D坂の殺人事件(1998)

劇場公開日:

解説

伝説の責め絵の雁作作りを依頼した女の殺害事件に、名探偵・明智小五郎が挑むミステリー・ロマン。監督は「屋根裏の散歩者」の実相寺昭雄。脚本は、江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」と「心理試験」を基に、「ラブ&ポップ」の薩川昭夫が脚色。撮影を「幻の光」の中堀正夫が担当している。主演は「らせん」の真田広之。97年東京国際ファンタスティック映画祭正式出品作品。

1998年製作/90分/日本
配給:東京テアトル
劇場公開日:1998年5月16日

ストーリー

昭和2年、東京市本郷区団子坂にある古本屋・粋古洞の女将・須永時子は、伝説の責め絵師・大江春泥の「不知火」の雁作作りを蕗屋清一郎という画家に依頼した。蕗屋は、見事に「不知火」の雁作をふたつ拵えてみせるが、本物の「不知火」は燃やしてしまい、残ったふたつの雁作を時子に渡す。そうとは知らず、絵の出来映えに満足した時子は、続けて春泥の「明烏」を拵えるよう、蕗屋に依頼する。ところが、吉原の遊女を折檻する場を描いた「明烏」の雁作作りには、さすがの蕗屋も困難を強いられてしまう。時子から送られたマユミをモデルに使うも、どうしてもうまく描けない。そんなある日、彼はマユミの衣裳を着た自分の鏡に映る姿をモデルにすることで、「明烏」を完成させるのであった。果たして、蕗屋の描いた「明烏」の出来映えに、時子は再び満足した。だが、蕗屋は訪れた粋古洞で、「明烏」のモデルが実は時子だったことを聞かされ愕然となる。彼は、雁作を作った後に本物をこの世から消し去ってしまうことを慣わしとしていたからだ。自分をモデルにして描いた「明烏」のオリジナル・モデルが、この世に存在してはならない。そこで彼は、「明烏」の代金を受け取る為に再び粋古洞を訪れた二日後、時子を絞殺するのであった。さて、時子を殺害した蕗屋が去った後、店に戻ってきた従業員・斎藤が時子の死体を発見するも、その際、彼はほんの出来心から時子が盆栽に隠しておいた札束を盗んでしまう。そのことが警察にバレて、彼は殺人の容疑者として警察に逮捕されるのだが、予審判事の笠森は斎藤が時子殺害の犯人だとはどうしても思えなかった。彼は、蕗屋のことを疑っていたのだ。そこで、斎藤と笠森を最新鋭の機械を使った心理試験にかけることにするが、結果は斎藤が犯人であることを明白にするばかり。それでもまだ確信が持てない笠森は、遂に友人の明智小五郎に試験結果を見せることにする。果たして、その結果を見た明智は、蕗屋が犯人であると断言した。彼が心理試験の内容を、予め把握していたような答え方をしているのが見て取れたからだ。更に、明智は時子殺害現場にあった屏風を使って、蕗屋が真犯人であることを証明。見事、事件を解決してみせるのであった。

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映画レビュー

3.5これは・・

2024年10月30日
PCから投稿

まさに 脚本だけ読むと面白くないけど映画にしたらすごく面白かったというやつだな。このレンズがいいんですよ。とても味のあるレンズが使われていてそれによって不思議な雰囲気が醸し出されている。全部ピンボケだけど、もしかしてわざとかもしれないと思った。それから音楽の使い方。カメラの傾け方。真田広之の起用と演技。これらのものが全てうまくいっていて何も起こってない端からからずっと面白いように感じられた 特筆すべき なのは 1998年という制作年。このころ、もうすでに日本映画は腐っていて 俳優はみんなタレントで時間がなく、くだらない演技しかできなくなっていた。でもこの 真田広之 だけは見事な演技をしている。彼 なくして、できなかった映画であろう。彼のハリウッドでの成功は決して偶然ではない。明智小五郎の 嶋田久作の演技も良かった。・・というかこの作品 、演技をしているのはこの2人だけだ。後はみんな ちょい役で演技というほどの演技はしてない。何と うまく作ったことだろう 難点は推理小説 として の謎解きの つまんなさである。が、それを動機の面白さがカバーしたと思った。なるほど・・と。 江戸川乱歩の最高傑作と言われるだけのことはあった。

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タンバラライ

4.5成人版少年探偵団!

2023年12月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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When I am 75♥️

3.5Comparison and contrast

2017年4月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

難しい

祥子というタレントの主役で同名作品を既観済だが、この作品監督の実相寺昭雄の武勇伝を多種マスメディアから耳にし、興味を持った先での同監督特集にて観覧に至った。 実相寺監督と江戸川乱歩、それだけで魑魅魍魎とした不思議絵が期待できるのだが、その前に『いじめて、ください。アリエッタ』という作品が上映していて、正にSM嬢の話だった為、この比較対象にもってこいの上映の並びに狂喜乱舞した。方や、大正時代、方や、戦後高度成長期、この間の日本のドメスティックな変貌に驚きと同時に、隔世の感を禁じ得ない。 とにかく、ありとあらゆる演出、技法が特異であり、注目に値する。ウィキ出典だが、ATGも参加していたというのもそのシンパシーもさもありなんと大いに納得する。人間の業を表現させたらこれ程まで強烈にそしてデフォルメには感じられない程のリアリティを持って訴えかけるストーリー展開は、正にカルトそのものだといっても間違わない強靱なアピールだ。自分がまだ産声をあげていた時代に、こんなにも野心的で唯我独尊を貫いていた天才の落としダネを、今拝見できることが陳腐だが、大変嬉しく感じる。 惜しむらくは、アリエッタの75分バージョンが手軽に観れないこと。是非、手に入れたい作品である。

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いぱねま