接吻泥棒
劇場公開日:1960年6月26日
解説
石原慎太郎の原作を、「娘・妻・母」の共同執筆者・松山善三が脚色し、「人も歩けば」の川島雄三が監督した喜劇。撮影は「黒い画集 あるサラリーマンの証言」の中井朝一が担当。
1960年製作/83分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1960年6月26日
ストーリー
銀座の真中で衝突事故があった。タクシーの男は乗用車の女に口うつしで水を飲ませているところをトップ屋の日高に写真をとられ、週刊トピックスの表紙になった。作家の石原慎太郎も、接吻泥棒とはいかすじゃないかと手を拍って喜んだ。男はライト級チャンピオンの高田明、気絶した女は聖立高女の生徒由紀美恵子である。事件は清廉な校風を傷つけるものとして職員会議にかけられた。直談判に及んだ由紀家の主人は、元バンタム級選手であったが故に明と意気投合し、ペロスとの世界選手権試合の資金を引き受けてしまった。職員会議に召喚された明は、美恵子をまだほんの赤ん坊だと言明した。憤然とした美恵子は拳闘の試合を見ては気絶し、蛇料理を食べては嘔吐したが、だんだん明を好きになった。明は女性関係でもなかなかタフで軽快なフットワークを発揮していた。バーのマダムの山岸エリ、クラブのショー・ダンサーの沢井洋子、そしてファッション・デザイナーのエレナ西条である。美恵子は果然挑戦した。エリの前で大酒を飲み、西条が明のために作った洋服にケチをつけ、洋子とストリップを踊った……というわけである。大胆さに驚きながら、明も美恵子に愛情を感じ始めた。三人の女と手を切ろうと、マネジャーから十万円借用した。この十万円は第一の交渉相手である洋子にまき上げられ、エリには自家用飛行機の中で悲鳴を上げたので頼りにならぬと諦めてもらい、西条からは彼女に惚れ込んでいるトップ屋の日高のおかげでやっと逃げ出すことが出来た。ペロスとの世界選手権試合の当日、四人の女性の見守るうちに、明はペロスをKOして選手権をかち取った。美恵子と祝杯のために蛇料理屋にかけつけた、日高とぶつかってノック・アウト。事故の時とは逆に、美恵子の口うつしの水で気がついた。慎太郎氏の前で二人は抱き合った。