学校II

劇場公開日:

解説

先生と生徒の心の交流を描いたヒューマンドラマ「学校」の第2弾。今回は北海道の養護学校に舞台を移し、その教室に集う様々な人間たちのふれあいのドラマをつづっていく。監督は「男はつらいよ 寅次郎紅の花」の山田洋次。脚本は山田と「男はつらいよ/寅次郎紅の花」の朝間義隆の共同。撮影をやはり「男はつらいよ 寅次郎紅の花」の長沼六男が担当している。主演は「釣りバカ日誌8」の西田敏行。共演に「男はつらいよ 寅次郎紅の花」の吉岡秀隆、「ユーリ」の永瀬正敏ほか。96年度キネマ旬報ベストテン第8位。

1996年製作/122分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1996年10月19日

ストーリー

青山竜平が教師として働く竜別高等養護学校では大きな事件が起きていた。卒業を間近に控えた高志と佑矢が買い物に出ると言ったきり寮に戻ってこないのだ。竜平は近所の人たちからふたりが旭川へコンサートを聴きに行ったらしいことを聞くと、若い小林先生と一緒に、旭川へ向けて車を走らせた。車中で竜平は高志たちと過ごした3年間を思っていた。3年前の春、竜平の受け持ちのF組は、それぞれに障害を持つ9人の新入生を迎えた。高志の知恵おくれはさほど重いものではなかったが、中学時代に受けたいじめのために心を閉ざした彼は、一言も口を利こうとしなかった。小林の担当となった佑矢は突然奇声を発して暴れたり、小便や大便を垂れ流したりと、片時も目が離せない。二学期のある日、生徒のひとり・資子の書いた作文を読んでいた玲子先生から原稿用紙をひったくろうとした佑矢を、高志が言葉を発して窘めた。佑矢は素直に従い、この日から高志を兄貴と慕うようになったのである。高志も自信をつけ、二年生の春には夢をつづった作文で“青春のメッセージ・コンクール”の準優勝を受賞した。三年生になると、生徒たちは就職の準備のために会社や工場へ現場実習に出るようになる。高志はクリーニング工場で実習を受けることになったが、彼にとって初めて接する社会は決して甘いものではなかった。会社の仲間となじめず、学校へ戻ることになってしまった高志は、「俺、もっとバカだった方が良かったな。自分がバカだって気づかないほどバカだったら良かった」と、竜平に告白するのだった。竜平と小林が到着したコンサート会場には、すでに高志と佑矢の姿はなかった。高志と佑矢はコンサートの後、ホテルで働く先輩・木村を訪ねて、さらに翌日、雪の中をあてどなく歩いていた。ふたりは親切な夫婦と知り合い、彼らの熱気球に乗せてもらう。それを発見した竜平と小林は、無事にふたりを学校へ連れ戻すのだった。卒業式の日、竜平は9人の生徒たちにはなむけの言葉をかけようと教壇に立つが、出てくるのは涙ばかりだった。そんな竜平を生徒たちは逆に励まし、そして、希望に満ちた輝かしい顔で学校から巣立っていった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第20回 日本アカデミー賞(1997年)

ノミネート

作品賞  
監督賞 山田洋次
脚本賞 山田洋次 朝間義隆
主演男優賞 西田敏行
主演女優賞 いしだあゆみ
助演男優賞 神戸浩
助演男優賞 永瀬正敏
助演男優賞 吉岡秀隆
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映画レビュー

4.5全寮制の養護高等学校のドラマ

2023年12月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

楽しい

知的

障害を持つ子らに大らかに生きよと
寄りそう教師たちがいる

先生によって生徒が変わる
生徒によって先生が変わる

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ほんのり

3.5包み込む優しさ

2023年3月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

楽しい

幸せ

序盤と終盤、物語の端と端に高志と佑矢の大冒険、真ん中に核となるそれまでの話を厳しさよりも優しく丁寧な演出描写が印象的に思える山田洋次監督。

徹しきれない振り回されてばかりの永瀬正敏が一般的な人物像を演じている役柄にも、普通の感覚を割り当てる傾向で山田洋次が演出する永瀬が良くも悪くも人間らしくて大好きだ。

ディカプリオの『ギルバート・グレイプ』より早い吉岡秀隆の演技かと思いきやそれは大袈裟か、仕事を覚えるのが遅い、職場の環境に慣れない、対人関係での悩み、社会に出る事で起こり得る不安や葛藤など、リュー先生もコバちゃんや玲子先生も皆んなが日々を悩んでいる、少しずつ余裕が持て思いやりが中心になれたのなら隔てる必要のない世の中へと、厳しいばかりじゃ、甘い考えがより良き社会に繋がるかもしれない、甘いか!?

西田敏行の安定したキャラに微笑ましくも癒され、いしだあゆみの華奢ながら強い女性像が逞しくて、そんな二人のちょっとした場面に涙が出そうになりながら。

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万年 東一

3.5取り入れる才分

2022年2月3日
Androidアプリから投稿

山田洋次監督は、流行の取り入れ方が実に巧い。

本作で言えば、安室奈美恵。
迂闊に似たような事をすると、そこだけ浮いた感じになってしまうのだが、あくまで自然だ。

他の作品でも、それが製作された時代の空気感とか、過去から変化した価値観をさり気なく取り入れている。

だから、時代を経て監督の作品を観た時、その当時を生きた人なら気恥ずかしさを持たずに思い出すことができる。

地味ながら、尊い才分である。

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K・M

3.5冒頭から浜崎あゆみが可愛い…! 障害を抱える人たちの環境はきっとこ...

2021年11月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ネタバレ! クリックして本文を読む
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さな
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