はだしのゲン(1976)

劇場公開日:

解説

太平洋戦争終了時の広島を舞台に一人の少年を通して戦争の悲惨さと原爆の非道さを告発する。原作は中沢啓治の同名劇画。脚本・監督は「太陽の詩」の山田典吾、撮影も同作の安承[王文] がそれぞれ担当。

1976年製作/107分/日本
原題または英題:Barefoot Gen
配給:共同映画
劇場公開日:1976年1月24日

ストーリー

昭和20年4月、太平洋戦争も終わりの頃の広島。国民学校2年の中岡ゲンは、今がわんぱく盛りの男の子。ゲンの父・大吉は、日頃から戦争に批判的だったが、ある日、町内会の竹やり訓練の時「この戦争は間違ってる」と言ったために“非国民”とののしられ、特高警察に逮捕されて拷問を受けた。そのため大吉の家族に、米を売ってくれなくなり、“非国民の子”として、長男の浩二、姉の英子、ゲン、進次も周囲からいじめられるようになった。しかし家族は、警察の拷問にも屈せず自説を曲げずに帰った父を暖かく迎えるのだった。そんな彼らを朝鮮人の朴は、大吉を正しいとして何かと一家の力になるのだった。しかし、浩二は“非国民”の重みをはね返すために予科練に志願、両親の反対を押し切って海軍航空隊に身を投じていった。そして8月6日、午前8時。ゲンはいつものように快晴の空の下を学校に急いでいたが、突然、B29が上空に現われたかと思うと強烈な白い閃光が走り、続いて巨大なキノコ状の雲が広がった。丁度、学校の塀の陰にいたゲンは運よく助かったが、町は猛火と黒煙の中で波うつように崩れさり、その姿を一変させていた。焼けただれた町の中を夢中で家に駈け戻ったゲンの見たものは、家の下敷きになった父の大吉、英子、進次の姿だった。そして余りのショックで母の君江は、突然、陣痛に襲われゲンの助けで出産した。8月15日、ガラス屋の堀川は、全身にガラスの破片を刺して苦しみながら死んだ妻の遺体を焼いた。その遺体に手をあわせる君江とゲン。その廃虚となった町の上を、敗戦を告げる天皇の放送が流れた。「天皇陛下様、戦争を止めさせる力がおありなら、どうして戦争を始めるのを止めて下さらなかったのですか!」母の君江は必死に叫ぶのだった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

5.0三國連太郎

2018年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

 この映画は公開当時に観た。当時、『野性の証明』で三國連太郎が憎い役をやっていたので、正直言って面食らっていた。しかし、ま、これは反原爆、反戦の色がかなり濃い作品です。戦争に反対されるだけで非国民扱いされ、子供たちまでもが暴行を受ける。そんな風潮の中でも、勇敢にも戦争反対を口にする中岡家の主、大吉(三國連太郎)がいい演技で泣かせてくれます。原作とは違ったエピソード・・・大吉が戦争の絵専門の画家になることを拒否したことなどが追加されている等あって、前半はかなり練りこんである映画となり、原作を超えていると思います。

 後半は8月6日、原爆が落とされるまでの話。中岡家の柱時計がいい演出です。空襲警報が一旦解除されるというリアルさも、胸に込み上げるものを感じてしまい、あらためてこの8時15分の恐怖を思い知らされます。牧伸二も好演技。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
kossy

他のユーザーは「はだしのゲン(1976)」以外にこんな作品をCheck-inしています。