戦争と人間

劇場公開日:

解説

「人間の条件 第1・2部」「人間の条件 第3・4部」「人間の条件 完結篇」の原作者、五味川純平が現在なお執筆中の同名大河小説の映画化で、第二次大戦突入期の満州を舞台にくりひろげられる複雑多岐な人間群像ドラマ。脚本は「乱れ雲」の山田信夫、監督は「天狗党」の山本薩夫。撮影は「華やかな女豹」の姫由真佐久が担当。

1970年製作/268分/日本
原題または英題:Man and War
配給:ダイニチ映配
劇場公開日:1970年8月14日

ストーリー

昭和三年。新興財閥伍代家のサロンでは、当主伍代由介の長男英介の渡米歓送会が開かれていた。その場には由介の実弟喬介、由介の長女由紀子、次男俊介、伍代家の女中頭で由介の妾であるお滝、部下の矢次など一族身内の者のほかに、金融家市来善兵衛、陸軍参謀本部の佐川少佐、その部下の柘植進太郎中尉など常連客が招かれていた。話題は期せずして、張作霖打倒のため蒋介石が北伐をはじめた満州の状勢に集まった。関東軍を出兵させ張作霖軍を武装解除させるべきだという強硬論者は、英介と喬介であった。とくに“満州伍代”と呼ばれる喬介は関東軍参謀河本大佐等強硬派と気脈を通じ、より大きな利権を求めて画策していた。その両腕が、匪賊との生命がけの交渉によって運送ルートを作りあげた男、高畠正典と阿片売買やテロルなどに暗躍する凶暴な男、鴨田駒次郎であった。喬介や英介の意見に反対を唱えたのは、まだ中学生の俊介であり、それに無言の支持を示したのは自由主義者の矢次だった。由紀子は妻帯者である矢次を愛していたが、にえきらぬ矢次の態度は彼女を若い柘植中尉との新たな恋に駈った。出兵のための奉勅命令が得られないあせりから関東軍は列車爆破によって張作霖を暗殺するという挙に出た。だがその陰謀は張作霖の息子張学良と蒋介石の和解、総一抗日勢力の強化という方向に事態を動かした。喬介は新参謀石原中佐の依頼で、運送隊の中に偵察特務員を潜入させたが、匪賊はその報復に、高畠の愛妻素子を連れ去った。そして彼女はふたたび帰って来なかった。満州の状勢は悪化の一途をたどった。昭和六年九月、関東軍は奉天郊外の柳条溝付近で、自らの手で満鉄列車を爆破、それを張学良の謀略挑戦であるとして、一斉攻撃を開始した。いわゆる満州事変の始まりであった。この戦争は“死の商人”たる伍代家の利益を飛躍的に増大させた。さらに大陸進出を意図する由介は、アメリカ帰りの英介をも満州に送りこんだ。戦闘は拡大し各地に飛び火した。金沢の師団にいた柘植も出征することになった。出発の前日、由紀子がたずねてきた。二人は何も特別なことは語らなかった。この運命のあわただしい転換を前に、愛の約束は意味のないように思えた。巨大な、そして不吉な暗雲をはらんだ昭和史のあゆみは次第にその速度を早めつつあった。由紀子と柘植のみならず、無数の人間たちの運命が、そのなかで翻弄され、屈折を余儀なくされていった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

3.0日本もロシアのウクライナ侵攻と同様なことをやっていたのがよく分かる

2022年9月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ドイツのロシア侵攻などとも重なる。

それはともかく、浅丘ルリ子が若くてとびっきりの美人で見とれてしまった。
また勘九郎が熱演してたのも興味深かった。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
あっちゃんのパパと

5.0日本が朝鮮・中国でしてきたことを問う

2022年8月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

戦争と人間 第一部 運命の序曲
広島市映像文化ライブラリーでのイベント「知のトライアスロン」と題した講演会と映画上映会。
今回の映画は、山本薩夫監督の「戦争と人間」(一作目)で、講演会は、広島市立大学の柿木先生。
3部作で終わっている。五味川純平の小説はまだまだ続くが、予算の関係で途中で終わっている。

日本が第2次世界大戦でどのように中国、朝鮮と戦ってきたかを紹介している。映画で世界と歴史が見れるという話。
もう一度、この辺りの歴史の教科書を読まないといけないと思う。

2014年02月23日@広島市映像文化ライブラリー

コメントする (0件)
共感した! 2件)
M.Joe

4.0その時代の空気感が見事

2020年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 2件)
Kazu Ann

3.0山本薩夫監督の演出力は強烈な洗脳力がある 自分の力で、自分の頭で考えなければ危険だ

2020年2月26日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

気持ち悪い
団塊左翼老人の頭の中を覗くと見えるものはこれだ

前作の白い巨塔のように映画監督という職人に徹してはいないのだ

中国共産党や朝鮮労働党、韓国人共産党員に感化されて彼等の主張を一方的に信じ込んで作られている

その原作を共産党員の山本薩夫が張り切って、彼の持つ映画監督としての非凡な才能を傾けて撮っている作品だ

その意味で映像としては観る価値はある
華麗なる一族への習作と言うべきかもしれない

ただ内容は鵜呑みにせず、果たして本当にそうだったのか、事実として語られることも自分で調べてその事件の発端、経過、結末を調べておかれる事をお薦めする
現在では真相が明らかになってきていることも多い

山本薩夫監督の演出力は強烈な洗脳力がある
自分の力で、自分の頭で考えなければ危険だ

劇中に、社会主義者の兄が、中学生の弟に諭す台詞がある

皮肉なことにその言葉は、本作から50年経って、彼等自身を警戒せよと言っているように聞こえるに至るまで年月は流れてしまったのだ

21世紀に生きる現代の私達には、中国共産党、朝鮮労働党、共産党員の在日韓国人達、新左翼の活動家やシンパ、日教組の先生達を警戒せよとの言葉に聞こえてしまうようになっているのだ
それ程までに彼等は私達を騙し裏切ったのだ
その事を私達は良く知っているのだ

つまり、その台詞は今では、本作を使って洗脳しようとする団塊左翼老人達を警戒せよとの忠告になってしまっているのだ
本当に皮肉だ

信じるな!
男でも女でも思想でも本当によく解るまで
解るのが遅いのは恥ではない
後悔しないためのただ一つの方法だ
威勢のいい奴がいたら、そいつが何をするのか
ようく見るんだ
お前の上に立つ奴がいたら、そいつがどんな飯の食い方をするか、他の人にはどんなものの言い方をするか
言葉やする事に裏表がありはしないか
ようく見分けるんだ
人がなんと言おうが、自分が納得するまで絶対にするな

コメントする (0件)
共感した! 2件)
あき240

他のユーザーは「戦争と人間」以外にこんな作品をCheck-inしています。