劇場公開日 1983年2月11日

「木場」ションベン・ライダー Kjさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0木場

2020年8月14日
iPhoneアプリから投稿

河合美智子のデビュー曲が最後に流れるが、後にオーロラ輝子の異名をとるだけのことはあり、なかなかの歌唱力で15歳とは思えない。よもやこの映画でアイドル的な意図もあったのだろうか?男風呂に入れられ、スポーツ刈りにされて、胸元がダルダルのタンクトップまで着せられて。
そんな彼女が脈略もなく運河に飛び込んで目が点、追っかけてきた原日出子まで飛び込んで絶句。見るからにヤバイ高さなのに。この映画の見せ場である木場の長回しにおいても、この2人は切り込むように途中で現れ、少しヤバイ演技?もしくは事故を起こしている。更に原日出子は終盤にスカートでコン柱に昇る姿を下から撮られるという羞恥を強要されている。自転車からトラックに乗り移る永瀬正敏もムチャだし、藤竜也の行き過ぎた暴力表現など、唖然とさせられるシーンが多数含まれている。
ストーリーは、最後は尽く大人は破綻し、藤竜也に至っては風船持って道化した姿で最後に登場するわけであるが、このあたりのだらしなさは後の台風クラブとも共通し、その点で言うと、「ふられてバンザイ」と「もしも明日が」がかぶってくる。それにしてもラストの放水される中でサーチライトの光が差し込む画は美しい。
最終的な印象はやはり河合美智子か。股間をまさぐり、女である事実を突きつけられて、海に入るシーンが素晴らしい。子供でいれた最後の一夏。ロードムービーでありながら、移動シーンが少なく場所性が感じられない、変なテロップを入れてストーリーを追いきれないと言った破綻は感じるが、圧倒的な印象が残ればそれで良し。

Kj