三万両五十三次
劇場公開日:1952年1月25日
解説
野村胡堂の原作から「馬喰一代(1951)」の木村恵吾がシナリオを書き、監督したもの。撮影は「ある婦人科医の告白」の長井信一が担当している。出演者の主なものは、「十六夜街道」の大河内傳次郎、「ある夜の出來事」の轟夕起子、「紅涙草」の折原啓子、「新撰組 第一部京洛風雲の巻」の河津清三郎に、菅井一郎、澤村國太郎、加東大介などである。尚、かつて日活で辻吉朗監督が同じ大河内傳次郎主演で撮ったものの再映画化である。
1952年製作/65分/日本
配給:大映
劇場公開日:1952年1月25日
ストーリー
黒船の相つぐ渡来に、国をあげて閉国か開港かの議論でわきかえっていたとき、各老堀田備中守は、強行に開港を主張し、反対派たる京都の公家たちを懐柔する資金三万両の黄金を京都へ送ることになった。その大任が、人々の予想に反し、一介の浪人馬場蔵人に与えられ、蔵人は、京都の寺へ寄進する十六菩薩だと称する十六個の荷物を八頭の馬に積んで京都への旅に出発した。それと同時に、日本橋から京都へ向う花嫁行列が、江戸切っての目明かし、雁金の長兵衛に守護されて出発した。三万両をねらう反幕派の浪士たち、欲にからんだ怪盗牛若小僧と女賊のお蓮の一味、大任を蔵人にさらわれた上、想いをかけた家老の娘小百合の心まで蔵人に奪われた恨みを抱く山際三左衛門、蔵人の身を案じた小百合までが、そのあとを追って同じ五十三次の旅へと続いた。こうして蔵人の行列は幾度か襲われ、その度に蔵人の奇策とあざやかな剣さばきとが危機をきり抜け、三左衛門のため追いつめられた小百合の危険をも救った。京都へ目と鼻の瀬田の大橋では、京都からの反幕派の浪士も加わり、牛若小僧もこれに便乗、前後からのはさみうちで、堀田家の一行も危ないかに見えたが、これも蔵人の機智と剣とで見事に切り抜け、一行は無事京都へ到着したのだった。いつしか蔵人の人柄にひきつけられていたお蓮も、大任を果たして江戸へ引きかえす蔵人のあとを追う小百合の姿を、あきらめの瞳で見送るのだった。