喜劇 駅前弁当
劇場公開日:1961年12月24日
解説
「大学の纒持ち」の長瀬喜伴のオリジナル・シナリオを「南の島に雪が降る(1961)」の久松静児が監督した駅前シリーズの第三作。撮影もコンビの黒田徳三。
1961年製作/88分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1961年12月24日
ストーリー
浜松市の駅前に「互笑亭」という老舗を誇る駅弁屋がある。未亡人の景子が主で、弟の次郎と二人で店をやっている。ところが次郎は商売を姉に任せっきり。近所の九坊や、ハーモニカ娘の千代、女工トモコなどを集めて、コーラスのリーダー格。と思えば競輪に夢中になったりバー「クララ」の女給あけみに入れあげたりしている。景子の亭主が死んで三回忌の法事の日。故人とは幼友達で、「互笑亭」の相談役として彼女を張っている、織物会社の社長柳田金太郎と、ストリップ劇場を経営、タクシー会社など手広く事業をやっている堀本孫作が、景子より相談をうけた。大阪の大資本家倉持大作という男が、景子の店の拡張に金を出資しても良いと言ってきているので会ってほしいと言うのである。さて、大資本家大作の接待の日がやっで来た。二人がひいきにしている土地の芸者染太郎に、孫作の小屋からはストリッパーのペリー春などを宴席にはべらして大サービス。大作はすっかり上機嫌で融資の話はOKとなった。一方、次郎の方は、あけみにはヒモがあると判ってガッカリ。そんな次郎を慰めているのはお千代ちゃんである。今更のようにお千代の純情に次郎も目がさめたようであった。芸者の染太郎は大作の金持振りにすっかり惚れこんでしまい、二人で温泉にでかける始末。くさった金太郎はペリー春を連れ出して、海岸でヌード撮影。ところが警官にみつかって留置場に入れられる事件があって孫作と次郎は、貰い下げに大慌てである。そこへ温泉宿の大作から景子に呼び出しが来た。銀行関係の人と打合せがあるというのである。だが、これは真赤な嘘で景子を口説き落そうとする大作の罠であった。そこで廊下に飛び出した景子は、昔の恋人で今は銀行員の村井五郎とバッタリ。その五郎から大作が詐欺師であることがわかって大変な騒ぎとなった。そんな騒ぎの最中に台風が本土に上陸してきた。国鉄から「互笑亭」に列車から退避した乗客全部の炊き出しを頼んで来た。騒ぎはおあずけで、皆が炊き出しに夢中になって働いた。それから数日後。景子は店を次郎に譲って村井と東京へ去っていく事になった。駅には皆が送りに来た。景子は皆に祝福されながら第二の人生出発に旅発っていった。