愛の陽炎

劇場公開日:

解説

男に騙された娘が〈呪い釘〉で怨みをはらそうとするサスペンス。脚本は「幻の湖」の橋本忍、監督は「彩り河」の三村晴彦、撮影は「時代屋の女房2」の羽方義昌がそれぞれ担当。

1986年製作/107分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1986年3月1日

ストーリー

埼玉県飯能市。赤いヘルメットにジーパン、オートバイを乗りまわすルミ子は、田中製材所で働く20歳の現代っ子。彼女には、田中製材に出入りする野村運送の運転手・岩松という恋人がいる。二人は結婚を約束していて、たまにはモーテルでその仲を確かめあう関係だ。ルミ子には夢があった。日高の高麗の里の見晴らしの素晴らしい高台に家を建て、岩松と一緒に住みたいという夢である。その実現のために二人はコツコツと貯金していた。だが、岩松の評判はあまり良くない。ルミ子のおばあちゃんは、彼に一度会ったことがあるが、あまりいい印象は持たなかったし、お寺の往職にも、女グセが悪いし金に対する執着が強いと言われてしまう。そんな悪評に悩みながらもルミ子は、岩松に土地代の手付金として200万円を渡す。だが、事務所で、その士地の持ち主である後家の西谷克子は、土地を売るわけがないという話を聞きショックを受けるルミ子。そして追い討ちをかけるように、岩松には弘江という女房がいることが分かった。面と向かって岩松を問いつめたが、彼はのらりくらりと要領を得ない。「あん畜生! ぶっ殺してやりたい」と泣くルミ子に、おばあちゃんが、この地に代々伝わっている“呪い釘”を教えてくれた。人気のない丑の刻(午前二時)、白装束にローソクを頭に立てて神社の神木に、わら人形を呪う相手に見たてて五寸釘を打ち込む--。それを10日間続けなければならないのだ。「死ね!」ルミ子の怒りが五寸釘に打ち込まれる。その時、不思議なことに弘江とベッドを共にしていた岩松が、原因不明の痛みでもがき苦しんでいた。岩松は翌日、入院したものの、すぐに退院。〈呪い釘〉の効果はなかったかに思えた。しかし、ある夜、いつものようにルミ子が、呪いの衣装を着て歩いていると、偶然、岩松のトラックが通りがかり、驚いた彼は運転を誤まって事故死してしまった--。岩松の死後、ルミ子は西谷克子から意外なことを聞いた。克子は岩松に土地を売る約束をしており、彼は弘江と別れてルミ子と結婚しようと思っていたのだった。岩松は私を愛してくれていたのだ、愕然とするルミ子。数日後、哀しい想い出だけが残る土地を後に、東京へ向かうルミ子の姿があった。

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