西陣心中
劇場公開日:1977年10月15日
解説
高林陽一監督のATG作品の第三作目。古い伝統を持つ西陣の町を舞台に、西陣織りの織り手と無理心中を失敗した女との恋物語。脚本は「日本の仁義」の高田宏治、監督・撮影は「金閣寺」の高林陽一がそれぞれ担当。
1977年製作/110分/日本
配給:ATG
劇場公開日:1977年10月15日
ストーリー
野沢ゆみにとって会社の上司・井上はとても優しい人だった。その井上が、ゆみと無理心中をはかり、ゆみは助かったが、井上は死亡。井上の妻に罵倒されたゆみをなぐさめ、力づけたのは、刑事の西川であった。彼はゆみに故郷へ帰ることをすすめたが、彼女は故郷へはもどらず、京都の町へ。ふとしたことから京都のデートクラブで働くことになったゆみ。ある日、クラブの女将・とよに連れられデパートへ行き、そこで絢爛たるつづれの帯をみつける。西陣、そこは京千年の夢を織りつづける伝統の町。ゆみは西陣で、博之という老舗・吉嘉商店の職人を見つけ、なぜかいつまでも忘れられなかった。ゆみはとよのクラブをやめ、西川刑事を保証人に立てて、吉嘉商店に務めることにした。そして、博之の仕事場をみつめるゆみ。十本の指がしなやかに、踊るように金糸銀糸を織り上げていく。そして、ゆみと博之の間には、確実に愛がめばえはじめていた。ある日、二人で琵琶湖に、白鳥を写生がてらデートした。家へ帰ると、嘉助夫婦がゆみに縁談をすすめた。しかし、彼女には、何か悪い魔性といったものがついているかのように、この縁談の相手も事故にあい重傷を負う。クラブ時代に一度ゆみと関係のあった宮崎が現われ、彼女のことを全員に話すとおどかしたが、その宮崎も、そしてママのとよまでもが血にまみれていった。そして、博之とゆみの間は、残った嘉助・はまによってさかれ、博之は白鳥が二羽舞いとぶ、すばらしい帯地を織るのであった。そして、ゆみと博之の二人は、やすらい祭りの晩にビルの屋上から、博之の織りあげた、白鳥の舞う帯を二人でまき、それは、白い二羽の白鳥がたわむれ、遊んでいるかのように飛びおりるのであった。
スタッフ・キャスト
受賞歴
第1回 日本アカデミー賞(1978年)
ノミネート
脚本賞 | 高田宏治 |
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