潮騒 しおさい(1975)

劇場公開日:

解説

三島由紀夫の同名小説の4度目の映画化。美しい海の大自然を背景に、若い男女の愛を描いた青春映画。脚本は須崎勝弥、監督は「伊豆の踊子(1974)」の西河克己、脚本も同作の萩原憲治がそれぞれ担当。

1975年製作/92分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1975年4月26日

ストーリー

伊勢湾の湾口にある歌島は人口千四百、その殆んどが漁師と海女である。新治はまだ18歳。彼は一昨年、中学を出るとすぐ十吉の船に乗り込み、母と弟の生計を助けていた。彼がその見知らぬ少女と会ったのは夕暮の浜でだった。額は汗ばみ、頬は燃え、寒い西風に髪をなびかせながら、少女は暮れていく西の海の空を見つめていた。だが、新治はその顔に見覚えがなかった。翌日、新治は十吉から、昨日の少女は、村の金持、宮田照吉の娘で初江といい、照吉は一人息子に死なれたために他所に預けておいた初江を呼び戻し、島で婿を取らせるらしい、という事を知らされた。四、五日後、強風のために休漁した新治は、山の観的哨跡で道に迷っている初江に会った。若い二人はすぐに意気投合して、噂好きの村人から避けるために、この観的哨跡を二人の秘密の場所とした。給料が出た日、新治は初江の入婿に安夫がなる、という噂を聞いた。暗い心を抱いて家へ帰った彼は、給料袋を落とした事に気づき、浜へ探しに行くと、初江がその給料袋を拾って持っていた。新治は安夫との噂の事を初江に問い正すが、初江は笑うばかり。新治は、自分の唇をそっと初江の唇に触れさせた。二人が会えるのは、休漁の日、観的哨跡でだった。ひどい嵐の日、新治は観的哨跡で初江を待っているうちに眠ってしまった。やがて、フッと目をさました新治の前に固い小さな乳房の初江が立っていた。お互いに裸になる事で、二人は羞恥心を消そうとした……。寄りそいながら石段を下りる二人の姿を、新治に好意を寄せている千代子が見ていた。やがて村中に広がった噂は、二人の仲を引きさいた。新治と安夫は、島の青年の憧れの的である日の出丸に乗り込み訓練を受ける事になった。初江の事で対立しあう二人の青年を乗せて、日の出丸の航海が終りに近づいた頃、暴風雨にあい船は大海にのまれそうになった。命綱を身体に巻きつけた新治は、浮標めがけて、真暗な荒海に飛び込み、見事、災難を防いだ。この事が初江の父・照吉の気持を軟化させ、二人の交際を認めるようになった。灯台で寄りそう二人は幸福だった……。

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(C)1975 東宝

映画レビュー

5.0山口百恵さんは

Mさん
2023年10月15日
Androidアプリから投稿

決して美人という感じではないが、とても魅力的。歌を歌うシーンがあるが、これがまたいい。三浦友和さんは、若い頃からかっこよかったんですね。
もし、三浦家で夫婦喧嘩したら、「潮騒ごっこ」かなんか言って、潮騒の一場面でも再現したら、すぐ仲直りできるのではないでしょうか。
お父さんが西郷どんのようでした。

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M

3.5昔の封建的な島でのアイドル作品。 でも、見応えはありました。

2023年9月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

昔の封建的な島でのアイドル作品。

でも、見応えはありました。

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カネナカ

2.5おこぜ

2021年1月10日
iPhoneアプリから投稿

2人の距離がとんとんと縮まって、恋愛映画のはずが2人の高まりや切なさがあまり伝わらない。演出が軽快で、BGMは少し現在ではキツい所。存在感を示したのは貧乏後家、初井言栄。信治のイニシエーションの話は社会弱者からの跳躍といったカタルシスになってしまう。引き締まった体に褌姿がよく映える。
逆に山口百恵は受け身に待つ人になってしまっている。焚き木のシーンで、初江が覚悟して性に積極的に切り返すのが見せ場の話。現代にキャラを再解釈すれば面白いかもしてぬ。
その焚き木であるが、想定外に性に遭遇するというシチュエーションが萌える所だった筈だが、男の視点で寝落ちから目を覚ます所をそのままつなげた方が良かったのではないかとも思う。

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Kj

4.5観的哨での裸の焚き火のシーンのエロチックさは、1964年の吉永小百合と浜田光夫のコンビに圧倒的に勝ります

2020年9月30日
Androidアプリから投稿

山口百恵16歳
三浦友和23歳
この二人のシリーズ第2作目

潮騒は4回目の映画化
吉永小百合と浜田光夫のコンビによる、1964年の作品は第2回の映画化でした

それと比べてどうか?
ハッキリ言って本作の方が上です

本作のハイライトである観的哨での裸の焚き火のシーンのエロチックさで、もう勝負がついています

山口百恵の不安げな表情と細く固い裸体が、このシーンの本質を見事に表現しています
吉永小百合ではこの作品の根底にあるエロシシズムは表現出来ていなかったのです

三浦友和の裸体もエロチックです
あっち方面の方々にも大変人気があったというのも納得の裸体です
大昔、女友達に無理やり連れて行かされたその種のショーパブに出演していた褌姿の美少年達を思い出しました

この肉体をみたなら、浜田光夫のなまっちょろい筋肉ではエロチックさ、そしてその先のギリシャ神話の世界にまで到達できるがわけないと理解できると思います

ですから、山口百恵と三浦友和のコンビによる本作が、吉永小百合と浜田光夫コンビよりも優れていると言い切れると思います

本作の方が優れているのは、もう一つあります
それは久保新治の母とみ役の初井言栄です
目を見張る名演技で本作を引き締めてくれました
この人、声優さんでもあって、「天空の城ラピュタ」で海賊ドーラのCVされています

他にもお春婆役の丹下キヨ子、漁船の頭役の花沢徳衛も素晴らしい仕事ぶりです

あまちゃんの由来は、吉永小百合の作品よりも、本作の方からの由来の方が強いと思います

ラストシーンのナレーション

少女の目には誇りが浮かんだ
遠い海での嵐の夜、自分の写真が男を守ったと考えたのである
しかしその時、若者は眉をそびやかした
あの冒険を切り抜けたのは、自分の力であることを知っていた

これは三島由紀夫の原作小説の最後の一文そのままです

そして沖に向けて走り去っていく、小さな漁船に乗る二人の姿を捉えたカメラが引いて行きエンドマークとなります
その姿はもう夫婦です

新治が傲慢だと言うことではなくて、自分も一人前の男になれた、妻をめとり養っていける島の男になれたとの自負を表現してあるのだとおもいます

少なくとも西河克己監督はその解釈でラストシーンを撮ったと思います

快い余韻が残りました

山口百恵と三浦友和の二人には、もうすでに5年後に結婚に至るケミストリーが微かに立ち上っています

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