大人には分らない・青春白書
劇場公開日:1958年11月11日
解説
政治家の父と、学生バンドのドラマーの息子を対比させ、新旧モラルの対立と、若者たちの生活を描こうという、二十七歳の新人監督須川栄三の第一回作品。脚本は須川栄三自身と森谷司郎のオリジナル。撮影は「美女と液体人間」の小泉一。「密告者は誰か」の夏木陽介、「大学の人気者」の団令子をはじめ、白川由美・佐原健二・柳永二郎・草笛光子などが出演。
1958年製作/85分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1958年11月11日
ストーリー
北条忠は、仲間の学生たちとジャズバンドを結成していた。父の竜太郎は、次期内閣の文相候補として時代のスポットを浴びる代議士である。母のみきも、進歩的評論家として名を知られた文化人だ。しかし、二人は忠にとって決して有難い両親ではなかった。彼等は社会的地位や体面にこだわり、何かと生活に干渉するからだ。忠は同じ大学の学生でバンド歌手の葉子と恋仲で、猛スピードで突っ走るオートバイの上で、葉子に求婚した。その日、彼等は葉子の友達の真理子に会った。彼女は妾の子で、自分を生んだ母に反抗し、アルバイトをしながら自活していた。忠は、彼女にもっと働きよい場所を探そうとバンドプロモーターの所へ連れていった。だが、彼は真理子の父が自分の父と同一人であることを知って愕然とした。両親に対する不満は爆発した。大臣決定の報に夢中な両親に「葉子と自殺します」という置手紙を残して、湘南へ向った。奔放に行動する若者たち、その彼等を海岸荒しの愚連隊と誤解した警察は、忠たち全員を逮捕した。両親はあわてふためいた。竜太郎は辞表を提出、湘南へ向った。警察へ着いた時、忠らは釈放されていた。本物の愚連隊が逮捕されたからだ。竜太郎は、若者たちをののしった。その前に、真理子が進み出た。忠が言った。「この人はあなたの子供だ。ふしだらなのはお父さんあなただ」と。--数日後、リサイタルをめざしての稽古で、忠たちの練習場は活気を呈していた。