桜の代紋
劇場公開日:1973年4月21日
解説
暴力団も恐れるやくざ刑事が、警察の非人間性を内部から告発するとともに、暴力団組織を徹底的に壊滅していく姿を描く。脚本は「無宿人御子神の丈吉 川風に過去は流れた」の石松愛弘、監督は「御用牙」の三隅研次、撮影は「新座頭市物語 折れた杖」の森田富士郎がそれぞれ担当。
1973年製作/93分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1973年4月21日
ストーリー
奥村昭夫は暴力を取締る捜査四課のベテラン刑事である。ある日、深夜の国道で警官二名が射殺された。犯人は西神会若者頭の杉山と推定された。捜査四課の山崎課長以下、奥村、加藤、滝本たち刑事、警察陣は一斎に行動を開始した。西神会の組織は、関西から中国・四国までに及ぶ強大なもので、最近、橋田組の縄張りも勢力下におさえるべく露骨に動いていた。奥村は、若い加藤と組んで杉山の女ミチをマークし、ついに関西に潜入した杉山を逮捕した。この捜査には、橋田組二代目・宮川三郎が男の意地を賭け、身を張って奥村に協力してくれた。奥村の杉山に対する取調べは凄まじかった。やがて、杉山は拳銃のかくし場所を吐いたが、そこに奥村たちが駆けつけた時にはすでに拳銃は消えていた。激怒する奥村に、杉山は警察の中に密告者がいると、その名前を告げた。その直後、杉山の乗る護送車が襲撃をうけ、杉山は射殺された。不始末を問われ自宅謹慎を命じられた奥村は、加藤に密告者・滝本の行動を探るように指示した。やがて、滝本の重大な証拠を掴んだと加藤からの電話があった。飛び出した奥村が加藤のところに駆けつけた時既に遅く、加藤は電話ボックスの中で血まみれになって絶命していた。加藤の拳銃を取った奥村は、滝本を探し出し、その眉間に怒りを込めて引金を引いた。証人はミチだけになってしまった。奥村はミチの口を割らせようと非常手段に出た。その時、西神会々長・大星剛から電話が掛ってきた。奥村の妻・佳代を預ったから、ミチを放し、事件からも手を引け、と言うのである。大星の前に現われた奥村は妻のために意地も恥も捨てた。そんな奥村に大星は凄惨な私刑をする。佳代の無事だけを願ってジッと耐える奥村に、勝ち誇った大星は、家へ帰って待て、と冷たく言い放つ。夜、家で佳代を待つ奥村に警察から連絡が来た。佳代が死体で発見されたのだ……。冷たい死体置場を出ていく奥村は何事かを決心したかのように無表情だった。その夜、奥村の憎悪と殺意をこめた拳銃が火を吐いた。大星以下、西神会幹部全員が、血しぶきの中を次々と倒れた……。悪徳警官、殺人鬼の汚名のもとに奥村は無期懲役の判決を受けた。控訴などする気は毛頭無かった。権力のシンボル“桜の代紋”への皮肉な微笑であろうかその顔は晴れ晴れとしていた。