小説の映画化。「海の野郎ども」の新藤兼人が脚色、「殺したのは誰だ」の中平康が監督した。撮影は「鷲と鷹」の岩佐一泉。主演は「鷲と鷹」の月丘夢路、三國連太郎、「誘惑(1957)」の葉山良二、千田是也。ほかに宮城千賀子、安部徹、高友子など。

1957年製作/96分/日本
原題または英題:Fresh is Weak
配給:日活
劇場公開日:1957年10月29日

ストーリー

名門の家に育ち、倉越一郎と親のきめた結婚をした節子は、幼稚園に通う男の子の母としても、平凡な生活を送っていたが、その中には自分でも知らぬ官能の天賦がひそんでいた。夫婦のいとなみも間遠くなったこの頃、彼女は結婚前に避暑地で、拙劣な接吻を交した土屋という青年を思い出し、彼と再び交際をもつようになった。節子は道徳的な恋愛、空想上の恋愛をすることにきめ、それ以上は青年と深入りしまいと考えていた。だが二度目のあいびきの折、「真裸で御飯を食べたら」という土屋の話をきき、その情景を空想しながら眠れぬ一夜をすごしたが、間もなく夫に偽って土屋と旅に出たホテルで、二人は肉体的な関係をもつようになり、真裸の朝食をとって以来、節子は土屋と会うたびに自分の体を男にまかせた。そのうち彼女は夫の子供を懐妊したが、「不義の受胎」として掻把し、土屋の前で酔いしれたあげく、夫にその場を発見されたり、快楽と苦痛の逢引を重ねていたが、たまたま友人の与志子が情夫に刺されたという新聞を読み、その夫が会社を辞めたときくと、そろそろ土屋との関係を断とうと考えはじめた。それは夫のためでも家のためでもない。自分のつくり出した恋愛を、自分の手で断とうという、一つのためしであり、土屋と会うたびに彼女は「別れ」という言葉を口にした。土屋もそういう節子の気持を理解し、一度の接吻を交しただけで大阪に去った。だが、男がいなくなってしまうと、節子はこの「別れ」が想像以上に苦しいものであることを知った。その苦しさを、激しい恋の手紙に書きつらねたが、その手紙は彼女の手で破りすてられた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0脚本はあまり良くないが、中平康監督らしい映像ショットには魅力を感じた

2024年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

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Kazu Ann

3.5気品ある女性の不倫とその結末

2022年9月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 三島由紀夫のベストセラー小説を新藤兼人が脚色。名門の家に生まれ、経済的に恵まれた結婚をした倉越節子(月丘夢路)は、避暑地で出会った青年と愛し合うようになる。プラトニックな関係にとどめようと思いながらも、許されぬ恋にのめり込んでいく節子の心理を描く。 (広島市映像文化ライブラリーより)  中平康監督は、『月曜日のユカ』『狂った果実』と私の好きな監督である。  この『美徳のよろめき』の原作は、三島由紀夫の長編小説。名家の生まれで躾も厳しく、気品のある振る舞いの人妻(月丘夢路)と年上でガサツで品のない夫(三國連太郎)。そこに結婚前、テニスの男友達(淡い恋人)と再会し、会わずにはいられない気持ちがだんだんと深みにハマっていく。 相手の男性は強引に引っ張っていくタイプではなく、また、月丘夢路も人妻であることから、日記を付けながら思いをつのらせていく。しかし、あくまでも美徳を貫こうとする。一方で、女友達は自由に不倫を楽しんでいる。  新藤兼人脚色ということで、起承転結を重んじる内容だと思っていたが、「転~結」があっという間に展開し、モヤモヤした感がある。その辺りの人妻の苦悩は相当なものがあったと思われるのだが。三島由紀夫の小説のストーリーは踏んでいるようだが、小説ではどのように描いているのか気になるところである。  映画ポスターでは、「官能の海にただよう若き人妻 節子」「夜読んでは眠れないーとまで評判される三島由紀夫問題作の映画化!」と結構過激な言葉が並んでいるが、昭和32年の制作なので女性の不倫を映像で表現する方法もある程度節度あるものとなっている。名家の出で、気品高く、抑制の効いた、和服が似合い、しかも官能的な雰囲気を醸し出す人妻を演ずる月丘夢路は、この役にとてもふさわしいと思う。 広島市映像文化ライブラリー月丘夢路特集 「美徳のよろめき」 1957(昭和32)年 日活 96分 白黒 16㎜ 監督/中平 康 出演/月丘夢路、三國連太郎、葉山良二、南田洋子

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M.Joe

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