ションベン・ライダーのレビュー・感想・評価
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ひと夏の祝祭的な活劇
ずっと観たかった相米慎二の初期作品を、やっと映画館で観ることができた。
冒頭から、登場人物の関係と物語の発端をワンカットで見せる長回し。そして、伝説ともなっている貯木場での格闘の長回し。ラストの屋内セットでの長回しは、あさま山荘を模している?
大筋だけ決めて撮っていったのか、物語展開の繋ぎには頓着していない。名古屋での財津一郎のシーンなど、意味不明。効果音やメイクなど、悪ふざけと取られかねない部分も。
とにかく、ひと夏の祝祭的な活劇として、主人公の中学生たちが動き回る姿を画面に写し取ることだけに専念している。
それにしても、中学生にタバコを吸わせたり、ビールを飲ませたり、今のコンプラでは考えられないね。原日出子も、橋から落ちたり、宙吊りされたり、無茶苦茶されてる。
壮絶な失敗作に見えるが、あの頃このような作品が作られ、後々の人に残されたことに、大きな意義を感じる。
「雪の断章」など、今だったらどう見えるだろうか。あの冒頭の長回しをもう一度味わってみたくなった。
ロックスター
この監督の作品は、
スタッフ、キャストに試練を与える。
とんでもない、サディストだ。
しかし、見てる側からしたら、
ハラハラドキドキのショータイム。
一瞬たりとも安心させない。
そんな、快楽は、かなり、ヤバい。
ヤバいから中毒になる。
だから、みんな相米慎二中毒になる。
ロックスターみたいな監督だ。
色々とカオス
採点3.6
相米慎二監督の暴力団の抗争に巻き込まれていく青春冒険作品。
永瀬正敏・河合美智子のデビュー作でもありますね。坂上忍もほっそいです。
物語は言ってしまえば“中学生の一夏の冒険”なのですが、中々良い感じなんですよ。
今みると中学生相手にシャブ・殺し・自殺・トランスジェンダーなど絡めてるのがすごい。
更に中学生の役者本人が橋から川に飛び降りたり、自転車から軽トラに飛び移ったりと結構時代を感じます。
河合美智子に至っては、その役柄もあってノーブラで水に濡れるから透けてたり、それどころか完全にポロリしてたりと、現代では完全にアウトでしょう。
色々やりたい放題ですが、長回しを多用したカメラなども面白いです。
ラストも含め色々とカオスでした。
長回しテク
冒頭から6分30秒の長回し。ヤクザ2人と中学生たちのプール。さらに校庭でバイクを乗り回す不良たちと、子どもたちにこの演技をさせるのも凄いテクニックだ。
誘拐したのは違う子だった・・・慌てふためく寺田農。そこへデブナガを本物のヤクザが連れて行き、寺田農は殺されてしまう。デブナガも殺されたんじゃないか?などと考えつつも、彼が殺される前になんとか復讐を果たしたいと願う3人組。夏休みということもあって、旭竜会というヒントを頼りに横浜へ向かい、そこで警官(伊武雅刀)によってヤクザの厳兵(藤)と知り合う。彼もまた組長の命令でデブナガを誘拐した山(桑名将大)と政(木之元亮)の行方を追っていたのだ。
長回しは冒頭だけではなかった。ところどころのシーンにおいて印象的な長回しを多用し、特に名古屋まで行ったときの追跡劇が見事。橋の上から河合美智子が飛び降り、アラレ先生(原日出子)も飛び降りる。そして丸太での追跡。ストーリーは辻褄の合わない部分が多々あり、面白みもないのだが、撮影テクニックのみによって相米慎二の魅力を確定的にした感がある。
河合美智子の少女時代。ボーイッシュな雰囲気はとてもいいし、大胆に男風呂に入ったり、後半には3人で服を取り換え、おっぱいが見えるくらいに屈むといったシーンが多い。
相米の最高傑作❗
兎に角カメラが凄いし暴走しまくってる上に演出が半端無いわ容赦ないわ、女子供をここまで追い込むかと言う鬼演技、鬼演出。縦横無尽駆け回る。まるで前衛演劇を体験するかのような凄みと無茶振り。それでいて画面が破綻しないので最後まで見せられてしまう‼️ロードムービーであり🎥セーラー服と機関銃のセルフオマージュに浅間山荘から10年後の総括映像。フル編集で見たいものだがこの未完成感がたまらない作品となっている🎵
木場
河合美智子のデビュー曲が最後に流れるが、後にオーロラ輝子の異名をとるだけのことはあり、なかなかの歌唱力で15歳とは思えない。よもやこの映画でアイドル的な意図もあったのだろうか?男風呂に入れられ、スポーツ刈りにされて、胸元がダルダルのタンクトップまで着せられて。
そんな彼女が脈略もなく運河に飛び込んで目が点、追っかけてきた原日出子まで飛び込んで絶句。見るからにヤバイ高さなのに。この映画の見せ場である木場の長回しにおいても、この2人は切り込むように途中で現れ、少しヤバイ演技?もしくは事故を起こしている。更に原日出子は終盤にスカートでコン柱に昇る姿を下から撮られるという羞恥を強要されている。自転車からトラックに乗り移る永瀬正敏もムチャだし、藤竜也の行き過ぎた暴力表現など、唖然とさせられるシーンが多数含まれている。
ストーリーは、最後は尽く大人は破綻し、藤竜也に至っては風船持って道化した姿で最後に登場するわけであるが、このあたりのだらしなさは後の台風クラブとも共通し、その点で言うと、「ふられてバンザイ」と「もしも明日が」がかぶってくる。それにしてもラストの放水される中でサーチライトの光が差し込む画は美しい。
最終的な印象はやはり河合美智子か。股間をまさぐり、女である事実を突きつけられて、海に入るシーンが素晴らしい。子供でいれた最後の一夏。ロードムービーでありながら、移動シーンが少なく場所性が感じられない、変なテロップを入れてストーリーを追いきれないと言った破綻は感じるが、圧倒的な印象が残ればそれで良し。
凄い、確かに驚くべき映像が沢山ある しかしそれと映画の価値とか意義とは、イコールなのだろうか?
昨今ワンカット、ワンシーンが長ければ長い程、賞賛されるようだ
ならば、本作はその塊だ
驚嘆するようなシーンが長く延々と続く
カメラは視点を変え、パンし、移動してどこまでも追いかける
かと思えば、こちら、あちら、背景、手前、それぞれで同時に芝居が進行しており、それをそれぞれカメラが順に捉えていく
止まらずに
そんなワンカット、ワンシーンの長回しが山のようにある
だから、素晴らしい?
それは凄い、確かに驚くべき映像が沢山ある
しかしそれと映画の価値とか意義とは、イコールなのだろうか?
正直疑問だ
"永瀬正敏"
記念すべき永瀬正敏のデビュー作で彼の初々しい姿が堪能できる。
映画ってこんなにメチャクチャに撮ってイイの!?と驚かされる場面がてんこ盛りで役者に無理をさせ過ぎだし勢いだけで撮った躍動感あふれる珍作?
とにかく河合美智子の魅力が存分に活かされて原日出子も倍賞美津子も可愛い。
雑で野蛮なこの時代だからこそ撮れた楽しい映画。
すごいカット連発
うっかり見ているとダイイナミズム溢れるカットが連発するので、とても驚くのだが、話がもう少し面白かったらなーと思わずにはいられないとてももったいない映画だった。
藤達也がシャブで発狂して日本刀で切り付ける場面自体がたいへん発狂していた。もっとそういう場面が見たかった。
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