透明人間と蠅男

劇場公開日:

解説

「日清戦争風雲秘話 霧の街」の共同脚色者の一人、高岩肇のオリジナル・シナリオを「残月講道館」の村山三男が監督し、「妻こそわが命」の村井博が撮影した怪奇空想映画、特殊技術は的場徹が担当。主演は「高校生と殺人犯」の品川隆二、「ふるさとの灯台」の北原義郎、「夜の蝶」の見明凡太朗、新人叶順子。ほかに鶴見丈二、浜口喜博、伊沢一郎など。グラマーの毛利郁子がデビューする。

1957年製作/96分/日本
配給:大映
劇場公開日:1957年8月25日

ストーリー

姿なき殺人魔の跳梁にこのところ都民は恐怖におののいていた。旅客機上の密室殺人事件をはじめ、被害者はいずれも白昼の繁華街か完全な密室で殺され、手がかりといえば現場附近で聞かれた蠅のような羽音だけ。若林捜査一課長をはじめ捜査陣は全く翻弄された形だった。一方、その頃若林の友人で少壮物理学者の月岡博士は、早川博士の指導で宇宙線研究の途上、偶然にも透明光線を発見した。この発見を知った殺人鬼はこれを奪わんと遂に早川博士を殺害した。恩師の死に月岡は決然と還元装置が未完成のまま透明光線の前に立ち、自分の姿を消して若林ら捜査陣に協力することになった。そして殺人鬼は、一瞬にして体を縮め、蠅の姿になる、即ち蠅男だということを知った。正体を暴露された蠅男は、しかしなおも捜査陣の追及を逃れ、ナイトクラブの踊子美恵子、葉山刑事と次次に惨殺した。だが、この頃南米帰りと称する謎の大富豪楠木の正体を追っていた月岡は、彼が南方の島から旧日本軍の秘密兵器、姿を蠅に変え人に残忍な心を与える魔薬のアンプルを持って帰ったことを知った。殺人鬼蠅男は、この楠木の手先なのだ。楠木は敗戦の時、彼一人に戦犯の罪を着せて日本へ逃帰った上官、同僚たちに復讐しようとしていたのだ。かくて、透明人間月岡と仮面を捨てた楠木との決戦がはじまった。自ら蠅となって逃れる楠木。そしてついに追いつめられた彼は、透明光線の装置を寄越さぬと全都を壊滅させると宣言した。そしてそれを証明するように、彼は有楽町のガードにさしかかった満員電車を、ガード諸共爆破してしまった。不安と恐怖におののく都民。その行交う足元で楠木は面白そうに笑う。その取引の夜、死の街と化した丸の内のあるビルの屋上で、ついに透明光線装置は楠木の手に渡った。得意の彼はヘリコプターで逃去ろうとしたが、その時再びヘリコプターが着陸して楠木がよろめき出た。その後にピストルをかざしているのは、早川博士の娘章子。彼女は月岡に励まされながら、ついに還元装置を完成すると透明光線で姿をかくし楠木の意表をついたのだ。いまはこれまでと、楠木は章子の拳銃を奪うと拳銃を乱射しながら逃げようとした。しかし、応戦する若林の一弾が見事命中、楠木はビルの上からもんどりうって転落した。

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映画レビュー

3.0恐怖の“蠅男”現る! …立ち向かうのは、透明人間!?

2018年5月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

怖い

興奮

 DVDで鑑賞。

 奇抜さに富んだ設定と、大映らしいおどろおどろしさのある特撮ホラーの佳作。

 タイトルからして興味をそそって来るじゃありませんか…。堪らん!(笑)
 特撮ファン特有の回路を刺激して止みません…。
 「透明人間と蠅男」…まさに異色の組み合わせ。
 一体どんな対決が繰り広げられるのか、めちゃくちゃ気になりました。

 飛行中の旅客機のトイレや、誰も出入りできない部屋での殺人事件が連続発生。捜査陣は完全に不可能な状況下で行われる犯行に、ものの見事に翻弄されてしまいます。
 それらは全てとある出来事で誕生した“蠅男”の仕業でした。
 そして蠅男の魔の手は刑事にまで及び、ついに殉職者が…。
 自分の能力に溺れ列車爆破テロまで行った蠅男に、首都東京は大パニックに陥ります。
 小さいが故にいつどこに現れるか分からず、もしかしたらすぐ傍にいるかもしれないという恐怖が大都会に充満していきました…。
 そんな蠅男に立ち向かおうと、勇気ある青年科学者が立ち上がりました。恩師が開発していた装置を使って自ら透明人間となり、この脅威に戦いを挑む決意を固めました。
 透明人間対蠅男―奇想天外な対決カード、その勝負の行方や如何に…。

【余談】
 蠅男役を、「あぶない刑事」シリーズの近藤課長でお馴染みの中条静夫が演じていることに驚きました。本能のままに殺人を犯していく男を熱演していました。上手いなぁ…。

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しゅうへい