あゝひめゆりの塔
劇場公開日:1968年9月21日
解説
太平洋戦争末期の沖縄戦に看護要員として動員された「ひめゆり学徒隊」の悲劇を描いた戦争ドラマ。舛田利雄監督が吉永小百合と浜田光夫の日活黄金コンビを迎え、石野径一郎の同名小説を映画化した。昭和18年。まだ戦争の影の薄い沖縄で級友たちと運動会を楽しんでいた沖縄師範女子部の与那嶺和子は、師範男子の西里順一郎と出会う。翌19年になると戦局は悪化。ついに沖縄も戦場になろうとする中、陣地構築の作業に従事するようになった和子と順一郎は、互いに愛情を抱き始める。やがてサイパン島が陥落。小学校教員である和子の母ハツは、内地への疎開が決まった学童たちに同行するため輸送船に乗るが、船を撃沈され帰らぬ人となってしまう。10月、ついに空襲が始まる。全島に非常戦時体制が敷かれ、女子学生は臨時看護師として南風原陸軍病院へ、男子学生は鉄血勤皇隊として陸軍と行動を共にすることになる。
1968年製作/127分/日本
配給:日活
スタッフ・キャスト
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2022年7月30日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
師範学校とは戦前の教員養成機関で寮生活。米軍が本土・沖縄へ攻め入る戦況下で、その男子部が鉄血勤皇隊、女子部がひめゆり学徒隊として動員される。
お恥ずかしながら、ひめゆり学徒というのは、竹槍やカマなどを持たされて戦闘要員となった女子学生だと思っていました。戦地へ駆り出されたことには変わりないけれど、彼女達が担った役割を本作で知ることができました。全滅してしまったら、一体誰が語り継いだ話なのか?と疑問でしたが、わずかに生存者がおられるとのこと。
戦場で行われた、卒業証書のない卒業式。
教鞭を執る代わりに、容赦なく降り注ぐ銃弾と爆弾の雨の中、負傷兵を看護し、切断された四肢を捨てる。
男子部からも女子部からも絶大な人気を誇る校長先生(^^)。育てた教え子達が、更に若い子供達を未来へ導く。1人でも多く教壇に立ってもらいたい、その為には1人でも多く生き延びて欲しいと願っておられたことでしょう。
顛末が分かっているので、最初から少し泣けてきます。作中ずっと、乙女達は乙女らしく、歌って鼓舞してはしゃいで→悲劇に見舞われる、ことを繰り返します。本来の彼女達のあるべき姿とそれを阻む残酷な運命との対比なのかも知れませんが、騒ぐ度に、ほれ言わんこっちゃない、油断禁物よ、という気持ちにもなりました。
米兵は全く登場せず。見えない敵の不気味さというのもあまり感じませんでした。
吉永小百合さんが表情豊かで驚きました。大袈裟くらいの表現が意外と自然に見えて、この頃の作品に合うようでした。
あと泊先生が綺麗でした。沢山の合唱も美しかったです。
「日本軍には、逃げろという命令はない」
「沖縄戦で散った 殉国学徒の数は
師範中学女学校 あわせて一五〇三名
教え子を引率して 倒れた教師九二名
このように若い学徒の 犠牲者をだした戦争は
世界史上どこにも その例をみないという」
2022年6月23日
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鑑賞方法:VOD
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明治百年記念芸術祭参加作品。
Amazon Prime Videoで鑑賞。
原作は未読です。
ふるさとが蹂躙されていく…
日常が奪われ、無惨に砕かれていく…
家族や、友人が、恩師が、目の前で斃れていく…
沖縄戦において従軍看護婦として駆り出され、若き命を散らしたひめゆり学徒隊の悲劇を決して忘れてはならない…
美しき乙女たちの純真さが過酷な戦場において蝕まれていく様は、時に目を背けたくなるような残酷さがありました。
全てを根こそぎ破壊してしまう戦争の悲惨さが、凄絶な描写で描かれており、戦争への怒りがこみ上げて来ました。
※2022/06/23、沖縄戦没者追悼式の日に本作を観て。
2022年4月3日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
台詞の中に出てくる『最後まで頑張る』ってどう言うことなのだろう。『ここから脱出を頑張る』って、何処へ脱出するのだろう。『生きろ!』って言っておきながら。『なんかおかしい』と気づかなかったのか?師範学校の教養ある人達がこの程度だから、庶民はどうだったんだろう。正解は一つだけ、白旗立てて、米軍に投降。『ありえない、現実的でない』とのたまわるだろうが『白旗少女』の事実を忘れてはいけない。
『日本はもうダメだ』って言って殴られる。なんでなのだろう。68年上映の映画の中で、そんな事言って殴られると言う演出がある。なんかおかしいと思う。事実戦争は負けているし。事実を語って、何故殴られるのだろう。
兎も角、歴史なのだから、結果は必然。事実なのだから、救いは無いが、なんの反省もなく、68年の俳優たちが肯定的に演じているのが気になる。主演のアイドルが、一方で原爆の悲惨さを朗読したり、反戦を訴えても、全く信用できない。もう少し、責任持って演じて貰いたいアイドルと言えど。
アメリカ軍に殺されたのでは無く、帝国陸軍の巻き添えを、沖縄県民はくらったと僕は見たが。
2022年2月10日
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鑑賞方法:VOD
内容は太平洋戦争末期の沖縄戦による女学生『ひめゆり学徒隊』についての原作者石野径一郎による小説をもとにした作品。実際は想像も出来ない過酷な世界だったろうと考える一方。人間は全て忘れる生き物だという事。集団心理の恐ろしさと人間の本性を感じさせた。歴史の中に埋もれてしまうであろう痛みや恐怖を少しでもわかった気になる作品。ラスト分かっていたが救いの無い終わり方は重かった。自決用の青酸カリが牛乳と呼ばれている事。国家の責任と無責任な対応に振り回される人々が痛かった。カラー映画がとれる時代に白黒で撮ったので流血シーンが見易くなった気がする。