ドグラ・マグラ(1988)

劇場公開日:

解説

大学病院の精神科で治療を受ける記憶喪失の青年の幻想を描く。夢野久作原作の同名小説の映画化で、脚本は「十六歳の戦争」の松本俊夫と「カポネ大いに泣く」の大和屋竺が共同で執筆。監督は同作の松本、撮影は「疵」の鈴木達夫がそれぞれ担当。

1988年製作/109分/日本
配給:シネセゾン
劇場公開日:1988年10月15日

ストーリー

呉一郎は目を覚ますとそこはひどく殺風景な部屋で窓には鉄格子がはめられていた。壁の向う側からは少女の叫び声が聞こえてくる。そこへ九州医科大学法医学教授・若林鏡太郎と名乗る男がやってきた。ここは精神科病棟で、若林は前任の主任教授だった正木が死亡したため兼任したのだという。一郎は自分の名前も顔も覚えていなかった。若林によればそれは恐ろしい事件のショックのためで、記憶は自分の力で呼び戻さなければならなかった。一郎はある日同じ病棟にいるモヨ子という少女と対面させられたが、彼女はなぜか自分のことをお兄様と呼んだ。一郎とモヨ子は唐の玄宗皇帝末期の宮廷画家・呉青秀と楊貴妃の侍女・黛子の妹・芬子の子孫で深い因縁で結ばれていた。呉青秀は初め黛子と結婚したが、彼女を殺してその死骸を裸にして写生を始めた。しかし、腐っていくのが早いため代わりの死体欲しさに次々と女を殺していく。彼は自分を慕っていた芬子を連れて逃げ、途中で自分は海に落ちて死んだ。後に残った芬子はお腹の子と共に生き延びたという。一郎とモヨ子はその時の二人の記憶を遺伝してしまっているのだという。また一郎はある日研究室で「ドグラ・マグラ」という小説を手にした。若い大学生の患者が書いた推理物で、読んでいくうちに自分の頭がおかしくなっていくという。著者自身のほか正木や若林もモデルになっていた。一郎の頭の中ではさまざまな過去のイメージや幻想、妄想が複雑に絡みあっていた。死んだはずの正木との対話、母・千世子の想い出と母親殺しの容疑、婚礼前夜の花嫁殺し、モヨ子の遺体の替玉と怪人……。そして、ある日一郎が目を覚ますと、そこは病室で窓には鉄格子がはめられており、彼は記憶喪失で自分の名前や顔も覚えていなかった。

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映画レビュー

5.0原作の雰囲気がうまく映像化されています

2021年6月25日
スマートフォンから投稿

怖い

知的

難しい

ドグラ・マグラの原作は何度読んでも、わかった気になってもよくわからないところがいくつもあるので、本作もやはりわからないところを残します。
時計の音、人形劇、開放治療場の巨大仏頭、正木先生の不敵な笑い、主人公の知らない主人公、繰り返される場面、階段教室の騒乱、怖くて、華麗で、閉塞的で、時系列が前後して、そして終盤の悪夢的な映像の流れは見事です。もう少し長く作れればとそこだけが残念ですが映像はどれも実に素晴らしいものでした。

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プンゲンストウヒ

4.0「ドグラ・マグラ」の世界の中の「ドグラ・マグラ」。

2017年12月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「ボーン、ボーン」時計の音の始まりとともに、この奇妙な世界の幕が開ける…。

精神病棟に入院させられていた青年が目を覚ますと、そこには若林教授がおりました。

教授曰く記憶喪失になっている僕は、過去の記憶を取り戻すために、残虐な人形劇の物語映像を観させられます。

「君は、この神話に登場する犯人の子孫である」と言われた彼は、どんどん自分自身の存在に追い込まれてしまいます。

何処までが現実で何処までが妄想なのか。

検討もつかない無限ループにハマった青年の精神は、戻りかけたと思った瞬間、ボーンと爆発して崩壊してしまうのでした。

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ガーコ

2.0記憶との戦い...なのか?

2016年8月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

一切の予備知識なしに拝見。

記憶喪失と精神病棟という初期設定に、記憶力と観察力をフル回転必要があると身構える。

やがて、不規則に並べられたシーン割りに時間軸を考え始め、やや推理小説の様相を呈してきた所で、人々の矛盾を割りだそうと考え始める。

しかし、精神をきたした少年の妄想の可能性に考えを巡らし始め、次第に頭が混乱してくる。

そして、考えるのをやめる。

_

この映画は原作に比べてかなりまとまっているらしく、見事と言わしめているそうだ。

しかし、それでこれである。
原作小説はよほどの混沌が見られるのであろう。

あくまで原作未読の状態での感想であるが、こういったものは考えた方が負けである(と言って逃げる)。

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nok0712
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