ある大阪の女
劇場公開日:1962年2月24日
解説
「続 悪名」の依田義賢と「「挑戦」より 愛と炎と」の須川栄三が共同で脚本を書き、須川が監督した社会ドラマ。撮影は「駅前団地」の遠藤精一。溝口健二監督作「浪華悲歌」(1936)のリメイク的作品。パースペクタ立体音響。
1962年製作/89分/日本
原題または英題:23 Steps to Bed
配給:東宝
劇場公開日:1962年2月24日
ストーリー
大阪本町の問屋街。アヤ子は浅井産業事務所で机をならべる西村進と婚約の仲だが、気の弱いうえ、病苦の母を抱えて借金に悩む進は、新家庭を持つこともできず、安ホテルで愛情をたしかめ合うのが精一杯であった。貧民街のアヤ子の家では、ヤクザの弟建二が勤め先の品物に手をつけたばかりに、穴埋めのため父の準造が勤務先の二十万円を費消、矢のような催促をうけている。準造は朝からヤケ酒を呑み、アヤ子や幸子と口論の絶え間がない。こんな時、アヤ子の頭に浮かんだのは、浅井社長が妻すみの眼をかすめてアヤ子に預けていたヘソクリだ。浅井に無断で二十万円を借金の支払いに回わしてしまったアヤ子は、浅井にすべてを打ち明けた。「気にしいな」と、浅井はみずみずしいアヤ子の体を抱きしめた。アヤ子は郊外の豪華アパートに移り、浅井は足しげく通い続けた。一方、すっかりぐれてしまった建二は、せっかく勤めた町工場も長続きしないばかりか、悲嘆にくれる恋人清江の気持も解さず、彼女の父が経営するタイヤ修理工場から部品を持ち出しては小遣を稼いでいた。浅井の世話になりながらも進を忘れきれないアヤ子はある日、進から五万円の借金を申し込まれた。彼女は浅井を欺して金を出させようとした矢先き、浅井はとつぜん腹痛でベッドに倒れた。そのため、浅井の妻にいっさいがバレて彼は本宅へ連れ戻された。アキ子は友達の夏子がいるバーの女給になったが、以前から食指を動かしていた株屋の藤野に、自分の体を八万円で売り渡した。数日後、アヤ子は進に五万円とアパートの鍵を渡した。藤野と進がアヤ子のアパートで鉢合わせしたとき、アヤ子はビールびんで藤野の頭を割り、警察にひかれた。浅井、藤野、西村、進の証言は彼女に不利であった。アヤ子は傷害事件として書類送検され、身柄を準造に預けられた。「今度やるときは、もっとうまいことやったるわ」と呟いて、彼女は姿を消した。