ねずみ小僧怪盗伝
劇場公開日:1984年12月28日
解説
昼は麦とろ屋、夜はねずみ小僧となって活躍する姉弟の姿を喜劇タッチで描く時代劇。脚本は「夏服のイヴ」のジェームス三木、「迷走地図」の古田求、同作の野村芳太郎の共同執筆。監督は野村芳太郎。撮影も同作の川又昂がそれぞれ担当。
1984年製作/98分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1984年12月28日
ストーリー
女流文学者・与謝野ハル子がねずみ小僧の研究にと次郎吉とお駒を取材しにくる。二人は若い頃の回想を始めた。時は江戸時代。深夜の鐘がゴーンと鳴る頃、金竜寺境内にある麦とろ屋の一室から次郎吉が動き始める。彼は黒装束に身を包み、豪商の家を狙って金品を盗み出すねずみ小僧だったが、実のところ、夢遊病者であった。盗品は山のごとく集まり、次郎吉の姉・お駒がねずみ小僧となって盗品を貧しい人々に配って歩く。町中、ねずみ小僧の噂でもちきりだった。品川沖に黒船が控え外国使節を迎えている手前、貧民対策に躍起となっている幕府は、遠山の金四郎こと金さんにねずみ小僧退治をまかす。金四郎は年老いたむっつり右門にねずみ退治を命じた。右門の子分・甚六は捕方集めに駆け回り、麦とろ屋で作戦会議を開く。そこに町人姿の金四郎が現れ仲間に加わった。ある夜、甚六たちに追いつめられたねずみ小僧姿のお駒を、金四郎が助け、お駒は彼に恋心を抱くようになる。ある日、次郎吉が美しい娘を盗んできた。彼女は記憶喪失症にかかっており、麦とろ屋に住みつく。そして、次郎吉と意気投合し、ある日、花という名前を想い出した。お花に恋してからというもの次郎吉の夢遊病はピタリと止まった。外国人屋敷にいる使節のハリスは、愛娼お吉の尻にひかれっぱなしだった。ハリスの部下に、女にしつこいトリスがいたが、お花は彼の囲い女だった。生娘たちが次々と誘拐されるという事件が続発した。いずれの現場にも、<ねずみ>と書かれた紙片が残され、ねずみ小僧は大悪党と宣伝される。この娘誘拐の張本人は、マウスボーイという名の口入れ屋で、娘たちを外国に売り飛ばし悪どい稼ぎをしていた。彼らの魔の手が伸び、お花、麦とろ屋で働くお光、右門の娘・お豊が連れ去られた。トリスのところに連れ戻されたお花は、記憶を回復し、好意を持っていた給仕のチャーリーが逃してくれたことを想い出した。お光が手引きする米つぶを辿って、品川商館に行き着いた次郎吉とお駒は、次の日、甚六たちを率いて商館に乗り込み、マウスボーイ一味と大乱闘になる。そこに捕方たちが押し寄せ、敵も味方も一網打尽にひっ捕えてしまった。お白洲に居並ぶ次郎吉、お駒、右門、甚六、長屋の連中、マウスボーイ一味。裁くは遠山の金四郎で、罪一切をマウスボーイにひっかぶせ「マウスボーイこそ、ねずみ小僧である--」という一件落着に及んだ。次郎吉のもとに、チャーリーと共に黒船に乗るというお花からの手紙が届いた。そして、ゴーンと鳴る深夜の鐘に二人のねずみ小僧はまた動き始めるのだった。