十三人の刺客(1963)

劇場公開日:

解説

「十七人の忍者」の池上金男がオリジナル・シナリオを執筆、「若様やくざ 江戸っ子天狗」の工藤栄一が監督した時代劇。撮影もコンビの鈴木重平。

1963年製作/125分/日本
原題または英題:Thirteen Assassins
配給:東映
劇場公開日:1963年12月7日

ストーリー

弘化元年九月明石藩江戸家老間宮図書が老中土井大炊頭の門前で割腹し果てた。間宮の死は藩主松平左兵衛斉韶の暴君ぶりを訴えていた。斉韶は将軍家慶の弟君、この事件は時の幕閣を動揺させた。これに対し老中土井は、非常手段として御目付役島田新左衛門に斉韶暗殺を命じた。大事決行をひかえ新左衛門は十一人の協力者を集めた。新左衛門の知友倉氷左平太、三橋軍次郎、樋口源内、他十一人の強者達だ。暗殺計画は極秘裡に進められたが、この暗殺計画を事前にキャッチした人物がいた。鬼頭半兵衛、明石藩側用人千石の身分を自分で掴んだ傑物である。不詳事発生以来一ヵ月余、明石藩が突如参勤交代の途についた。行列を追う刺客団は、中仙道で奇襲作戦を練ったが、半兵衛の奇計にあい失敗に終った。新左衛門の計略は、斉韶が尾張を通る時、その尾張藩の通行を阻止すれば、勢力を削られた行列は新左衛門が襲撃の場所に選んだ落合宿に出る。落合宿は襲撃には絶好の要地だ。尾張藩通行を阻止する方法は、尾張藩木曽上松陣屋にかつて息子夫婦を斉韶に惨殺され、深い恨みを抱く牧野靭負がいる。倉永が早速松陣屋に飛び、他の刺客は落合宿へ急行した。郷士の倅木賀小弥太がこの計画に加わり、今は唯時を待つだけだった。運命の朝、深いもやの中を落合宿に乗り込んだ斉韶公以下五十三騎は、先ず真新しい高塀にさえぎられた。混乱の中、退路の橋が大音響と共にくずれ落ちた。五十三騎は、半兵衛の意志とは逆に障害物にはばまれて、刺客の誘導に乗っていった。十三人と五十三騎の死闘は続いた。虚しい死体の群の中に新左衛門、半兵衛の死体もあった。弘化元年斉韶参勤交代の途中発病、帰城と同時に死去と届けられた。

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映画レビュー

5.0徹底的にリアリティを追求、東映「集団抗争時代劇」の代表作

2024年10月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

新文芸坐さんにて「『十一人の賊軍』公開記念 東映集団抗争時代劇の系譜」と題した特集上映開催(2024年10月7日~10月15日)。
本日は『十三人の刺客』(1963)、『忍者狩り』(1964)、『十一人の侍』(1967)の3作品を一気見。

『十三人の刺客』(1963)
2010年の三池崇史監督のリメイク版も印象深いですが、こちらは工藤栄一監督のオリジナル。
片岡千恵蔵氏、嵐寛寿郎氏、里見浩太郎氏、月形龍之介氏など「忠臣蔵」のようなオールスターキャスト総出演作で超豪華。ストーリーは徹底的にリアリティを追求して武士の一分(名誉や面目)、忠義のための兵刃を交える両陣営の侍たちの悲哀や、ラストの美濃落合宿での13人対53人の実に30分を超える時代劇史上最長の対決シーンは「人を斬ったことのない平和な時代の侍たちの戦い」を見事に表現していましたね。
キャストでは浪人・平山九十郎を演じた西村晃氏が晩年の「水戸黄門」では観れない、まるで『七人の侍』の久蔵を彷彿とさせる鮮やかな剣客を披露。そして何といっても松平斉宣役の菅貫太郎氏の残酷で軽薄な馬鹿殿様が白眉、映画史に残る悪役、ヒールの誕生でしたね。
まさに東映「集団抗争時代劇」の代表作ですね。

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共感した! 2件)
矢萩久登

5.0死のうと思えば生き、生きようと思えば死す。

2023年3月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

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しゅうへい

0.5カッコの悪いサムライの実態

2023年1月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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アンドロイド爺さん♥️

4.013人対53人の団体戦

2020年11月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

東映の「集団抗争時代劇」と呼ばれるジャンルの一作。
工藤栄一監督がこのジャンルを確立させた記念碑的代表作。
NHK BSプレミアムの放送を録画して鑑賞。

引きの映像とローアングルによる映画的構図の見本市のような傑作である。
小さな宿場を要塞化して戦うところは名作「七人の侍」 を連想させるが、あちらは攻めてくる野武士軍団を迎え撃つのに対して、本作は罠を仕掛けて敵をおびき入れて戦う。
「今の世に真剣で戦った侍などおらぬ」
「不意を突いて一人で三人がせいぜいでしょう。4倍の敵では討ち漏らす恐れがある」
池上金男のオリジナル脚本は、チャンバラ映画の常識を覆すリアリティがある。
それに応じて、クライマックスの大決戦の殺陣では、手練れたちといえども必死に刀を振り回す、なりふり構わない戦いぶりを見せる。
剣の達人平山(西村晃)の最期など、刀が折れてしまって恐怖の表情で逃げまどうという演出。
十三人のキャラクターそれぞれは深掘りされていないので、誰かに共感するようにはなっていない。あくまでドライに男たちの戦いを見せていくのみだ。
強いて言えば、敵方である半兵衛(内田良平)の置かれた立場には幾分迫っていて、大決戦の最後の新左衛門(片岡千恵蔵)と半兵衛の一騎討ちで、侍の死に様を美化して見せている。

工藤栄一の光と影の芸術は、白黒画面でより一層引き立っている。

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共感した! 3件)
kazz

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