晩春
劇場公開日 1949年9月19日
解説
小津安二郎監督が広津和郎の小説「父と娘」を原作に父娘の絆を描いた名作ホームドラマ。大学教授の周吉は早くに妻に先立たれ、娘の紀子と2人きりで鎌倉に住んでいる。いまだに独身の紀子を心配する周吉だったが、周吉の妹まさが縁談を勧めても紀子は頑なに受け入れようとしない。周吉はそんな紀子に、自分も再婚を考えていると告げる。小津監督が娘の結婚や親の孤独を題材にした初めての作品で、その後の小津作品の作風を決定づけた。原節子が紀子役を演じる「紀子3部作」の第1作にして、原が初めて出演した小津作品でもある。小津監督が野田高梧と共同で脚色も手がけた。
1949年製作/108分/日本
配給:松竹
スタッフ・キャスト
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2022年5月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
内容は早くに母を無くした父親と独身27歳の1人娘の親子関係にフォーカスした静かで、何処となく寂しさと幸せを感じる作品。原節子主演の紀子三部作を楽しみに鑑賞。好きな言葉は『ねぇ!お父さん!私お父さんの事とても嫌だったんだけど‥zzz』本当の事は伝えられない切なさは目が醒める場面でした。嫁に行かないと心配だし行くと心配だ。とも父親同士の会話。『そんな事ならお前と方方行っておくべきだったよ』小津安二郎節とも言える積年の後悔は誰しもが多少感じるのではないでしょうか?!自分が気になったのは妹は拾ったがま口財布👛は本当に届けたのか気になります。捨てる神有れば拾う神ありなんでしょうか?!そして旅の最後に、これが人間世界の歴史の順序なんだよという台詞通り、最後の寄せては返す鎌倉の浜辺で終わるシーンを其々の立場で共感する事の出来る素晴らしい作品でした。
2022年5月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、VOD
ー 妻を早くに亡くした曽宮周吉(笠智衆)は、大学教授をしながら娘・紀子(原節子)と2人で暮らしている。
紀子は27歳になるが、身体を害したこともあり、父を置いてよそへ嫁ごうとはしなかった。周吉と彼の実妹・田口まさ(杉村春子:コミカルな演技で作品にアクセントを与えている。)は、結婚を渋る紀子の相手を何とか見つけようとするが…。ー
◆感想
・私事で恐縮であるが、一昨日娘が”お父さん、今年も京都に行かないんだ!”と言いながら帰省した。愉しき二晩を過ごし、彼女は旅行に!行った。
今作では、娘が27歳になるのに嫁に行かない事を心配する父や実妹の姿が描かれ、最終盤で、紀子は父の説得を聞き入れ、嫁に行く。
- 名作であるし、父娘で京都に行った時の紀子が父に掛けた言葉、”私は、ずっと父さんの傍にいるわ・・。”という言葉には、素直に感動した。-
・今作は、20代に一度鑑賞している。だが、当時、何が面白いのかサッパリ分からず・・。40代になり、年頃の娘を持つ身になって初めて響いた作品である。
- 映画って、観る時の年齢、境遇によって全く感想が違う事を体験した。-
・但し、今作の後半の流れは余り好きではない。
紀子の気持ちが蔑ろにされているからだと感じたからである。
結婚は必ずしなければならないものではないと思う。(してくれれば、勿論嬉しいのだが・・。)
- 私の枕頭には、お気に入りの文庫本が10冊程度、月替わりで置いてある。その中には現在、石井妙子著の「原節子の真実」がある。その中の彼女のコメントを記載する。
”親の言う事を聞いて、見合い結婚を選んで生きていく。そういう意味で、今度の「晩春」の役にはちょっと割り切れないものがあり、遣りにくい役です。”
成程。
本当に純正日本人ですか!という美貌、容姿を持った大女優は、意識の面でも時代の先を行く方だったのである。-
<今作は、父娘の感動作ではあるし、小津安二郎の映画監督の地位を盤石のモノにした作品であるし、能のシーンでの原節子演じる紀子の苦悩する表情も印象的な作品である。
少しづつ、日本が世界に誇る大女優、原節子さんの作品を見て行こうと思った作品の中の一作である。>
2022年4月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
父(笠智衆)は作家で、娘(原節子)と二人で暮らしている。
娘は父の老後をみるつもりで、結婚なんか、と力んでいる。
父はそんな娘を心配し、後妻をもらうつもりだと話す。
それまでニコニコしていた原節子が、般若のような形相になり、ちょっと怖い。
最後は泣けます。
やもめ父と、独身娘。もうこの設定があかん、私の好きな話。
周囲からの縁談に乗り気じゃない娘を、どう嫁がせるか。娘の気持ちが痛いほどわかるので、最後父が語る幸せの定義。今にも通じる話で、もう涙ボロボロでした。
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