千代田城炎上
劇場公開日:1959年6月13日
解説
長崎謙二郎の原作を「愛情不動」の依田義賢が脚色したもので、男子禁制の大奥内を舞台にした悲恋物語。「紅あざみ」の安田公義が監督し、「若き日の信長」の相坂操一が撮影した。
1959年製作/103分/日本
劇場公開日:1959年6月13日
ストーリー
千鶴は千代田城大奥へ奉公に上った。恋人の弥之助や病身の父を残して。お半下という最下級の女中だ。部屋頭のおくらの仕打ちに泣かされた。奉公は一生奉公だ。彼女が邪魔な継母おとせの奸計である。千鶴は絶望したが、死ねなかった。不敵に生きよう。おくらをかまどの火で火傷させて復讐した。表ざたにならなかった。年寄稲月と、年寄筆頭藤波の張り合いの結果だ。七種の夜、彼女は男装で踊り、満座を魅了した。稲月は彼女を自分の部屋方にし、勢力拡張を企てた。千鶴は彼女と特殊な関係も持った。将来の出世が条件だったから。藤波が千鶴を火の番に昇進させ、稲月から奪った。千鶴は奥庭に忍びこんだ老女を捕えた。この手柄で表使いになった。新任のお勝手係、安藤伊予守と役目の上で会う。老女が持っていた密書を彼に渡した。藤波一党が世嗣豊千代を亡き者にしようとする手紙。彼はこれを老中会議にはかった。藤波以下の奥女中が追放された。稲月が年寄筆頭になった。中年寄になった千鶴は、おくらを、お半下から自分の部屋方にした。彼女は感泣した。秋、中奥で狂言が催され、一座に恋人だった弥之助がいた。彼は卑屈だった。幻滅を感じた。同じ席で、伊予守から大奥の緊縮について協力を求められた。この粛清問題で、彼女は稲月と衝突した。継母と義妹が彼女を訪ねてきた。病気の父が横死したという。二人は稲月の口添えで実家の財政援助を乞うた。彼女は拒絶し、稲月は一層怒った。生命の危機にしばしば見舞われるようになる。将軍が役女に寝所の伽を命じた。稲月が和解を申しこんできた。将軍の手がつけば最高の栄誉になる。が、千鶴は抵抗し、将軍の不興を買った。稲月は彼女に死罪を宣告した。お半下たちが助命を嘆願し、騒ぎが大きくなった。御台所が彼女に同情し、助命を申し渡した。伊予守の尽力がかげにある。間もなく、伊予守と千鶴の働きで、悪政のもとの老中や稲月の処分が発表された。彼女は彼の下屋敷を訪ねた。祐筆の綾路が彼を慕っていることを彼女は彼に告げた。伊予守は千鶴を妻にしたいといった。二人は恋をうちあけあった。大奥から出火した。稲月が千鶴の部屋に放火したのだ。千鶴は急ぎ帰城し、火中に稲月の姿を求めた。綾路を救った。伊予守も千鶴を追った。稲月は抵抗し、挙句、自殺した。千鶴は無事だったが、伊予守は焼け落ちる梁に打たれた。彼女の名を呼びながら死んだ。千鶴は綾路の手を伊予守に握らせた。--炎上後の復興に力をつくしたかどで千鶴は年寄にされた。大奥の最高権力者。が、その後姿は淋しげだった。
スタッフ・キャスト
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安藤伊予守勝新太郎
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千鶴新珠三千代
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綾路三田登喜子
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おふみ美川純子
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霧島加茂良子
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橘毛利郁子
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待宵穂高のり子
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御台所阿井美千子
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杵屋弥之助品川隆二
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藤波角梨枝子
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稲月村田知栄子
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将軍家治三島雅夫
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初霜小町瑠美子
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楓緑美千代
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朝顔浜世津子
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お篠橘公子
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狭山近江輝子
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おとせ平井岐代子
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おくら千石規子
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おふく町田博子
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花里綾英美子
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老女太田小林加奈枝
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福瀬金剛麗子
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雪野高原朝子
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相生松岡信江
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梅岡国枝勢津子
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おまつ小柳圭子
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おたま種井信子
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信尾三藤愛子
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松島里中位子
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おしん谷口和子
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玉垣戸村昌子
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浅茅本間暎子
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宇平南部彰三
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久世半左衛門原聖四郎
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老中筆頭五代千太郎
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御用達商人信濃屋天野一郎
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御用達商人駿河屋玉置一恵
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豊千代太田博之