CUREのレビュー・感想・評価
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タバコ吸っていい?
娼婦が鈍器で殴られた後、頸動脈をX証に切り裂かれるという惨殺事件が発生。
犯人はすぐに捕まったが、至って普通の男でとても凶悪犯とは思えない。
近辺では似たような事件が相次いで起きていた。
刑事の高部は一連の事件を友人の心理学者とともに捜査するが、なかなか真相を掴めない。
そんな時、捜査線上に間宮という不審な記憶障害の男が浮上する。
一度だけでは完全に理解しきれない。
観れば観るほど深みにハマりそう、ただ一度でも十分面白かった。
軽快な音楽で始まるタイトルバックから次第に巻き込まれていく主人公。
明らかにコイツが怪しいと分かっているのに晴れないモヤモヤ。
間宮という男の不気味さが進展すればするほど重くのしかかってくる。
常人の中の潜在的な怒りや憎しみを表出化させ、束縛する何かから解放させる。
まさにcure、治療、癒し。
そう考えると、ある意味「褒める」や「励ます」、「寄り添う」という行為も催眠の一つなのかもしれない。
やはり、普通の人が突如躊躇いもなく人を殺す姿は衝撃的。
そしてかなりの残忍ぶり。
早期解決を願うも、負の連鎖は止まらない。
音や光など物語上重要となってくるものへのこだわりが強かったように思う。
思い返せば、踏切の遮断機にカメラが寄っていた。
X関連はイマイチ腑に落ちない部分もあったが、猿のミイラといい佐久間の部屋のものといい、Xが現れるたびにゾッとする。
特別だった高部は伝道師となった。
あんたすごいよ。
こんな人殺しが許されていいわけないのに、鬱屈した不満への救済だと考えるとなんだか合点がいってしまうのが怖い。
私もまた、間宮の噛み合わない会話にイラつき、まんまと間宮の術中に陥り、cureされたのでした。
私にはまだまだ難しかった
最初に見たのは1998年か1999年。大学の夏の特別講義か何かで、東京から招かれた講師による映画論の授業中に見た。内容もすっかり忘れているが、「黒沢清のcure」というタイトルだけは強烈に記憶に残っているので、私に何らかの刺激を与えた映画に違いない。
今GyaOで配信中と知り、20年以上ぶりに鑑賞。
今の私にもまだまだ難しかった。。。
え、どういうこと??誰か解説して!!
が見終わった感想。
他の方の口コミを見て、何とか理解。
また20年後に見てみよう。
【”心の闇を、霊術により救済する伝道師” ”こちらの世界”と”あの世”との狭間を描き続ける、黒沢清監督の名を国際的に高めたサイコ・サスペンス。】
■頻発する、”クロス”に首筋を切り裂かれた猟奇殺人が、短期間に3度発生する。
実行犯は別人。
<Caution! 以下、内容に触れています。>
・猟奇殺人事件の捜査を進める高部刑事(役所広司)。
・友人の心理学者佐久間(うじきつよし)の協力を得ながら、”間宮”(荻原聖人)と言う記憶障害の青年に辿り着く・・。
・高部自身も、妻(中川杏奈:早逝されている・・)が、精神に病を抱えており、心に屈託を持っている・・。
・間宮と関わる人々(警官(でんでん)であったり、幸福な生活を営んでいた結婚していた男であったり・・、彼を診察した女医(洞口依子)が、彼の”無意識の催眠暗示”により、行った事・・。
・間宮の部屋を訪れた高部が目にした、膨大な精神病理学の書物。間宮は、精神医科大の生徒であった・・。
”メスナー”という18世紀のオーストリアの精神病理学者に入れ込んでいた間宮が、打ち込んでいた事。
”メスメリアン”
【間宮が、高部に言った言葉。 ”あんただけが、俺の言葉を理解できる・・。” 】
・佐久間が高部に見せた、1898年に撮影されたモノクロの、村川すずと言う、”息子を十文字に切り裂いた”母親の診療風景の映像。
佐久間の
”当時は、診療とは呼ばずに、”霊術””オカルティズム”と呼んでいた・・”と言う言葉。
・その佐久間も、自ら命を絶つ・・。
<間宮を廃病院で拳銃で殺めた佐久間が、”晴れ晴れとした顔”で、行きつけのファミレスで食事をし、ウェイトレスに珈琲を頼み・・。
そのウェイトレスが、無表情に手に持ったモノ・・。
”ごく普通の人々が、ごく普通に遭遇するであろう恐怖を描こうとした”と黒沢監督が語った、
”登場人物たちが放出する掴みどころのない恐怖に焦点を当てた”
黒沢ワールドの萌芽を感じさせる、サイコサスペンスである。
黒沢清監督のワールドワイドな、快進撃が始まった記念碑的作品でもある。>
ゴウンゴウン鳴る洗濯機
黒沢清 97年。監督のブレイク作。見てたつもりで見てなかった。
細かな何気なくも不穏なショットの積み重ねと長回しがテンションを高めていく。いきなり来るショッキングさも上手い。この頃から世界観は完成されてる。サイコサスペンスと思わせて実は系列違う。
センシティブな部分もエンタメとして吸収させる力量、音響、編集共に完成度が高い。最後も実にらしい幕切れ。
役者としての萩原聖人はたとえこれ一作としても邦画史に残るでしょう。
黒沢清監督と役所広司のコンビ。作品のチカラ。
日本のサイコサスペンス系の作品の中では1番好きな作品。
役所広司さんも大好きな主演作品だと語る様に、
この後に何本もの黒沢作品の常連になります。
黒沢清作品を薦める時にこの作品と「回路」を薦める様にしてます。
黒沢監督は、演技の指示をほぼしない、
リハーサルも少なく、早撮り。
この映画の様に気づいたら、黒沢清作品の中に存在する。
出来上がったものは、紛れもなく黒沢清作品。
長回しの中でこそ起こる映画的な瞬間。
廃墟。壁のシミ。
世界水準のサイコスリラーなのは間違いない
これは怖い、そして引き込まれる
世界水準のサイコスリラーなのは間違いない
序盤こそグロいシーンをチラ見せするが、中盤を越えるにしたがって一切見せない
それ故に怖い
終盤に近づくと、もはや現実なのか、妄想なのか、妄想ならそれは誰のものか
全てあやふやになっている
意識下の知らないこと
現実と思っている薄皮の下にある妄想が現実かも知れない怖さ
時系列すら怪しくなってくる
見事な演出だ
そしてそれを破綻させる事なく、最後まで目をそらさせない見事な演技
役所広司が首吊りを発見して声を出さない絶叫のシーン
萩原聖人の不気味な存在感は特筆すべきものだ
エンドロールの何か見えない、いや見えているのに見えない何か
本作のテーマそのものかも知れない
クリーピーを観て面白かったのでこちらも鑑賞。 クリーピーのようなわ...
クリーピーを観て面白かったのでこちらも鑑賞。
クリーピーのようなわかりやすいサイコパスではないので観終わって謎が多いのだが、全てを説明しないところが良い。
集中して数回見ると色々ふせんを張られていそうな。
ラストの何気ないファミレスも良い。
も一回みたい。
黒沢清にしてはマァマァ
細かな台詞とか、設定がおかしくて、前半は辛かった。萩原聖人の気だるそうな繰り返しの台詞も徐々に凄みを帯びてきて、怖くなりますね。役所広司もいいし、やはり俳優の演技に助けられている映画なのでしょう。『回路』なんかよりは断然いい!
しつこいまでの定点カメラと無駄に長いという点で、やはり減点になってしまうなぁ。
20年ぶりに再見して
間宮を捕えた後、警察がこういう行動はとらないだろう、というか無策に過ぎると思った。
普通、催眠をかけて殺人させたことを証明するために策を講じるだろう。
前半はサスペンスだが、後半はリアリティーのないホラーになり、疑問符が浮かんだまま話が進んでしまう。
あの廃校は何なのか、重要参考人の間宮を銃殺するなんてことがあるのか、そもそも間宮を逃がすなんてできるのか、終盤は全部が高部の夢だったのか、レストランでウェイトレスに催眠をかけたのか、奥さんを本当に殺したのかそれとも想像なのか、黒沢氏は最後に矢継ぎ早に謎をぶつけてくる。
が、高部の夢みたいなシーンのために高部のことも理解できなくなり、感情移入もできず、誰の視点での映画だったのだろうと疑問に思い、この作品が言いたい事を考えてみようとまで思わなかった。
それから、権力はオカルトを弾圧するっていうのは陰謀論であり幼稚。そんなに権力は暇じゃないだけだ。
黒沢氏が脚本も担当した、42歳の時の作品。頭の良い人なのだろうが、いま同い年になった私の心は動かなかった。
CURE
驚くばかり!警官は、検出不能な殺人犯を調査します。私たちは、催眠療法が魂を奪うという魅惑的なアイデアを巡って、本物の境界線を越えて、精神分析的でほとんどファンタスティックな宇宙に自分自身を見つけます。ヒーローの方程式は次のようになります:彼が同じように非合理になることに同意するまで、強力な殺人者の道は彼には不可解なままです。それは再発見されなければならない恐ろしい幻想的なスリラーであり、黒沢清はこの種の絶対的な巨匠の一人です。
悪夢に似ているのかもしれない…怖い!
むかむかする嫌な展開なのに、理不尽で不愉快なのに。いつのまにか惹きつけられていました。後ろめたいけどカタルシスも感じてしまう、そういう自分も怖い。怖〜い!
黒沢清監督1997年のサイコサスペンス。サスペンスよりも、サイコな怖さでした。憶えていてはいけない悪夢に似ているのかもしれない、観終わってそんな風にも思いました。
猟奇殺人を追う刑事を役所広司、カギとなる男を萩原聖人。何気なく淡々とした演技に怖さ倍増でした。
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