黒木太郎の愛と冒険

劇場公開日:

解説

野呂重雄の原作をもとに、松竹退社後、フリー第一作目の森崎東監督が脚本と監督を担当、文句さんとアダ名されるスタントマンの中年男とその家族と友人、映画監督を夢みる若者たちがからみあうホーム・ドラマ。脚本・監督は「喜劇 特出しヒモ天国」の森崎東、撮影は村上雅彦がそれぞれ担当。

1977年製作/110分/日本
配給:ATG

ストーリー

かつては優等生であった定時制高校五年生の伊藤銃一は、他人の足をひっぱることしか考えていないクラスメートを、学校を腹の底から軽蔑し呪っている。銃一には二人の親友がいた。小学校からの友人の公一。もう一人は大学生の勉であった。銃一は学校をサボり、バキュームの仕事をしていた時、ゴメさんと知りあう。そして、ゴメさんの世話で大人のオモチャ屋をしている菊松の家に下宿させてもらっていた。ゴメさんは、黒木太郎の世話でバクチの負け金の取り立てをやっていた。モンキーに似ていることから文句さんと銃一たちが呼んでる黒木太郎は、勉の叔父にあたり、映画のスタントマンをしており多趣味で、たいへんな凝りしょうであった。文句さんのおくさんは、元女優でたいへんな美人であり、また、勉の母親はたいへんな肝ッ玉お母さんで、勉との仲もたいへん良かった。銃一は、万事につけてあけっぴろげのこの家族を、この街を愛していた。彼の夢は、文句さんの奥さんのカムバック映画を作ることであったが、仲々実現できなかった。そんなある時、ゴメさんが死亡。文句さんと銃一の二人は、遺骨を娘さんの吹雪にとどけるのであった。吹雪の家はひどい貧乏で、やっかいな女教師が下宿していた。この下宿人を追い出すのにひと役かった銃一は、その間に彼をたずねて来た父親に会えなかった。そして父親は、手配師や労務者たちにバカにされ、墓地で切腹。そんな父に別れをつげた銃一は、勉の従妹・和美が不良グループと遊びまわっている間にヤクザにひっかかり、ソープランドに売られようとしているという事件が起きていることを知り、文句さんと共に、銃一、公一、勉がヤクザの所にのりこむのであった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

4.0銃一役の伊藤裕一が良い

2015年11月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

川崎市市民ミュージアムで2015/11/28に鑑賞。
田中邦衛を食った演技をしてた銃一役の伊藤裕一という俳優が良かった。ルックスからかけ離れたような低い声で初めは違和感あったけど見ていくうちにそれは気にならなくなり、不器用で朴訥で真っ直ぐな青年を上手く演じてたと思う。ナレーションの声もやってて実質的に主演だった。気になって伊藤祐一の名前で検索しても別人の俳優しか出てこないので、映画の冒頭で挨拶していたように本当にスタッフが俳優をやらされていたのかもしれない。そう思ってさらに調べたら、マジだった。”当時横浜にあった今村(昌平)さんの映画学校の生徒さん”だそうです。
冒頭で田中邦衛が右翼左翼のデモで警戒中の中、国会やソ連大使館周りを日の丸付けたジープで乗り回し、警官をからかうシーンは痛快でカッコ良かったwそんな破天荒なキャラなのかなと思ったら全般的には頼りになる兄貴的なキャラでした。
田中邦衛演じる文句はスタントマン、伊藤祐一演じる銃一は映画監督志望という設定でしたが、あまり話には関係なく、途中で忘れてましたw
迷惑な女教師役の緑魔子の左右が上下にずれたように見えた目が気になったけど、実際に斜視なんですね。それを逆手に取って魅力にしてたみたいですね。何でもすぐに整形する最近の芸能人と比べて潔いなあ。過去の呪縛を解かれて自分を取り戻した後の演技は別人のように可愛かったね。

政界や財界の下でもがきながら一生懸命生きる底辺の人達の人間臭いドラマでした。

コメントする 2件)
共感した! 1件)
月野沙漠
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る