あなたと私の合言葉 さようなら、今日は
劇場公開日:1959年1月3日
解説
平凡連載の久里子亭の原作を、原作者自身と「ごめん遊ばせ花婿先生」の舟橋和郎が脚色、「炎上」の市川崑が監督した風刺喜劇。撮影は「軍国酒場」の小林節雄。音楽は塚原晢夫。京マチ子・野添ひとみ・若尾文子・川口浩・菅原謙二・佐分利信らのオールスター・キャスト。
1959年製作/86分/日本
劇場公開日:1959年1月3日
ストーリー
ビジネスガール青田和子は若くて美しくて聰明なのだ。渡辺半次郎という許婚者がいた。彼が大阪へ転勤して行ってから四年たつ。互いに愛しあっているが、なかなか結婚できない。和子には元欧州航路の船長で今は失職中の父伍介と、高校を出てスチューアデスになった妹の通子がいるからだ。伍介にとって和子は亡妻がわりだし、通子も家事はからきしだめだ。一家は和子なしにはなりたたないのだ。--親友の市毛梅子が大阪から上京してきた。大阪でシニセの料理屋を血のつながらぬ義兄の虎雄とやっている。東京進出を目論見ている商売上手の女だ。彼女なりに結婚は女性の自由と独立をはばむと考えている。和子は梅子に半次郎に会って結婚を断ってくれと頼んだ。梅子は半次郎に会う。そのとたん、彼女の固い結婚観は崩れてしまった。彼が好きになったのだ。話を聞いて和子は呆然とした。彼女も好きは好きなのだ。驚いたのはもう一人いた。虎雄である。以前から彼は梅子と結婚して、店のノレンを守ろうと思っていたのだ。和子は会社の出張で大阪へ行き、半次郎に会った。事情を説明する。半次郎は彼女との結婚をあきらめていない。和子は思わず彼の胸に飛びこんだのだが。--通子は近所のクリーニング店の配達係で夜間大学に通う片岡哲が好きだった。しかし典型的な現代青年の彼は和子に好意を抱いていた。彼は大阪での大会社の入社試験に夜間大学のせいで落ち、小さなサンダル会社に就職した。それでも張りきっている。通子は姉を通じて彼に求婚した。半次郎は梅子の強引なモーションで彼女と結婚することになる。和子とのことは、和子の一家の事情を汲んであきらめてしまったのだ。せっかく東京へ転勤できたのに。和子はアメリカへ会社の技術とデザインの勉強へ行くつもりになった。通子と哲が結婚し、父の世話をするだろう。心配はない。この上はわが心を何かに打ちこむほかはないのだ。--出港の日、和子の心も落着いた。見送りに来た半次郎と梅子もけっこう仲が良かった。和子の視界から、父や妹や昔の恋人の顔が遠ざかっていった。さようなら、今日は。