絞殺
劇場公開日:1979年6月2日
解説
突然暴力をふるいだした有名高校に通う息子を、生命の危険に脅やかされた父親が耐えかねて絞殺したという実際に起った事件をもとに映画化。脚本・監督は「竹山ひとり旅」新藤兼人、撮影は「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録」の三宅義行がそれぞれ担当。
1979年製作/116分/日本
配給:ATG
劇場公開日:1979年6月2日
ストーリー
ある夜明け、狩場保三は、熟睡中の息子、勉を絞殺した。妻の良子は、ふるえながら夫の顔を見つめていた。一瞬、良子の脳裡に、勉との楽しかった日々の数々がパノラマのように浮かんで消えた。夫婦は、息子を一流高校に入れるため、校区に家族で転居し、ある駅前でスナックを経営していた。保三が勉に話すことは、東大へ入るんだ、エリートコースを踏みはずすなということのくり返しであった。勉はクラスメートの初子に好意を寄せており、ある日、デートに誘い、彼女を犯そうとするが、猛烈な抵抗にあって失敗する。初子は再婚の母の連れ子で、母の病死後、義父に犯され、それ以来関係を続けていた。ある日、勉がその現場を目撃してしまった。勉にとってそれは地獄絵だった。暫くして、初子は蓼科から勉を誘った。彼女は義父を刺し殺して来たのだ。二人は静かに抱き合い、激しく燃えた。いっしょに自首しようとする勉を帰した初子は、投身自殺をする。しかし、「女子高校生情痴の果てに義父を刺し自殺」とマスコミの騒ぐなか、学校では、教師、生徒ともに自分たちには関係ないと全く無関心だ。この頃から勉の性格が一変し、両親に暴力をふるうようになり、さらに、母の身体を求めようともした。保三は精神病院に勉を連れていくが、反抗期の躁鬱症と診断される。しかし、勉の暴力はエスカレートする一方で、良子と相談し息子を絞殺するのだった。保三は自分も自殺するつもりだったが果せず、死刑覚悟で自首するが、近所の人達の減刑嘆願の運動で裁判は情状酌量され、三年の刑と執行猶予四年が言い渡された。しかし、妻は夫に向かって「わたしの勉をかえせ」と言いだした。息子は、母にとってたったひとつの生き甲斐であったことが、息子の死によってうかびあがった。人目をさけ、まるで夢遊病者のような行動をとりはじめた。妻は遂に首をくくって息子の後を追った。傍に良子が外出のときいつも持っていた不思議な風呂敷包みがあり、その中に丸い金属のゴミ籠があった。良子は、自殺の場所を探していたのだ。自殺場所で有名な高層団地の屋上には柵があり、その踏台用に使うためであった。そして良子の日記には、「勉のやったことはよくわかります」と二行したためてあった……。
スタッフ・キャスト
受賞歴
第3回 日本アカデミー賞(1980年)
ノミネート
脚本賞 | 新藤兼人 |
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