アメリカン・ビューティーのレビュー・感想・評価
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普遍的幸せなんてない
絵に描いたようなアメリカの一般的な中流家庭。物質的には恵まれていて、精神的には不満を持っているごくありふれた平凡な人生を送る人々。映像は綺麗だけど退屈だなーと思いながら見ていたら、ほんの些細なきっかけで自分の欲望をはっちゃけていく後半戦からグイグイ引き込まれた。特に父親がビッチで奔放なフリをしてるけど本当は常識的で臆病な娘の友達と一線を越えようとする下りは、なんだか泣きそうになるくらいいい話だった。世間一般が想定している幸せは、世間にとっての幸せで、そんなものに押し込められるくらいなら、歪でも、自分の幸せを求めた方がいい。抑圧されずに自分の欲望に忠実に振る舞っていれば、逆に他人を気遣う余裕も出てくるさ。そんなメッセージが感じられる面白い映画だった。
本当の「美」
この映画には様々な登場人物が出てくる。
奴隷さながらの仕事を14年続け、家庭では虐げられている男。不動産屋として働くが全く業績が上がらず、ひたすら自分の感情を押し殺す女。不仲の両親にうだつが上がらず、本当はもっと注目してほしいのに素直になれない反抗期の娘。軍人として自分や周りにも厳しすぎる男。半ば痴呆症のようになってしまった女などなど…
彼らに共通しているのは「自己抑圧」である。
この映画のテーマはそんな抑圧的なことが模範的な美であるとされている世間に対して反対意見を提示する、いわば本当の「美」を通した人間賛歌なのだ。
上記の抑圧的な人々とは対照的に現れるのが、主人公の隣人のゲイカップル。ヤクの売人をして金を稼ぎ、美しいものをビデオに収める変態高校生。
彼らの行いは非常識なのかもしれない。しかし彼らはとても幸せそうなのだ。そこにこの映画の「皮肉」が混じっている。
抑圧的だった人々も次第にタガが外れていく。不倫や違法薬物に手をつけるが、彼らはやはり幸せそうなのだ。
また自分の中の「美」を見つけることによって、「美」に寄り添うことができる。
主人公のレスターは自らを囲んでいた「美」の存在に気付き、感謝の念を抱いて死んでいく。しかしまだ本当の「美」を見つけきれずにいる者たちに対して「いつか理解できる」と言葉を残していくのだ。
さらに劇中では「美」のメタファーとして、バラや赤色が用いられている。これが意味するところが、どのような「美」なのか。考えてみるのも面白いかもしれない。
タイトルなし(ネタバレ)
理想の父、家庭を追求してきた結果、家庭や職場に居場所がなくなってしまった父親、上昇志向が強くアメリカ的成功を追い求める母親、そんな両親を信用できずに自分の人生を模索している娘の家庭を通してアメリカの美しいものは何かを問いかける映画かなと感じました。
すでに家庭は冷え切っている家族が「理想的」とされるものの追求をやめ、自分の心に正直になった時、それがマリファナ吸ったり、不倫したりとそれ自体褒められたものではないにしても、それによってどんどん生き生きしてくる過程は見ていてスッとするものがあります。
それはレスター、キャロリンの表情、言葉、態度などからも伝わってきます。
そしてレスターが死ぬ直前の見せる表情は本当に幸せを噛みしめる父親の表情を浮かべているのはとても印象的でした。
息をひきとるその一瞬に人生を回顧するレスターのセリフは「アメリカンビューティー」の意味を伝えているように思います。
彼の人生が美しいものに囲まれていたこと、そしてそれを自分自身が消化できていなかったこと。しかし最後はその「美しいもの」に囲まれていた人生に感謝できたこと。
その「美しいもの」をジェーンやキャロリンが理解できなかったとしても「いつか理解できるよ」と言うセリフの後息をひきとるのですが、それまで心を通わせることのできなかった2人への愛情がこのセリフに込められていてとても心温まるものでした。
悲劇で終わる物語を同時に心温まるものにしているとても素晴らしい映画だと思います。
コミカルで可笑しいのに涙が出る
皮肉に満ちたブラックコメディー
傑作と名高いアメリカ映画
普遍的ではあるのだが、製作から20年近く経とうとしている今観ると少しずつ違和感が。
アンジェラが「今回が初めて」と言ったのは、それまでの積み重ねから見ても嘘としか思えなかったし(逆に私がそれまでのアンジェラの言動を信じすぎてしまっていたのか?)、そのためにレスターが一瞬で正気に戻る描写もついて行かれなかった。
また、フランクがレスターをゲイだと勘違いしていく行程はとてもユニークでコミカルだったが、その結末としてどうしてキスをしてしまったのか、どうして己を解放してしまったのか、その伏線回収が私にはもう少し必要だった。この点は、当時のアメリカ社会への皮肉のようなものも含んでいるのかもしれない。
登場人物は魅力的且つユニークで皆少しずつ"変"なところが個人的には好みだった。
アメリカの美
ものすごく皮肉った映画
内容を口頭で伝えると大抵気持ち悪がられる笑
娘の親友を好きになる父
その娘は隣家のストーカーと駆け落ちしようとする
隣家のストーカーはドラッグ使用
母親は不倫
これをアメリカンビューティーといってしまうところに深さが
私の年齢でこの映画を語るには、経験がたらない気がする
大好きな映画
American Beauty
言葉に出来ないほどに
美しさとは
建前と本音、理想と現実、そのギャップにみんな苦しんでいる。けどそれってほんとに理想なのか?美しいのか?
というか美しいものってなに?
てことを投げかけてると思った。
ひとり審美眼のあるリッキーがドラッグディーラーなのは笑うとこなのかな?
美しいもの、見られるようになりたいと思った。死ぬ前に(笑)
噛み合わない個人と、全体の美しさ
タイトルなし(ネタバレ)
とにかくアネットベニングとケビンスペンシーが気持ち悪い。ケビンスペンシーの娘の友達に性的妄想を抱くシーンは気持ち悪いとしか言えない。でもそれだけそういう感情を視聴者に感じさせるすごい演技力と構成だと思う。ただただ、家族の悲しい関係が良くなることもなく悲しいまま終わってしまうという私の好みの映画ではなかった。なんか見終わった後もズーンと何かがのしかかったような、ホラー映画を見終わったような気分。(ぜんぜんホラーじゃないけど)
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