アメリカン・ビューティーのレビュー・感想・評価
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バットエンドだけど、ハッピーエンドのような爽快感はなに?
一見序盤から奔放でやりたい放題で、女子としては嫌悪感すら湧いてきそうなケビンスペイシー扮する、中流階級の”おっさん”
終盤につれて、1番常識があって、人間味が魅力的に思わせられ惹きこまれてからの。。。バットエンド…!
すっかりやられてしまった!
このプロットを考えた人は、そんな主人公をバットエンドにしたのは、メタフォリックに生かしたのではないかと矛盾した何故かハッピーエンドを観たような錯覚に陥る。
ここに、この作品の数々の賞を受賞した、エンターテイメントがあるように感じた。
感じるものは多いです!
夜遅く見始めてのめりこみました。
なんだろう、この世界観は。
上空から町を見下ろす浮遊感のあるカメラワークと、中年男性のとつとつと喋るナレーションからはじまり・・・。
登場人物は、極端なほど分かりやすいです。
話はドラマでよくありそうな題材(思春期の葛藤、不倫・浮気・セックスレス、中年の憂い、物質的追求・権威性がもたらす成功への疑問符など)なのですが。
どこか含みがあり、重厚感がある。
町山さんの映画評論を見て、一気に謎が解けました。
陰影を過剰なまでにつけた撮り方!そこに登場人物1人1人の心の闇や影を感じとって、あの幻想的な感覚や狂気を覚えたのかと。
よくある"日常性"と、相反する"違和感"に魅せられます。
確からしい答えがありそうで、解けないもどかしさ。
好きな世界観でした。
この作品のレビューは難しいです。
良さは確かに感じるのですが、それを言葉にすると今ひとつピンとこない。核心をつけず・・・。もっと表現力を磨きたいと痛感しました。
どうしようもねぇ
どうしようもない、救いようのない話でした。。。。
「中年の危機」日本ではあまり耳にする話ではないですが、この映画のストーリーには聞き慣れない言葉を、さも自分の周りで起こっていることのように感じされる奇妙なリアリティがあり、なかなか面白かったです。
人生は風に揺られるがままに
個人評価:4.0
隣人同士の家族の歪な交差をコミカルに描きながらも、一人一人のキャラクターを丁寧に掘り下げており、最後にはどのキャラクターにも感情移入できるような演出は素晴らしい。
木枯らしに舞うビニール袋の描写が、風に揺られるがまま身を任すしかない人生を感じさせる。
アカデミー賞を総なめにしたこの作品は、誰もが感じる抗う事ができないそんな人生の風に共感をよんだのだろうか。
劇中のケビン・スペーシーの人生もまた無力に風に流される。
娘ジェーン(バーチ)が父親を殺して欲しいと依頼するところから始ま...
娘ジェーン(バーチ)が父親を殺して欲しいと依頼するところから始まり、レスター(スペイシー)が「1年後に死ぬ」とナレーションを入れる。家族には人生の負け犬と思われていて、いきなりリストラの憂き目に・・・
チアガールをやってる娘のセクシーな友人アンジェラ(ミーナ・スヴァーリ)に一目惚れするレスター。娘を執拗にビデオに収める隣人のリッキー(ウェス・ベントリー)。妻は不動産ブローカーをする傍ら、不動産王のケリー(ピーター・ギャラガー)との不倫に励み、射撃の趣味を持つようになる。ジェーンはリッキーと親しくなるが、リッキーの父親(クリス・クーパー)は銃マニアでネオナチで偏屈なのだ。しかもかつてゲイであった自分を責め、息子にゲイ疑惑があると激怒する。そうでなくても盗撮、麻薬、陸軍学校の放校も気に入らない。
「筋肉がついたらレスターと寝たい」とアンジェラが言ったのを盗み聞きして、筋トレを始めたり、真っ赤なバラのCGによって彼女を妄想するシーンが印象的。ジェーンはベビーシッターで貯金して豊胸手術を受けるのが夢だった・・・が、かなりボインちゃんのソーラ・バーチ。
ハンバーガーショップで働くこととなったレスターは妻の不倫を目撃。いくら見せかけの夫婦でも慰謝料を取られるのはバカらしいと考える妻。娘はリッキーに父親を殺してと頼み、隣人フィッツはレスターとリッキーの関係を疑う・・・コミカルなようで深刻でもあり、崩壊しつつある典型的なアメリカの家族をシニカルに描いていた。
最後には「誰がレスターを殺すのか?」というサスペンスめいた展開と「この世は美しい」と死の直前に走馬灯のように過去を振り返る哲学的とも言えるエンディング。音楽も70年代のサウンド中心に楽しませてくれた。
なぜか刺さる
初めて見たのは20年近く前であるが、なぜか時たままた見たくなる謎。
まぁ人によっては嫌悪感を示すかもしれないような、ネガティブが集合した作品だが、
「アメリカン・ビューティー」とタイトルを付けたことに、どうにも賞賛の気持ちになってしまう。
普遍的幸せなんてない
絵に描いたようなアメリカの一般的な中流家庭。物質的には恵まれていて、精神的には不満を持っているごくありふれた平凡な人生を送る人々。映像は綺麗だけど退屈だなーと思いながら見ていたら、ほんの些細なきっかけで自分の欲望をはっちゃけていく後半戦からグイグイ引き込まれた。特に父親がビッチで奔放なフリをしてるけど本当は常識的で臆病な娘の友達と一線を越えようとする下りは、なんだか泣きそうになるくらいいい話だった。世間一般が想定している幸せは、世間にとっての幸せで、そんなものに押し込められるくらいなら、歪でも、自分の幸せを求めた方がいい。抑圧されずに自分の欲望に忠実に振る舞っていれば、逆に他人を気遣う余裕も出てくるさ。そんなメッセージが感じられる面白い映画だった。
本当の「美」
この映画には様々な登場人物が出てくる。
奴隷さながらの仕事を14年続け、家庭では虐げられている男。不動産屋として働くが全く業績が上がらず、ひたすら自分の感情を押し殺す女。不仲の両親にうだつが上がらず、本当はもっと注目してほしいのに素直になれない反抗期の娘。軍人として自分や周りにも厳しすぎる男。半ば痴呆症のようになってしまった女などなど…
彼らに共通しているのは「自己抑圧」である。
この映画のテーマはそんな抑圧的なことが模範的な美であるとされている世間に対して反対意見を提示する、いわば本当の「美」を通した人間賛歌なのだ。
上記の抑圧的な人々とは対照的に現れるのが、主人公の隣人のゲイカップル。ヤクの売人をして金を稼ぎ、美しいものをビデオに収める変態高校生。
彼らの行いは非常識なのかもしれない。しかし彼らはとても幸せそうなのだ。そこにこの映画の「皮肉」が混じっている。
抑圧的だった人々も次第にタガが外れていく。不倫や違法薬物に手をつけるが、彼らはやはり幸せそうなのだ。
また自分の中の「美」を見つけることによって、「美」に寄り添うことができる。
主人公のレスターは自らを囲んでいた「美」の存在に気付き、感謝の念を抱いて死んでいく。しかしまだ本当の「美」を見つけきれずにいる者たちに対して「いつか理解できる」と言葉を残していくのだ。
さらに劇中では「美」のメタファーとして、バラや赤色が用いられている。これが意味するところが、どのような「美」なのか。考えてみるのも面白いかもしれない。
理想の父、家庭を追求してきた結果、家庭や職場に居場所がなくなってし...
理想の父、家庭を追求してきた結果、家庭や職場に居場所がなくなってしまった父親、上昇志向が強くアメリカ的成功を追い求める母親、そんな両親を信用できずに自分の人生を模索している娘の家庭を通してアメリカの美しいものは何かを問いかける映画かなと感じました。
すでに家庭は冷え切っている家族が「理想的」とされるものの追求をやめ、自分の心に正直になった時、それがマリファナ吸ったり、不倫したりとそれ自体褒められたものではないにしても、それによってどんどん生き生きしてくる過程は見ていてスッとするものがあります。
それはレスター、キャロリンの表情、言葉、態度などからも伝わってきます。
そしてレスターが死ぬ直前の見せる表情は本当に幸せを噛みしめる父親の表情を浮かべているのはとても印象的でした。
息をひきとるその一瞬に人生を回顧するレスターのセリフは「アメリカンビューティー」の意味を伝えているように思います。
彼の人生が美しいものに囲まれていたこと、そしてそれを自分自身が消化できていなかったこと。しかし最後はその「美しいもの」に囲まれていた人生に感謝できたこと。
その「美しいもの」をジェーンやキャロリンが理解できなかったとしても「いつか理解できるよ」と言うセリフの後息をひきとるのですが、それまで心を通わせることのできなかった2人への愛情がこのセリフに込められていてとても心温まるものでした。
悲劇で終わる物語を同時に心温まるものにしているとても素晴らしい映画だと思います。
コミカルで可笑しいのに涙が出る
小さなことをきっかけに、音を立てて崩壊していく家庭 そして人間関係。
本当に面白さがつまった映画だと思いました。
登場人物一人一人が意味を持ち、親子 恋愛 悩み 友情 隠し事 信念 欲求 生き方 多くのことをしっかり描ききっているように感じました。
悲惨なてん末をブラックユーモアたっぷりに
何度も笑い声をあげてしまいました
そして最後は涙……。
うまく言葉にはできませんが、悲しい涙ではなく 普段忘れている当たり前のことを愛する気持ちが ぶわっと溢れてきたような気持ちでした。
心にしっかり残った名作。
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