手紙のレビュー・感想・評価
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【”馬鹿な兄貴ですから、けれど血が繋がっていますから・・。”重犯罪者を兄に持った男の哀しみと再生して行く姿を描いた作品。山田孝之の抑制した演技と沢尻エリカの一途な想いを持った女性の姿が素晴しき作品。】
■未鑑賞の方は、内容に触れていますので鑑賞後に読んで頂ければ幸甚です。
ー 恥ずかしながら、今作品の存在すら知らなかった。(原作を読んでいた事も関係しているかもしれない。)
が、観賞すると、山田孝之(直貴)の自身のせいではないのに、職を追われる哀しみ姿を抑制した演技で魅せる姿と、彼を長い間支えている沢尻エリカさん(由美子)の善性溢れる姿に涙が溢れた。
そして、自身を貧しい中、大学に通わせようと衝動的に殺人を犯してしまった兄(玉山鉄二)との手紙での交流が始まる・・。-
■勝手な意見であるが、今作が2022年度に公開されたとしたら、私は文句なく”5”を付け、多分劇場で流す涙は、客電が上がってから涙を拭いて、”俺、泣いてなんかいないよーん”というツマラナイ世間体を気にした態度を取っていたと思った作品である。
◆感想<というか、沁みたシーン、満載である。>
・これは、他作品でもテーマにされているが、重犯罪(今作の場合、無期懲役。理由はあるにしろ、赦されざる犯罪である。兄は終身刑。)者の家族への差別である。
今作は、この重いテーマをキチンと正面から描いている。
ー 真面目に働いていても、身内に重犯罪者がいると、分かった時点で職を追われる、もしくは理由なき左遷をされる。
ケーズデンキの会長(杉浦直樹)が、左遷を言い渡された直貴に、(由美子からの手紙を受け取っている・・。)会いに来て言葉を掛けるシーンが印象的であり、その言葉が素晴らしい。ー
・自身が受刑者であった男(田中要次)が、直貴に来た手紙の住所を見て、酔っていたからか言ってしまった事。だが、その後、自身の部屋に直貴を呼んで、キチンと謝罪し、自らの且つての家族写真を見せるシーン。
・漫才コンビとして世に出た直貴が、ネットに流れた自身の兄の行為を見て、相方を想ってコンビを解散するシーン。
ー 私が大嫌いなのは、SNS社会で、自身の名を挙げずに人の不幸を嗤っている輩である。会社でもそういう輩はいるが、”他人の不幸は蜜”と考える奴は下劣極まりなく、私が気付いた場合には激烈な怒りを”敢えて皆の前で”本人に言い渡す。相手が私より年上であろうとも・・。-
・直貴が恋人(吹石一恵)に兄の事が言えなくて、怪我をさせてしまい破局してしまうシーン。
ー 哀しき場面である。だが、裕福な恋人の父親(風間杜夫)の対応も、仕方ないよな・・。-
■だが、山田孝之演じる直貴を、陰ながら支えていた沢尻エリカさん演じる由美子が行っていた事。
それは、終身刑を言い渡された刑務所で過ごす兄に、彼に代わって手紙を出し続けていた事である。
由美子は、それくらい直貴の事が好きであったのだし、直貴の兄の事も気にかけていた事が分かるのである。ナカナカ出来る事ではないよ。
今作では、由美子という関西弁を話す女性の自身の生い立ちがきっかけで行った崇高な行為の理由がキチンと描かれているのである。
・そして、直貴は由美子の行為を一度は激高するも、容認し、所帯を持ち、娘を持つ。
ー ここでも、直貴の兄の存在の噂が周囲に流れて行くが、由美子の言い放った言葉が素晴しい。
”逃げへん。全体に逃げへん!”・・もうね、涙が溢れます・・。-
<そして、直貴は且つてのコンビと千葉の刑務所に慰問コンサートに訪れ、多くの受刑囚の前で、持ちネタを披露する。
多くの受刑者が大笑いする中、カメラはある男に最後にショットを当てる。その男は、周囲が大笑いする中、一人手を合わせながら、大粒の涙を流している・・。
今作は、”重加害者の家族は一生、その傷を抱えながら生きなければならないのか・・”という普遍の重いテーマを根底に置きつつ、人間の善性と再生する姿を描いた素晴らしき作品である。>
パソコン買いに行くからね。と選んだパソコンのOSがXPだったらTV版「タイヨウのうた」のパロディになりかねない。
冒頭の強盗殺人シーンで早くも涙腺決壊状態となりましたが、過失致死で無期懲役にされてしまうほど日本の裁判は歪んでしまっているのだろうかと憤りをも感じました。貧しさ故の犯行、天津甘栗の供述などがあっても情状酌量にも持ち込めない弁護士。「ひとごろし」の身内であるという理由で陰湿なイジメに遭う現状。被害者家族の苦しみだけがクローズアップされる世論の中にあって、加害者家族の苦悩を取り上げたテーマは素晴らしいことだと思いました。
お笑い芸人を目指すという主人公の心。映画でも上手く伝えてありませんでしたけど、周囲の人たちに迷惑をかけてしまったという贖罪や、笑いのない生活から人を笑わせることによって抜け出し、一縷の希望を見出そうともがき苦しんでいる心情があったのだと勝手に解釈しました。しかし現実は甘くない。近しい人たちは彼の心を理解してくれるだろうけど、有名になってしまえばスキャンダルとして芸能界から締め出しを食らってしまう。まだ若かったために本名を隠すとか、芸能プロダクションの政治力を借りるとかいう小賢しい手段も思いつかなかったのでしょう。親友で相方の尾上寛之だってそこまで対策を考えていなかったようなので、コンビ解消も承諾するしかありませんでした。
お嬢様である吹石一恵を好きになってしまったのは不幸なことですけど、彼女の家に招待された直後くらいに山田孝之がもっと悩むという描写が欲しいところでした。そして手切れ金を受け取るかどうか逡巡するシーンにおいて、直結はしないものの「受け取ること」イコール「お笑い芸人を辞めること」くらいの重大な転機でもあるので、描写の工夫が欲しかったです。
テーマとなる手紙・・・吹越満も美味しいところを持っていきましたが、やはり沢尻エリカが良かった。可愛いというだけで評価されない、生きていくたくましさをも感じさせる演技力を発揮しました。ただ、関西弁を使うという設定の必要性の乏しさ。標準語を使わないことによって、逃げること、そこで生きていくこと、人と繋がりを持つことといったことを考えると、結局は関西から関東という「差別のない国」に逃げてきたことにはならないんだろうかと疑問に感じてしまいます。
前半の要所をしめる田中要次はいいアクセントとなっていましたが、資格を取るために大検を受けてもしょうがない。誰か「大検よりも他の資格を」と教えてあげなくてはいけないと思いつつも、人知れず勉強しているのでどうしようもありません・・・誰か教えてあげてください!
【2006年11月映画館にて】
永久保存版🙆♂️
話が浅い
加害者養護
作品として決して悪くはないが、被害者が置き去りであることが納得いかない。
加害者やその家族の苦悩は当然理解できるし、それを作品にしようとする気持ちも
分からないではないが、何の非も無い被害者やその家族や知人達など多くの人が
どん底に突き落とされるのにそこにはスポットが浴びない。
不幸な境遇に生まれ情状酌量の余地があるのかもしれないが、それによって犯罪者は
擁護され被害者は何も救われない。
被害者はどんなにどんなに不幸な環境だろうとどんなに必死に頑張ろうとおかまいなしに
(被害を軽減してはもらえない)無残に全てを奪われる。
どんな言い訳を並べても結局加害者以上の被害を被っているのは被害者側だということを
忘れてはいけない。
加害者家族の苦悩。
綺麗ごと描いてるけど、犯罪者のほとんどは反省なんかしていない。
仮に反省しています。といってもほんの上辺だけだ。
被害者家族は加害者家族の何倍も苦しむ。
それも被害者には何の非も無いのにだ。
加害者は法を犯したにもかかわらず法で守られるのだ。
被害者は法で守られなかったのにである。
被害者は被害を食い止められることもなく穴埋めされることもなく何の落ち度もないのに
唯々一方的に無残に全てを奪われる。
そして被害者側は加害者の傲慢な自己満足のために一方的に苦しむのだ。
刑事罰を償っても多くの加害者は民事賠償はほんの一部しかなされないし、
仮に賠償額を満額支払ったとしても到底被害の穴埋めには程遠い。
日本の法制度は犯罪者を擁護し、被害者を切り捨てる犯罪を起こしたもん勝ちの制度なのだ。
作品的には完成度は高い。
ただ、犯罪者側の目線で描かれているのが気に入らない。
世間の目線と違う切り口で訴える手法はありだろうが、犯罪者以上に
被害者の苦悩ははるかに深い。
それをしっかり受け止めてほしい。
演出や音楽はドラマのような感じだったけど、 最後のシーンを観たらも...
あらすじから連想されることしか起きない
とても嫌なストーリーです
私は実際に家族に犯罪者がいます。この映画のようにテレビで騒がれたり...
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