古都(1980)

劇場公開日:

解説

別々に生きて来た瓜二つの姉妹の出会い、愛、親と子のつながりを描く。三浦友和との結婚、引退を表明したスーパースター山口百恵の最後の主演作品である。川端康成の同名の原作の映画化で、昭和三十八年、中村登監督によって、松竹で一度、映画化されている。脚本は「病院坂の首縊りの家」の日高真也と同作の市川崑の共同執筆、監督も同作の市川崑、撮影も同作の長谷川清がそれぞれ担当。

1980年製作/125分/日本
原題または英題:Ancient City
配給:東宝
劇場公開日:1980年12月6日

ストーリー

佐田千重子は京呉服問屋の一人娘として何不自由なく美しく育った。千重子は中学生のとき、父母から実子でないことを知らされた。祇園の夜桜の下に寝かされていた赤ん坊があまり可愛いので、悪いと知りながら盗んだと母は言うが、千重子は信じない。しかし、千重子と父母の関係は、実の親子以上に愛と親しみで結ばれていた。千重子は幼馴染の真一にだけ、自分の身の上を打ち明けた。それは彼女が真一に好意を持っていたからだ。父の太吉郎は問屋の主人でありながら名人気質で凝った地味な仕事で返品が多かつた。千重子はそんな父の着物が好きだった。ある日、千重子は友だちの正子と、清滝川沿いの北山杉の村に行くと、自分とそっくりな村の娘に出会い驚いた。暫くして、祇園祭に賑わう宵山の晩「御旅所」にお詣りに行った千重子は、そこで、七度詣りをしている瓜二つの娘と再会する。「……あんた、姉さんや、神様のお引き合せどす」と苗子というその娘は千重子の手を握った。苗子と千重子は双児の姉妹だった。二人の父は北山杉の職人で、生活苦で千重子のほうを捨てたが、間もなく杉から落ちて死に、母もつづいて病死した。孤児になった苗子は北山杉の持ち主の世話になり、今もそこで働いている。苗子は、環境の違う姉の幸福をこわさない心づかいで、雑とうの中に姿をかくした。その時、苗子を千重子とまちがえた織屋の秀男は、彼女に帯を織らせてほしいと頼む。仕方なく承知する苗子。一方、千重子は真一に声をかけられ、兄の竜助を紹介された。八月の末、苗子と再会した千重子は、決心して、二人のことを父母に打ち明けた。父母は温かく苗子を家に迎えてもいいと言う。千重子は秀男にも本当のことを話し、妹のために帯を織ってほしいと頼む。秀男は千重子との約束の帯を苗子に届け、そして結婚を申し込んだ。苗子は、そんな秀男の申し出に、自分の中に千重子の面影を求めていることを読みとった。一方、千重子は、自分を愛する竜助が、父に廃嫡を承知させて求婚してきた意志に惹かれて、申し出を承知した。粉雪が舞う夜、苗子が千重子を訪れた。床の中で千重子は妹に言った。「苗さん、私は私。どっちの幻でもあらしません。好きな人がいやはったら結婚おしやす。私も結婚します」夜明けに帰る苗子を見送った千重子は「また、来とくれやすな」と声をかける。しかし、首を振る苗子。苗子は、結局二人は別々に生きるより仕方がない運命を知っていた。千重子はべんがら格子戸につかまって長いこと見送った。苗子は振りかえらなかった。

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映画レビュー

2.0岩下志麻版に軍配!

2024年6月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

京都観光のガイド本として原作本を読み、
1963年の岩下志麻版に引き続き鑑賞。
また、監督が市川崑ということでも
期待が高まった。

しかし、生まれは同じでも、
育った環境により人生は大きく左右される
との生き別れた双子の悲劇性が
強調されたものの、
苗子は見事な人間形成を遂げている
のだから、多分にそこに力点は無いであろう
川端康成の意図に反して、

何かと説明調的に
全編に渡り原作から話を膨らめ過ぎ、
特に、苗子を愛するかのような
三浦友和が演ずる原作に無い人物の設定は、
苗子の最後の決断の意味性を底浅いものに
してしまい、彼女の奥ゆかしさを
致命的に薄めてしまってはいないだろうか。

また、千重子の普段着を
洋服にしたせいもあるだろうが、
彼女の京女とさてのたたずまいとしては、
演じた時の年齢としては
1歳の違いしかなかった岩下志麻には
遠く及ばず、
古都の世界へ誘ってくれた原作本から
遠く離れてしまったのは
市川崑監督の名匠らしからぬ演出に感じた。

この作品は山口百恵の引退記念企画
とのことだが、
アイドル映画の域に留まってしまったような
印象は残念だった。

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KENZO一級建築士事務所

3.5落ち着いた映画、 心は踊らないが1961年版より判り易い

2020年12月22日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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KEO

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