『プルートで朝食を』でもシルバー・コンベンションの懐かしの名曲「フライ・ロビン・フライ」が聴けたのですが、本作のエンディングでもジョークのつもりなのか、この曲を聴くことができた。日本の『フライ、ダディ、フライ』の韓国リメイクになる作品で、原題も『FLY, DADDY, FLY』。俳優では岡田准一の演じた役を最近人気のイ・ジュンギが演じていて、堤真一のパートを普通のおっさんだが愛嬌のあるイ・ムンシクが演じている。オリジナル作品の出来栄えには到底及ばないものの、このムンシクの15キロの減量と特訓後の筋肉のつき具合には驚かされました。わずか40日間の特訓でここまでできるのか?と、中年男性の限界に挑んだ肉体作りは並大抵の努力ではないはず。走ったり、フリークライミング特訓だけでもできないはず。恐れ入りました。
オリジナルでも『燃えよドラゴン』へのオマージュが見られたのですが、このリメイク版ではさらに進化していました。まず中年のおっさんガピル(ムンシク)が着てきたトレーニングウェアは『キル・ビル』でもお馴染みとなった、ブルース・リーが『死亡遊戯』で着用していた黄色地に黒のラインの入ったもの。鼻を指ではじく仕草や、『燃えよドラゴン』で地下に降りてゆく格好を真似たトレーニング法、階段を登るのもひょっとするとそうなのかもしれません。日本版にもあった、ブルース・リーがサモハンに「相手から目をそらすな」というシーンは、こちらのほうが似ていました。また、一瞬、『ロッキー』のフィラデルフィア美術館のガッツポーズへのオマージュも感じられたのですが、クライマックスの決闘がボクシングだったので、案外そうなのかもしれません。
クライマックスの試合では、ちょっとやり過ぎだろうと思わせるほどの過剰な演出。凝ってはいたけど感動には至らず、むしろバスとの競争シーンに最も泣けるかもしれません。また、日本における在日の存在だとか、政治家の名前なんてのも使ってないし、シリアスさよりも軽いタッチの韓国青春映画といった仕上がりとなっていました。なぜか原作本を買ったのに、未だに冒頭の病院のシーンから抜け出せません・・・