東京戦争戦後秘話 映画で遺書を残して死んだ男の物語

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解説

若い映画製作グループの一人を主人公に、若者たちの思考と行動を浮彫させ、新しい時代の志向性を追求した作品。脚本は原正孝と「新宿泥棒日記」の佐々木守、監督は「少年」の大島渚。撮影は「心中天網島」の成島東一郎が担当。

あらすじ

元木象一は映画製作運動に没頭していた。沖縄デーの闘争記録を撮影に行った象一はカメラを奪った私服刑事を追いかけるが、突然一つの幻想にとりつかれた。それは、自分の身近かな友人の一人が、自分から借りていったカメラで、何かを撮影しつつ、そのフィルムを遺書に残してビルの屋上から自殺してしまったという幻想である。仲間の松村や谷沢はこの馬鹿げた話に苦笑するだけだった。しかし、あいつが自殺したと思いこんでいる象一は、自分の恋人泰子をも「あいつの恋人」だと思いこみ、強姦同然に泰子を犯してしまった。象一は幻想の中で「あいつ」の遺書の映画を見た。その映画というのは、ありふれた風景の積み重ねだけの訳のわからないものだった。「あいつ」は何を考えていたのか、自分で自分の幻想の世界がわからなくなった象一は、「あいつ」は単なる幻想だったと自分を納得させようとしたが、「あいつの恋人」にされてしまった泰子は、そのままでは済まなかった。彼女は象一にあくまで、「あいつの恋人」としてふるまい、「まぼろしのあいつ」との愛と性の生活について語り続けた。幻想を断ち切ろうと、象一は「あいつ」の撮影した風景の中にうごめく「あいつ」の影を追って東京の街をさすらうが、やがて「あいつ」の影が最後に消えた家が、象一の生家であることを発見した。いまや「あいつ」と闘うことは、自分と闘うことになった。象一は「あいつ」と同じ風景を撮影して、「あいつ」の作品をこえる映画を作ろうとするが、「あいつ」と象一の関係に気づいた泰子は、象一のカメラの前に立って、風景を変えてしまおうとした。そのため現実にはさまざまの不都合なことが起こった。そしてついに、泰子はビルの屋上にまで追いつめられ自分の自殺体まで見てしまった。泰子は象一に「あいつ」に勝ったと語るが、象一はこの世に風景がある限り、「あいつ」はどこにでもいるし、そのことがわかった時どこにもいないのだと気づいた。今や、風景なんて何だって同じである。象一のカメラはでたらめにそこらの街角でまわりはじめた。やがて、松村たちがカメラを奪い返そうと追ってきた。象一は、「あいつ」の影に誘われるようにビルの屋上にのぼり、そこから身を投げた。

1970年製作/94分/日本
配給:ATG

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