妻と女の間

劇場公開日:

解説

美しい四人の姉妹とその夫たち、そして次女の夫の愛人たちが織りなす様々な人間関係を描いた瀬戸内晴美の同名小説の映画化。脚本は「ノストラダムスの大予言」の八住利雄、監督は「恍惚の人」の豊田四郎と「吾輩は猫である」の市川崑による共同演出、撮影は「雨のアムステルダム」の岡崎宏三と、長谷川清がそれぞれ担当。

1976年製作/111分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1976年1月17日

ストーリー

宮中へ御料紙を納めていたほどの老舗の桑村紙店の長女・安澄は、大恋愛のすえ京都を飛び出して、現在は着物のデザイナーとして東京に店を持ち、末娘の耀子を養女にして暮している。姉に代って、店を継いだのは次女の優子だが、経営は夫の政之の力に寄るところが大きい。だが、彼は女ぐせが悪く、最近も秘書の前田英子と関係ができ、この事が優子に知られるや、彼女を東京に囲ってしまった。三女の乃利子は、真面目なサラリーマンの卓に嫁ぎ、平和な生活を送っていたが、そろそろ安穏な生活に飽きがきていた。そんな時、雑誌のレポーターの話が舞い込み飛び着いた。そして編集者の三谷に好意を寄せるようになった。四女の耀子は独身で舞台女優の卵であり、政之の弟でテレビのディレクターをしている研一に想いを寄せている。だが、研一は安澄を愛しており、安澄も年下の研一の積極的な愛に惑溺していた。父の二十回忌の法要のため、久し振りに四姉妹が京都に集まった。法要の後、染色工場を訪れた安澄は東京から追って来た研一に逢った。女であることに徹底できない安燈に研一は苛立ちを感じていた。耀子は安澄と同じ染色工芸に打ちこんでいる幼馴染の友四郎と再会した。京都での仕事を頼まれていた乃利子は三谷と会い、車の中で彼に抱かれた。やがて、安澄と研一の関係を知った耀子は家を飛び出したが、街で偶然、英子に会った。耀子には横暴としか思えない政之のために、料理を習っているという英子を見て、ある感動を覚えるのだった。四人姉妹の母・須美が死んだ。須美は、あでやかな色模様の長襦袢を四人に形見分けに用意してあった。あの、つつましい母が、この長襦袢の下に秘かな情熱や恋を潜めて生きてきたのだと、姉妹は思った。研一が事故で重傷を負い入院した。必死で看病した安澄は、久し振りに耀子と会った。だが、耀子の心の中は透明で、すでに友四郎との結婚を決意していた。研一の退院も間近になった頃、安澄は、もう一度、伝統工芸の中に思いきり浸りたいと思うのだった。

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