台所太平記
劇場公開日:1963年6月16日
解説
サンデー毎日連載・谷崎潤一郎原作を「憂愁平野」の八住利雄が脚色、同じく豊田四郎が監督した文芸もの。撮影は「喜劇 とんかつ一代」の岡騎宏三。
1963年製作/110分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1963年6月16日
ストーリー
作家の千倉磊吉の家は京都にあった。この京都から伊豆山に移り住んだが、その間、何人ものお手伝さんが変った。これはそのお手伝さんの行状記である。初は戦前派の典型的な女中だった。半農半漁の貧しい家に生まれ、千倉家に来た。初の青春はこの家ですぎてしまい、結婚の経験もなかった。磊吉夫婦の世話で薬局の主人花村と見合いをしたが、初の姉の口ききで結婚してしまい、磊吉夫婦を失望させた。梅は初と同郷の酒好きで朗らかな性格だった。そして漁師である初の弟安吉と結ばれ千倉家を去って行った。駒は京都の出身で大変なグラマー、ゴリラの真似とフラダンスが大の得意、奉公が勤まらなければ家に帰っても入れてもらえないというので、一心に働いている気だての良い女だった。初、梅が去った後も駒は長く千倉家に残った。磊吉達は京都から伊豆山へと移った。鈴は大津の生まれ、中学を出ているせいか勉強家で、磊吉に字を教えてもらっていた。後に熱海の旅館の番頭と結婚した。九州から来た百合はいろいろと希望があるらしく、磊吉に頼み、ある映画スターの付人にしてもらった。それからしばらくして九州の炭坑で働く父が事故で急死したため、九州へと帰っていった。その別れは、磊吉夫婦にとっても百合にとっても悲しく印象に残るものだった。入れ代り立ち代り、お手伝さんが千倉家を去来したが、そこにはそれぞれの人生があり、磊吉はその一つ一つの人生に幸あれと祈るのだった。