九十九本目の生娘
劇場公開日:1959年9月11日
解説
大河内常平の「九十九本の妖刀」を映画化したもので、岩手県北上山脈の奥深くに発生した妖刀にまつわる事件を描いたアクション・ドラマ。高久進・藤島二郎が脚色、「海女の化物屋敷」のコンビ曲谷守平が監督し、岡戸嘉外が撮影を担当した。
1959年製作/82分/日本
原題または英題:The Biood Sword of the 99th Virgin
配給:新東宝
劇場公開日:1959年9月11日
ストーリー
北上川上流に遊びにきていた二人の東京の女給、鈴木三重子と津川花代が、渓流で水浴中に何者かにさらわれた。つれの男二人は怪しい老婆を捕えたが、老婆は一寸のすきに逃れてしまった。近くの白山集落では、十年に一度の火づくり祭が近づいていた。平家の流れをひくこの集落では、昔ながらの掟が人々に守られていた。白山神社の宮司弓削部は、集落の者以外は山を下りろと、集落の長で、舞草族の首領である男に脅迫された。やがて、怪しい舞草族の祭りが焚火をかこんではじまった。先日さらわれた二人の女が、殺されて血のいけにえにささげられていた。それを通りかかってみた二人の炭焼きの男は、その場で殺されてしまった。色めきたった警察では、祭りの行われた神社の境内をさがし、神殿の地下に九十八本の長刀を発見した。それは鑑定の結果、史上に名高い舞草太郎国永の名刀だと分った。いずれの刀も刃先が血でくもっていた。これは、被害者が全部体の血をとられているので、この血と関連があるのではないかということになった。その頃、宮司の弓削部は、すでに五郎丸に捕えられて、集落の牢に入れられており、月の出には血祭りに上げられてしまった。舞草族の長は、九十九本目の刀を、女の生き血で鍛えようとしていた。そして、いけにえには老婆の娘あざみが選ばれた。あざみは、老婆が村からさらってきた子なので、老婆が身代りの娘をもう一人さらってこぬ限り、あざみの命はなくなることになった。一度は警察に捕えられた老婆は、集落民の救けで逃げ出し、及川署長が本部へ急行し、捜査隊出動でごったがえしているとき、及川署長の娘加奈子をさらって山に帰った。好きなあざみをつれて逃げた五郎丸は、集落民に殺された。しかしあざみだけはかろうじて捜査隊に救われた。隊員たちの足もとに突如矢が立ち、舞草族の男たちがはだかった。すでに捕えられた加奈子は集落民の手で木につるされ、警官隊のやってこぬうちに、刀を鍛える儀式がはじまろうとしていた。長の手が刀を加奈子に向けてふり下そうとした時、警官隊が到着した。舞草一族は最後がきたのを悟って神殿の地下室で自決した。救われた加奈子は、村の警察の捜査主任阿部政之とともに山を下りた。