ともだち(1974)

劇場公開日:

解説

日活の児童映画第二作目。公害の街を舞台に、明るい少年と、岩手から転校してきて気管支喘息にかかった少女との心の触れあいから、「友情」「思いやり」を描き、そして、現代社会の歪みを告発する。脚本は勝目貴久、監督は「濡れた荒野を走れ」の沢田幸弘、撮影は「実録エロ事師たち」の畠中照夫がそれぞれ担当。

1974年製作/86分/日本
配給:日活
劇場公開日:1974年7月24日

ストーリー

将来はサッカーの名選手になり、世界各地で試合することを夢みている松村新太は、京浜工業地帯の中核・K市の小学校六年生。新太にとって、ちょっと嫌なことが起こった。席替えで、斎藤良子が隣りの席になったのである。良子は四年の時、岩手から転校して来た時は元気な女の子だったが、気管支端息にかかってからは、無口で陰気になっていき、それからは仲間はずれにされていた。そんな良子を何とか明かるくさせようと、戸山先生が新太に頼んだのだった。「僕だけでも“ともだち”になって、家に呼んでやろう」。弁当屋をやっている家では、当然良子は嫌われると思った新太は、父親と通信簿で5を二つとったら何でも言うことをきいてくれる、という条件で必死に勉強を始めた。仲間の一夫や道郎との“男のつきあい”も、サッカーの練習もやめて……。そんな新太の熱意に、良子も少しずつ明るさを取り戻していった。ある日、新太は両親に決意を話した。だが、父親は「病人は呼べない!」と怒った。親の無理解をなじり、泣きながら新太は雨の中を飛び出した……。急性盲腸炎にかかって入院した新太の病室が見える道端に、今日も良子が立っていた。そして、数日後、退院した新太を、大切なリスのチイ子を持って見舞いに来た良子の健気な心に打たれた新太の両親は喜んで、新太の病室に通した。やがて回復した新太は、まだ一度も奇麗な海を見たことがない、という良子と夏休みに九十九里浜で泳ごうと約束した。しかし、良子は、端息をなおすために空気の濁っていない岩手の田舎に転校していった。そして数日後、突然、新太のクラスに良子が急な発作で死んだ、との知らせが入った……。九十九里浜。両親と姉の四人で来た新太は、砂浜にリスのチイ子を篭から出した。あれ程海を見たがっていた良子の代りに。チイ子は元気よく走り去って行った……。

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