新宿アウトロー ぶっ飛ばせ

劇場公開日:

解説

「無頼・殺せ」「無頼より 大幹部」に続く渡哲也の新シリーズ第一作脚本は「野良猫ロック ワイルド・ジャンボ」の永原秀一と「反逆のメロディー」の蘇武道夫。監督は脚本にも参加している「野良猫ロック ワイルド・ジャンボ」の藤田敏八。撮影は「ハレンチ学園 身体検査の巻」の萩原憲治がそれぞれ担当。

1970年製作/86分/日本
原題または英題:Step on the Gas!
配給:ダイニチ映配
劇場公開日:1970年10月24日

ストーリー

兇器のように強靭な肉体を持つ西神勇次は、通称シニガミと呼ばれ恐れられていた。二年前、傷害事件で刑務所にぶちこまれ、いま、やっと仮釈放で出所した。この勇次を出迎えたのは、意外にも初対面の直と名のる青年だった。直は自ら裕福な家を出て、マリファナの密売に手を出していたが、最近取り引で失敗し、時価三千万円のマリファナと相棒の修平を強奪されてしまった。勇次に近づいたのは、彼の野獣のような力がマリファナと修平を取り戻すために必要だったからだ。こうして勇次のもとの恋人笑子と、直のトリオが出き上った。勇次と直の捜査の結果、友愛互助会と、サソリと異名をとる殺し屋の姿が浮び上って来た。サソリの忠告を無視して動き回る勇次たちのもとには修平の服をまとった血にまみれたマネキン人形が届けられた。もはや修平の死は間違いなかった。勇次たちと友愛互助会との抗争は激しくエスカレートしていった。そんな争いの中で笑子が殺された。ケリをつけようと決意した勇次は友愛ビルに殴り込むが、会長湯浅はマリファナを持ち、屋上からヘリで逃げようとしていた。殺し屋サソリの銃口に狙われた勇次は捕らえた湯浅を盾とするがサソリは遠慮なく銃撃する。湯浅は死にサソリも勇次らの反撃にあい銃殺される。マリファナを取り戻した勇次と直はヘリに乗り込み、上空へと飛び立っていった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5乱高下するヘリコプター

2023年8月16日
iPhoneアプリから投稿

『八月の濡れた砂』の藤田敏八が手がけたアウトロー映画。将来安泰のボンボン息子が実家と縁を切って無頼生活に勤しむ、という筋立てはボブ・ラファエルソン『ファイブ・イージー・ピーセズ』を想起させるが、おそらく制作時期はほぼ同時。ニューシネマ的な問題意識がいかにグローバルに共有されていたかが伺える。

まず冒頭がいい。刑務所を出た渡哲也がタクシーで新宿に向かう。しかし獄中にいた数年間のうちにすっかり様変わりした新宿(このあたりが本格的に開発され始めたのは60年代末期〜70年代にかけてのこと)の摩天楼を一瞥すると、「やっぱり横浜だ」と進路を変更する。開幕早々のヒリついた疾走感に陶酔する。

渡哲也になぜか付きまとう原田芳雄は都内に巨大な邸宅を構える良家の子息。原田はブルジョアというスティグマを抱えた自分に対するコンプレックスからか、根っからの無頼気質な渡に強く惹かれるが、それを察されないようあくまで対等なフリで彼に接そうとする。なんともブルジョア仕草的だ。愚連隊に拉致された妹(もちろんカタギ)を救い出した時にも、泣きじゃくる妹を引っ叩くさまを愚連隊に見せつける。俺はお前らみたいな半グレとは違うんだぞ、という必死の自己証明のようだ。他方渡はといえばいきりたつ愚連隊の面々にも余裕綽々の態度。

どだい命を顧みない渡と、アメリカン・ニューシネマのような屈折した感傷に浸りたがる原田が共に死の匂いが漂うほうへと向かっていくのは必然だが、その結末は滑稽だ。思わず死に損なってしまった命、思わず手にしてしまった大金。団地の上空をゆらゆらと乱高下するヘリコプターが彼ら(いや、たぶんそう思っているのは原田だけだろう)のやりきれない気持ちを代弁する。

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因果

4.0ラストでの行き先不明でフラフラしながらの低空飛行が、当時のインテリ若人の心情!?

2022年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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Kazu Ann

5.0「冒険者たち」の影響を強く感じる日活ニューアクションの傑作

2020年1月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

フランス映画の名作「冒険者たち」(1967年)の影響下をとても強く感じる日活後期のニューアクション。

フランソワ・ド・ルーペやミシェル・ルグラン風の音楽に始まり、渡哲也と原田芳雄と梶芽衣子の三角関係、そして女が巻き込まれて、二人に寄る儀式の様な葬い。
原田芳雄はルガーP-08拳銃を持ち、要塞化したビルで死闘を演じる。ヘリの操縦や空撮などもところどころに「冒険者たち」を連想させる場面も。

ウイスキーをがぶ飲みして、暴力振るう事に躊躇は無いが、意外と陰りなく軽快さを感じる哲兄さんと若干三枚目で陽性な原田芳雄とのバディ感は、結構面白い。シリーズ化出来なかったのかな。

一番の強敵の成田三樹夫の鋭いキレのある演技と着物姿も素敵な梶芽衣子姉さんも見どころ。

小僧な沖雅也も新鮮。彼の搭乗するホンダドリームCB750FOURが、場面によって車種が変わるのは、ご愛嬌。

監督の藤田敏八は、監督後期のべたついた重い演出のイメージがあり敬遠していたが、意外と職人的なテンポ良く刻む演出で、明朗さもあり活劇としては上出来な作品だと思う。

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ミラーズ

2.5渡哲也&原田芳雄!

2014年1月25日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

渡哲也主演の1970年の日活作品。

“死神”と呼ばれた若いヤクザの勇次。仮釈放された彼を待っていたのは、麻薬密売人の直。二人は手を組んで、ヤクザ組織から奪われた直の麻薬を強奪する。

日活後期のニューアクション。
この時期になってくると、かつての日活アクションの雰囲気と大分違う。
監督を藤田敏八が務めたのがミソ。まだ監督デビュー間もないが、後の作品に見られる若者のけだるい雰囲気は既に感じ取れられる。

硬派な渡哲也とダーティな原田芳雄、この二人のコンビネーションが最大の見所。
もう一度、二人の顔合わせを見たいとさえ思わせたが…今はもう叶わぬ夢なのが残念でならない。

梶芽衣子が魅惑的。
殺し屋“サソリ”に扮した成田三樹夫が凄みを見せる。

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近大