風立ちぬ(1976)

劇場公開日:

解説

山口百恵主演文芸シリーズ第5作目。若くして死んだ薄幸の少女と彼女を最後まで見守る青年との愛を描いた堀辰雄の同名小説の再映画化。脚本は「蔵王絶唱」の宮内婦貴子、監督は潤色も担当している「娘たちは風にむかって」の若杉光夫、撮影は「奴隷妻」の前田米造がそれぞれ担当。

1976年製作/94分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1976年7月31日

ストーリー

昭和17年、初夏。軽井沢にある水沢欣吾の別荘には、療養中の一人娘・節子の友人たちが集まり、いつもはひっそりとしている別荘も、花が咲いたように明るかった。結城達郎も友人の一人で、ひそかに節子に好意を寄せているのだが、その日、節子のお見合いの話が話題となり、達郎の心は重かった。しかし、その話に気乗りのしない節子の様子を見た達郎は、ますます節子に惹かれるのだった。その夏の終り、節子の見合いは友人たちの計略で見事に破談となった。秋も深まった頃、達郎の友人・大浦が外地に向うことを達郎に告げた。戦局は悪化していく一方だった。節子に再び縁談がもちあがった。達郎は決心し、節子と会って結婚を誓った。達郎は兄・真次郎に結婚のことを打ち明けたが、兄は今の情勢を説き、達郎の友人・大浦の戦死を告げた。達郎は動揺し、節子との結婚を諦めた。再び新緑の季節が来た。節子は結核で犯された体を軽井沢で一人寂しく療養していた。その頃、上野で達郎は欣吾と会って初めて、節子の病気が重い事を知った。その足で軽井沢に向った達郎だが、病気が感染するのを恐れる節子は会おうとしなかった。実家に戻った達郎は、節子との結婚の話をするが、病弱の娘とは絶対に駄目だ、と一喝され、家を飛び出した。やがて、強引に節子に面会した達郎は、節子を説き伏せて、二人で富士見の療養所へ向かった。そして、二人は単調な時間の流れに本当の幸せをつかんだように思える毎日をすごした。やがて、達郎の徴兵猶予が取り消され、二人の別れが迫って来た。さらに、少しずつ快方に向かっていた節子の容態も再び悪化してきた。その頃、達郎の兄・真次郎が戦地に向かうことになり、父に達郎と節子の結婚を哀願するのだった。達郎と節子は、残された短い時間の中で二人の愛の証しを確かめあった。高原に雪が降りだしたころ、節子は喀血をくり返し、息を引き取った……。

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映画レビュー

3.0堀辰雄原作、山口百恵主演作

2023年4月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

学生時代に“山口百恵おっかけ”していた頃(1976年)に公開映画館で観た「山口百恵主演作」、47年ぶりに鑑賞。

堀辰雄原作の病弱少女と彼女と惚れ合う青年を戦時中恋愛ものとして描いた東宝作品。
病弱少女を演じる山口百恵は、本当に学生服が似合う若さ!
青年は三浦友和、こちらも若い。

太平洋戦争が始まって半年後の昭和17年、軽井沢の裕福な家の主人(芦田伸介)の一人娘=お嬢様(山口百恵)は学生青年(三浦友和)に好意を持っていた。学生も。
自転車二人乗りをしていると「戦時中なのに!」と怒る森次晃嗣……ウルトラセブン(笑)
しかし、お嬢様は結核。なんか時代を感じる病気だ…。
療養所に移るが、青年は見守ろうとするものの学徒動員で学生まで召集される戦争。
2人は惚れ合うが……という物語。

途中、青年が「風立ちぬ、いざ生きめやも。」と言うと、お嬢様が「どういう意味ですか?」⇒青年「風がわたっていく。さぁ、元気で生きていこうよ。…ですね」というタイトルの説明。

この映画、今観ると、病弱で薄幸なはずの山口百恵が元気すぎる感あり…(笑)
また、戦争終わって戦地から戻った青年がお嬢様を思い出すシーンは「山口百恵が走る姿のスローモーション」で、百恵のMVみたいだ(笑)
また、そのシーンは、木下恵介監督の『野菊の如き君なりき』をカラー映画で撮ったような風景になっている。

歌手としての山口百恵は主にNHKホールで見て、映画は公開されると映画館へ行ったのが懐かしい。
NHKホールでは1人の大学生から「誰を見に来たの?」と聞かれて「山口百恵」と答えたら、「じゃあ、曲が終わる時に、僕が『せ~の』と言うから、一緒に『ももえちゃ~ん!』と応援してくれない?」と頼まれた。そして、大学生と一緒に『ももえちゃ~ん!』と叫んだら、後日放映された時にテレビから自分の声『ももえちゃ~ん!』が流れて来た(笑)
1970年代にはビデオデッキも無かったので録画できなかったのが残念ではあるものの、懐かしき思い出……。

この映画、無難な文芸作だが、活動期間短かった山口百恵を見られる映画という位置付け。
でも山口百恵を知っている人も段々と少なくなるのかなぁ……(^^;

<映倫No.18784>

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たいちぃ

2.5恋愛一直線

2021年5月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

堀辰雄の恋愛小説で、結核の少女(山口百恵)と学徒動員が迫る大学生(三浦友和)との悲恋話。
時代に翻弄された若者たちの痛々しい姿が眩しい。

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いやよセブン

3.5戦争に不治の病

2021年1月10日
iPhoneアプリから投稿

典型的であるが非の打ち所がないストーリー構成。設定や価値観が古いなどとは言えぬ。戦後30年ぐらいの作品なので、当時は親世代の経験をなぞるような感覚であっただろう。演技もすばらしい。

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Kj

3.5戦時中の儚い恋

2020年10月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

昭和17年、山口百恵扮する水沢節子は、三浦友和扮する結城達郎と芦田伸介扮する節子の父、外交官水沢家の軽井沢の別荘にいた。松平健扮する兵隊になる大浦もいた。まだ女学生の節子に見合いの話が来ていた。結城は、東京の大学に行く事になったので挨拶に来た。結城は、節子の父に挨拶に行くと節子に言った。しかし、結城の兄は戦場へ向かう男が結婚すべきではないと反対した。折しも大浦が戦死し、結城は節子の父に報告した。結城は、死ぬ事が分かっていて結婚の話は出来ないと言った。節子の父は、何とか生きのびる事を考えようと言った。節子は、結城が生きている限り近くにいてあげたいと言った。さらに節子は結核で冬が越せるかどうかだった。果たしてふたりの運命や如何に? たまたまNHKで1980年10月5日の山口百恵伝説のコンサートを見た後で観た。覚悟を決めた女性と言う意味では節子も百恵もダブるね。芦田伸介の渋い演技や松平健の登場など他の見どころもあったね。

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重
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