渇き(1958)
劇場公開日:1958年6月1日
解説
太田経子の同名小説を、「東京の瞳」の舟橋和郎が脚色、「猫は知っていた」の島耕二が監督し、同じく「猫は知っていた」の小原譲治が撮影したよろめきもの。主演は「命を賭ける男」の山本富士子に「愛河」の川崎敬三。ほかに叶順子、見明凡太朗、佐分利信など。色彩は大映カラー(アグファカラー)。
1958年製作/92分/日本
原題または英題:Disillusion
劇場公開日:1958年6月1日
ストーリー
明子はスケート場で俊男という大学生と知り合った。明子は人妻だった。意志を通じあわせようとしない官吏の夫と、平凡な家庭の毎日、そんな彼女の心に、この若く、たくましく、知的な俊男が忍び入ってしまった。その夜、俊男と、ジェット・コースターに興じ、ダンスに酔った明子の心は、夫から離れていた。夫が出張した日、二人はドライブに出た。富士の見える丘で二人はいつまでも抱き合って動かなかった。この情事は夫の部下木下の知るところとなり、木下は明子を脅し、借金の申込みさえした。しかし明子は、もはや俊男と離れることは出来なかった。二人は逢瀬を重ねた。俊男をひそかに愛していた学友の小森一枝は、二人の関係に心を痛め、とうとう明子の夫に告げた。怒り狂って明子をなぐりつける菖二。明子は俊男の子を流産した。たまりかねた明子は離婚を追ったが、世間態を気にする菖二は承知しなかった。一枝の紹介で受けたテレビ局の就職試験に俊男は合格した。それは大阪行が条件である。勿論一枝の指金であったが、俊男としては受け入れるほかはなかった。恋愛は破局に近づいていたのだ。二人は思い出の丘に出掛けた。明子は俊男と死ぬつもりだったが、やはり明子には彼を死に追いやることはできなかった。数日後、明子は東京駅に俊男を送った。今は夫との離婚を決意し、新しく生きようと心にきめていた。別離の悲しみを、笑顔にまぎらわせ、明子はいつまでも立ちつくした。