原作の雰囲気を少し醸し出している点だけは、好感でした。
実は俺は原作である「キャプテン」(ちばあきお) が大好きです。青葉学院との試合もそうだが、第一巻63ページまでで描かれる、主人公谷口がキャプテンになるまでは、極めて秀逸。子供だましという人も多いだろうが、中学生になったばかりの俺の心にはど真ん中から深く深く刺さっちまった。ここまでは、当初読み切りとして書かれた作品で、これを見た雑誌社に「月刊誌の連載でやってみて」と言わせたと聞いている。
周囲の勘違いから勝手に期待され、実は下手クソだとわかってガッカリされる中、父ちゃんと夜の神社境内で練習して練習して練習しまくって、上手になっていき、その努力で前キャプテンから「お前が、次のキャプテンだ」と言われるまでになる姿。
最終コマの「父ちゃん、オレまた、頑張らなくっちゃ」というセリフと表情、最高だよ!努力の大切さを、恥ずかしながら俺は、マンガで学んだよ。(映画では残念ながらそのセリフはなし)
ここまでの話が、最初に読み切りとして掲載されたマンガ。大好評だったので、連載になったとのこと。少年ジャンプの方針が、いい方向に出たエピソード。
そして、地区予選。江田川の1年生投手に苦しんだ経験もあって、慣例を破って1年生を登用する際の苦悩。外されたレギュラーが希望をなくし退部届を手にするが、谷口のある姿を見て、思い直すシーン。一つ一つが子供っぽいんだけれど、グサグサ心に刺さります。姿勢で示すって、こういうことなのか、とこのマンガに教えてもらった。
映画では、超強豪校青葉学院との対決も、原作の三回戦ではなく、地区大会決勝戦となっており、おとぎ話度合いをいっそう高めちゃっているのだけれど、まあ、実写化したらこんな感じなのかなあ、という感じ? (もともと期待が小さくてごめん)
丸井に代わってイガラシを使う苦悩もに代表されるように、原作のいいところをほとんど引き出せていない、非常に拙い(つたない) 映画。とはいえ、原作自体の価値が、"拙さの中に横たわる感動" といったものだったと自分は思っているので、この映画もそれなりには楽しめた。明るさを前面に出している点だけは評価できるしね。
この映画を観て、こういう話なのかな、とわかっちゃった気になってほしくはないです。みんな、原作、読んでね。原作は、ホントに最高だよ!!!
スコアの1.5は、原作対比のためです。映画だけでみれば2.5かなあ。